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「バックアップとの違いはご存じ?」必要性が高まるアーカイブソリューション


ベリタスソフトウェア エンタープライズ営業本部 シニアアカウントマネージャー 石田喜明氏
 「バックアップとアーカイブの違いを明確に理解している人は少ない」ベリタスソフトウェア株式会社エンタープライズ営業本部シニアアカウントマネージャーの石田喜明氏は指摘する。メールをはじめとした企業で扱うデータの急増や、個人情報保護法施行にともなう電子データの保存義務などに対し企業ユーザーは対策を急いでいるが、その手法の基本が理解されていないということだ。

 この二つの大きな違いは、バックアップは上書きが可能であるのに対し、アーカイブは不可能ということ。バックアップは万が一の障害時にデータを原状に戻せるように待避させるデータであるから、常に最新の状態を保っておくことが重要であり、更新前の古いデータは必要ない。これに対しアーカイブは、後の監査などに備えて長期の保管が必要とされるデータであり、変更することができないものだ。

 ベリタスは「NetBackup」と「Backup Exec」の2製品で、エンタープライズバックアップ/リカバリー市場シェアの半分近くを占めているが、2004年9月にメールアーカイブソリューション市場でトップシェアを握っていたKVault Softwareを買収し、同社の「Enterprise Vault」を手に入れることで同市場でも31%のシェアを確保した(いずれも2003年世界市場におけるGartner調査)。「データバックアップ(保護)、アーカイブ、そしてストレージリソース管理のソリューションを、異なるプラットフォームが混在したヘテロジニアス環境において提供できるのはベリタスだけ」と石田氏は強調する。


Enterprise Vault for Exchangeの機能イメージ

PSTマイグレーション

Enterprise Vaultを使ったExchange Serverのアップグレード
 Enterprise Vaultは、メールやドキュメントなどの非構造化データを、Enterprise Vaultサーバーが管理する“Vault”と呼ばれるストレージに格納してアーカイビングし、効率的な管理を実現するというもの。Exchange Serverに対応する「Enterprise Vault for Exchange」のほか、「同 for File Systems」「同 for SharePoint」をラインアップしている。

 具体的な機能は、for Exchangeを例にとると、Exchange Serverがデータを保管するストレージ(インフォメーションストア)内にある各エンドユーザーの過去のメッセージデータをVaultに移動し、アーカイブする。その代わりにExchange ServerにはVaultへのショートカットを作成する。エンドユーザーがメッセージを表示しようとすると、Outlookなどのメーラーはショートカットを経由しVaultを参照しにいく。この際エンドユーザーはデータが物理的にどのストレージにあるかを意識することなくシームレスにメールを見ることができるという仕組みだ。

 また、複数のExchange Serverのメッセージデータを集中管理するジャーナル機能と連携してデータをVaultに送ることや、OutlookなどによってメッセージデータをローカルのHDDやファイルサーバーなどに保存する際に作成されるPSTファイルをVaultに移行することもできる。つまりExchange ServerやOutlookの利用によって作成されるメッセージデータを自動的にVaultに移動しアーカイブすることができるのだ。

 このメリットは、単に法令遵守のためにアーカイブして管理するだけでなく、Exchange Serverのパフォーマンス向上につながる。直接管理するデータ量が増えるにつれパフォーマンスが低下するExchange Serverの負担を軽減することができるからだ。管理性の向上によりバックアップの効率化も図れる。これによりメッセージデータの一時的な移行が必要なExchange Serverのバージョンアップ作業においても負担を大幅に軽減することができ、シームレスなアップグレードが可能になるという。

 また、PSTファイルをVaultに移動することで全体的なデータ量も減らすことができる。これは複数のエンドユーザーに送られた同一のメッセージを1つに束ねて管理できるためだ。さらにPCにデータを残さないことで情報漏えい対策にもつながる。なお、Vaultに移行するファイルをローカルHDDにも置き、オフラインで参照できるような設定も可能だという。

 Vaultにアーカイブされたデータはデータベースとして構造的に管理できるため、監査などの際にも全データを対象とした大規模な検索を行うことができる。なお、Enterprise Vaultには検索サイト「AltaVista」のエンジンを搭載し、より強力な検索をすることができるという。

 for File Systemsやfor SharePointも基本的な機能は同様で、それぞれの管理対象のデータをアーカイブし管理性やパフォーマンスなどを向上させることができるが、特にメールは各エンドユーザーに管理を任せがちであり、このようなソリューションを必要とするユーザー企業は多いと思われる。個人情報保護法施行により管理者はデータの管理責任をより厳しく追求されることになるが、対策次第でパフォーマンスの向上や効率化を図る機会ともなり得る。これを機に現行のシステムについて管理体制だけでない多角的な検証をして、このままよいのか今一度検討してみたいところだ。



URL
  ベリタスソフトウェア株式会社
  http://www.veritas.com/ja/JP/
  製品情報
  http://www.veritas.com/Products/www?c=product&refId=322&ln=ja_JP


( 朝夷 剛士 )
2005/04/25 10:43

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