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IBM Workplace Services Express 2.5のトップ画面
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日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は7月13日、「IBM Workplace Services Express 2.5(WSE 2.5)」を、8月26日から出荷すると発表した。
同製品は、今年5月17日に発表したIBM Workplace製品群のなかから、ワークプレイス環境を手軽に実現するために、最低限必要な機能を抽出、統合した製品で、通常のWorkplace製品群に比べて、約40%の費用削減と、約50%の導入時間削減が可能になるという。
「インストールにかかる時間は約1時間。中堅、中小企業、あるいは大手企業の部門でも簡単に導入できるのが大きな特徴」(日本IBMソフトウェア事業ロータス事業部・澤田千尋事業部長)という。
同社の中堅企業向け製品につけられる「Express」の名称を冠していることからもわかるように、1000人以下の企業を対象にした製品提案を、販売パートナー経由を中心として行っていく考えだ。
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チーム・スペース
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WSE 2.5の最大の特徴は、「チーム・スペース」と呼ばれるチーム単位のコラボレーション機能をあらかじめ搭載している点。これによって、プロジェクトチームは、情報共有の場を容易に設定することが可能となる。
「共有スペースの設定の際に、そのための専用データベースを独自に作り込むといった必要がなく、しかも、情報システム管理者の権限ではなく、ユーザーの権限で自由にチーム・スペースを設置できる。これまでの情報共有ツールとは異なり、柔軟にコラボレーション環境が構築できる」(澤田事業部長)という。
また、業務に必要とされる約40種類の機能を搭載。意見交換やアンケート、通知機能、電子会議などがすぐに利用できる。さらに、Webブラウザから利用できるワープロ、表計算、プレゼンテーションといったオフィス文書作成が可能なオープンソースソフトを搭載しているほか、Microsoft OfficeなどもWebブラウザ上から呼び出して利用することができる。
RDBMSには、オープンソースのCloudscapeを採用、JavaおよびWebサービスに準拠した開発/利用環境を実現している。
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日本IBMソフトウェア事業ロータス事業部・澤田千尋事業部長
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澤田事業部長は、「他のグループウェアソフトとの違いは、ワークスタイルを変革するツールである点だ」と、WSE 2.5の特徴を強調する。
「企業や人に蓄積される情報のうち、IT化された情報はわずか4%。紙などの文書にしても約16%にすぎない。残りの80%は、仕事上の人との対話やプロジェクトの経験などによって得られる個人に蓄積する情報。これをいかに取り出して共有化するかが大きな鍵になる」と澤田事業部長は前置きし、「個人指向の仕事の仕方から、チーム指向の仕事に変えるためのツールがWSE 2.5である」と位置づける。
IBMが標ぼうしているオンデマンド型企業は、従来の階層的な組織や、それによって生み出される長い意思決定プロセスのままでは実現が不可能。あらゆる組織や個人が迅速に連携し、個人の専門性と責任の上で、意思決定が行われる体制が求められている。
「チームを中心としたワークスタイルがすばやく実現できるチーム・コラボレーション・ポータルを創出できるオンデマンド時代のツールである」というわけだ。
「現段階では企業の壁を超えたコラボレーションに本格的に対応しているわけではないが、米国では一部Webを通じた共有化の事例もある。今後増加するであろう企業対企業のコラボレーションへの第一歩となる製品」とも語る。
さらに、WSE 2.5の特徴として澤田事業部長が訴えるのが、オープンソースへの対応をはじめ、オープンスタンダードの標準テクノロジーを活用している点、さらにISVとの連携により、中堅、中小企業向けのアプリケーションを投入できる点だ。
「IBMはミドルウェアを提供するが、アプリケーションは提供しない。とくに、中堅、中小企業の領域は日本IBMの直販体制ではカバーできない分野であり、パートナーとの連携が不可欠だ」と話す。
ISVに対しては、新規アプリケーション開発や既存ソフトのポーティングなどを支援するISV Enablementプログラムを実施。ISV&デベロッパー事業推進、大和ソフトウェア開発研究所を通じて、直接支援する体制を確立する考え。
「現在、販売パートナーとして6社が名乗りをあげており、そのほか1700社のIBMの販売パートナーを通じて流通させる。また、8社の開発パートナーがWSE 2.5対応のアプリケーションソフトを開発中で、すでにポーティングが完了したベンダーもある。年内には約20社にアプリケーション開発を進めてもらいたい」(澤田事業部長)としている。
WSE 2.5の価格は、20ユーザーライセンスで24万円。1プロセッサライセンスで419万円。
8月26日の出荷開始にあわせて、年内は、IBMのソフトウェア製品のPassport Advantageが有効なメンテナンスライセンスを所有しているユーザーには1年間利用が可能な無償ダウンロードサービスを実施する。
また、8月下旬から全国縦断セミナーを全国7カ所で開催するほか、7月下旬からはパートナー10社と個別共催セミナーを東京、大阪で開催。さらに、8月下旬からは、東京・渋谷のソフトウェアコンピテンシーセンターで毎週1回のペースで「無料体験セミナーat渋谷」を開催して、ユーザーへの導入促進を図る考えだ。
■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
プレスリリース
http://www-6.ibm.com/jp/press/20050713001.html
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( 大河原 克行 )
2005/07/13 16:10
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