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NEC、音声認識技術を活用したコールセンター向けソリューション


 日本電気株式会社(NEC)は6月27日、独自の音声認識技術を活用しコールセンター業務を効率化するソフトウェアソリューション「VisualVoice」を発売した。IP化に向けたコールセンターシステムリニューアル需要の増加に乗じて「実用レベル」への進化をアピールし、導入拡大を狙う。


オペレーターとスーパーバイザー向けの製品イメージ
 VisualVoiceは、コールセンターで電話を通してやりとりされる会話の音声を逐次テキスト化し、オペレーターやスーパーバイザー(管理者)の業務に活用することで生産性を向上させるというソフトウェア。同社が開発した音声認識技術により、従来では困難であった人間同士の自然な会話を、高精度でリアルタイムに認識することができるという。

 例えばオペレータの場合、従来手作業で入力していた応対メモの入力を自動化でき、また、応対中にでてきたキーワードからナレッジデータベースやマニュアルを検索することで迅速な対応が可能となる。さらに、応対報告書も音声入力することで、より短時間で作成することも可能だという。

 スーパーバイザー向けには、オペレーターの応対中にあらかじめ登録したキーワードを記録された際、自動的にスーパーバイザーのPC画面に表示するなどリアルタイム通知ができる。これにより重大なトラブルや予想される問題の発生を早期に検知し、迅速な対応を可能とする。また、オペレーターの応対をテキストと音声両方で記録し、後に確認することもでき、オペレーターの評価や指導に利用できる。


架空の銀行での会話記録をテキスト化したもの。認識率はほぼ100%に近い 実際にPCのサポートセンターでやりとりされたときの会話を認識させた場合 あらかじめ登録しておいたキーワードが検知されると、自動的にスーパーバイザーに即時通知することが可能

ミドルウェア事業部 事業部長 池田治巳氏

従来の単語発音や読み上げ発話と、自然な話し言葉の違い
 VisualVoiceの中核となるのは、同社が独自開発したという音声認識技術だ。ミドルウェア事業部 事業部長の池田治巳氏によると、従来のような「単語発音」「読み上げ発話」ではなく、「人と人との自然な話し言葉」を認識できる技術であるとのこと。話し言葉特有の発音や言語現象、話し手の特徴などをとらえることができ、処理するマシン環境に合わせて最適かつ高い認識性能を実現するという。

 これに加え、やりとりされる会話のモニタリング・解析などを行い、業界用語や商品名などコールセンターごとに利用される固有の単語の辞書作成など、認識率を向上させる導入支援サービスも合わせて提供する。池田氏によると、この事前作業には「だいたい5カ月ほどを想定している」とのことだ。

 市場開発推進本部 本部長の塩川正二氏によると、すでにこの技術を関連会社のコンタクトセンターに一部導入しており、本番環境での実用性の高さを実証しているという。認識精度を数値化すると「70~80%程度」(池田氏)とのことだが、事前の解析などにより、この数値に関係なく個々の業務効率化を実現できるレベルでの認識精度を実現するとしている。

 製品はオペレーターとスーパーバイザーぞれぞれの業務支援システム(各400万円から)と、それらを組み合わせた「コンタクトセンター支援(600万円から)」、および導入サービス(650万円から)を提供(いずれも20席時の価格)、同社は今後3年間で200システムの導入を見込んでいる。

 同社では今後、製品の機能強化・統合を図るほか、音声認識を経営支援に活用できるソリューションの提供も予定しているという。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0506/2701.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/06/27 15:37

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