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DECISION SUITEとOracle製品の位置づけ
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キヤノン販売株式会社は5月10日、日本オラクル株式会社と提携し、米Oracleの基幹系ソリューション技術を基盤とした中堅・中小企業向けERPパッケージ「キヤノン DECISION SUITE(以下、DECISION SUITE)」を6月より販売開始すると発表した。
DECISION SUITEは、従業員数500名以下・売上300億円以下の中堅・中小企業を対象に、ERP導入に必要となるハードウェアやOS(MIRACLE LINUX)、アプリケーション、サービスなどをパッケージ化したソリューション。同社によると、最短で3カ月間で導入でき、導入から運用までをワンストップサービス化、導入費用をトータルで1900万円台からとすることで、従来ERP導入への課題とされていた問題を解決できるとしている。
この基盤となっているのが、Oracleが中堅・中小企業向け市場にワールドワイドで展開するパートナー企業向けプログラムである「Oracle E-Business Suite Special Edition」。日本オラクルは、OracleのERPソリューション技術をキヤノン販売に提供し、キヤノン販売はこれを基に、日本の商習慣や法制度などに対応するノウハウを合わせてDECISION SUITEを開発。同社自身がOracleの基幹業務システムユーザーであることを生かせるとするコンサルティングと合わせてユーザーに提供する。なお、日本オラクルからユーザーへの提供は行わない。
まず6月よりDECISION SUITE本体、および会計・販売管理パッケージの販売を開始し、以後、生産管理、ワークフロー連携、ビジネスインテリジェンス、環境管理会計など各種パッケージを順次発売する予定。
キヤノン販売は、DECISION SUITEの提供開始により、同社の売上の約6割を占めるビジネスソリューション事業を加速し、特にその中で2004年にハードウェアの売上を超えたというITビジネス事業を強化する方針。ERPの提供を軸として各種サービス・サポートやハードウェアなどの販売にもつなげる構えだ。同社代表取締役社長の村瀬治男氏は「旧来のハード卸売り中心からソリューションビジネスに軸を置く情報サービス企業になる」と同社の戦略を述べ、「(DECISION SUITEの展開は)今後のキヤノン販売グループ全体の収益を決定する」と、これにかける意気込みを語った。同社では2005年からの3年間で320セットの販売、100億円の売上を目指すとしている。
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キヤノン販売 代表取締役社長 村瀬治男氏
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キヤノン販売のビジネス展開
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日本オラクル 代表取締役社長 新宅正明氏
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Oracle EBS製品製品戦略上の位置づけ
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日本オラクルは、実績の浅い中堅・中小企業向け市場への展開において、同市場でのノウハウを持つキヤノン販売に技術を提供することで間接的に同社製品を浸透させ、シェア拡大を狙う。同社代表取締役社長の新宅正明氏は「大規模向けというイメージの強いオラクルであることが、中堅・中小企業には逆にマイナスとなっていた。ここに多くのユーザーとノウハウを持つキヤノン販売から製品を出せることは、当社にとっても非常に重要なこと」と述べ、単独では中堅・中小企業向け市場での展開は困難で、こうしたパートナーとの連携が必須であるとの考えを示した。
日本オラクルでは、中堅企業向けに「Oracle Neo」を提供しているが、これとの違いについて同社は、Oracle Neoは同社やパートナーが提供するソリューションテンプレートを軸とし、ハードなどは規模に応じて別途準備しなければならないものであるのに対し、DECISION SUITEはハードなどを含めたトータルパッケージで簡単に導入できる「全体を商品化したもの」(新宅氏)であると説明した。
■ URL
キヤノン販売株式会社
http://canon.jp/
日本オラクル株式会社
http://www.oracle.co.jp/
プレスリリース
http://cweb.canon.jp/newsrelease/2005-05/pr-erp.html
製品情報
http://cweb.canon.jp/Product/appli/decision/
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( 朝夷 剛士 )
2005/05/10 18:24
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