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ディザスタリカバリに“想定の範囲内”はない-ベリタス


米VERITASのBC・DRコンサルティングチームを率いるGeorge Condos氏

DRが必要と考える要因
 ベリタスソフトウェア株式会社が2004年に企業経営者に対して実施した調査によると、災害や人為的ミスなどによるシステム停止やデータ損害からの早期復旧を図るディザスタリカバリ(DR)について、自社の対策について「信頼できる」「非常に信頼できる」と回答したのは全体の18%に過ぎず、多くが何らかの不安を持っていることが明らかになった。

 調査後より、これまでに大規模な地震が各地で発生したり、また個人情報保護法施行などからシステムやデータ保存方法の見直しを迫られるなど、DR対策に遅れをとってきた企業でも検討を始める材料がそろいつつある。しかし、自社にはどの程度の対策が必要なのか、どれくらいのコストが必要となるのかは、なかなか把握できない。

 「企業によってリスクや適切な対策はさまざまであり、一口に“これ”といえるものはない」と語るのは米VERITASのアジア・パシフィック地域でBusiness Continuity(BC)とDRのコンサルティングチームを率いるGeorge Condos氏。まずはコンサルティングを受け、システムを検証した上で、対策を講じるべきということだ。「ベリタスでは規模の大小を問わず受け付ける」(Condos氏)。

 Condos氏が強調するのが、こうした準備段階が非常に重要であるということだ。“ディザスタ=障害”が発生する原因はさまざまであり、決して予想できるものではない。同社によると、障害の原因として考えられるものをユーザーに聞いたところ、半数以上が挙げたのは「ウイルスなど外部からの攻撃」「地震などの天災」の2つ。しかし実際は人為的なミスが原因であるものが一番多い。いずれにしても、いつ、どのようにして問題が起きるかはわからない。「ユーザーが想定の範囲内で対策したつもりになることは、非常に危険といえる」とCondos氏は警告する。

 ベリタスは国内でも2004年よりDR対策に向けたコンサルティングサービスの提供を開始した。「従来ベリタスはバックアップやレプリケーションソフトなどを提供する技術指向の会社であったが、技術的以外の側面からもサービスを提供できるようになった」とCondos氏は自信を示す。社外からビジネスの視点でDRに取り組んできた人材を招き入れたことで、クライアントのオペレーションフレームワークを踏まえた上でのソリューション提供が可能になったという。さらに予定されているシマンテックとの合併により、ウイルスをはじめとしたサイバー攻撃対策との統合も期待される。

 「従来、DRは(掛け捨ての)保険のように考えている経営者もいた。しかし、こうした対策を施すことでBCを確保することは、単なるコストの発生ではなく、今の業務オペレーションを見直し、より強化・効率化することにつながる。導入には経営者にもこれを理解し納得してもらわなければならない」とCondos氏。BCの確保は守りではなく、ビジネスをより強くするために先手を打つことであることを強調した。



URL
  ベリタスソフトウェア株式会社
  http://www.veritas.com/ja/JP/

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( 朝夷 剛士 )
2005/04/26 09:00

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