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マルチOS環境への対応が強化されたアップルの「Tiger Server」


Mac OS X Server 10.4“Tiger”
 アップルコンピュータ株式会社は、クライアント向けOSの新版「Mac OS X 10.4“Tiger”」とともに、サーバー向けOS「Mac OS X Server 10.4“Tiger”(Tiger Server)」を4月29日に発売した。Tiger Serverは、UNIX(Free BSD系)をベースとするMac OS X Serverの5度目のバージョンアップで、クライアントOSと同様に安定性を増しながら、Macならではの機能や使い勝手が向上しているという。

 もともとMac OS X Serverは、その機能の多くがオープンソースコンポーネントによって構築されており、それにアップル独自のテクノロジーによって機能や操作性が高められ、より容易に運用できるという特徴がある。今回のバージョンアップは、その特徴を引き継ぎ、さらにユーザーからの要望が大きかったWindowsクライアント制御を、独自の技術を組み合わせて強化したことが大きなポイントだ。


Open DirectoryとACLにより、Windowsクライアント管理が向上

ファイルやディレクトリに、グループやユーザーに対して細かいアクセス権限を設定することが可能

アップル プロダクトマーケティング サーバ・ソフトウェア製品担当課長 寺田和人氏
 Mac OS X Serverには「Open Directory」というディレクトリサービスを搭載している。LDAPディレクトリと互換性があり、Active Directoryとの連携も可能なため、既存のサーバー環境への接続や、Mac以外のクライアント管理も可能だ。Tiger Serverは、このOpen Directoryが「3」にバージョンアップし、NTドメインの統合や移行ツールを搭載するなど強化されている。

 また、新たにACL(アクセス制御リスト)を搭載した。これは、ファイルやディレクトリに対し、複数のユーザーやグループをオーナーに割り当てたり、異なるアクセス権を割り当てることができるなど、UNIXのパーミッション設定を拡張し、ほぼWindowsに近い、業務に適した柔軟性のあるアクセス権の設定ができるというもの。プリントなどのサービスにも適用することができる。

 さらにWindows 2003やXPのACLと互換性が確保されているほか、設定したアクセス権がMac OSのAFP(Apple Filing Protocol)とWindowsのCIFS(Common Internet File System)の両方で有効であるため、同じユーザー名でWindowsとMacどちらからログインしても、設定が有効となる。同社プロダクトマーケティング サーバ・ソフトウェア製品担当課長の寺田和人氏によると、これをsambaでも実現しようとすると「とても難しい」とのことで、標準機能として利用できることは、特にWindowsとMacが混在する環境において非常に有用といえるだろう。

 Windowsクライアントの管理機能が、用途によってはWindows Serverに近いレベルまで向上しており、しかも安価(ユーザー数無制限のUnlimited版が98,000円)であることから「(管理対象が)ほとんどWindowsのみなど、新しい顧客層からの引き合いもある」(寺田氏)という。


 Tiger Serverを利用できるハードウェアは、「XServer G5」などアップル製に限られていることなど、Mac環境に特化したサーバーというイメージもある。しかしTiger ServerはMacがあるところにはWindowsも併用されているという前提で、両方が混在した環境における最適な管理の実現を目指したサーバーであるといえそうだ。



URL
  アップルコンピュータ株式会社
  http://www.apple.com/jp/

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( 朝夷 剛士 )
2005/05/27 18:28

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