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「100%標準製品の短期導入パッケージで中堅市場へ拡販」-ピープルソフト


執行役員 プロダクト・テクノロジー統括本部長の荻矢隆雄氏

Rapid Startと従来の導入手法を比較した概念図。Rapid Startでは、ビジネスプロセス分析などを省略できるため、短期の導入が可能になる
 日本ピープルソフト株式会社は8月25日、中堅企業向けの製品戦略に関するプレスセミナーを開催し、4月に発表したERP短期導入パッケージ「JD Edwards EnterpriseOne Rapid Start」(以下、Rapid Start)に関連した戦略を説明した。

 JD Edwards EnterpriseOneは、年商1000億円未満の企業を主な対象にしたERPパッケージ。会計・販売・製造などをカバーしたオールインワン型のERP製品で、製造業や流通卸業などに特に適しているという。米JD Edwardsが米PeopleSoftに買収されてからは「PeopleSoft EnterpriseOne」という名称になっていたが、4月に発表された「8.11」より、再びJD Edwardsのブランドが復活していた。

 Rapid StartはこのEnterpriseOneをベースに、低価格・短期導入が実現できるよう、事前の項目定義などを済ませたソフトウェアを組み合わせて提供する特別パッケージ。複数のモジュールをバンドルし、会計、流通、製造の各ソリューションとして用意した。

 ピープルソフトでは、JD Edwards EnterpriseOneの対象企業よりも下のレンジ、年商100億~500億程度の中堅企業を主な対象として想定しているが、これはこの規模の企業においても、リアルタイム経営に対応可能な統合業務ソフトに対するニーズが高まっているためだという。

 しかし、中堅企業においては予算や人員が限られている上、「中堅企業だからといって、業務が単純なわけではなく、また企業の成長にあわせて柔軟に拡張していける製品が必要になってくる」(執行役員 プロダクト・テクノロジー統括本部長の荻矢隆雄氏)ことから、包括的な機能を持ったERP製品が求められていると判断。短納期・低価格を実現しながら、アップグレードや機能拡張が容易なRapid Startを提供することによって、こうしたニーズに応えていくとした。

 具体的には、Rapid Startでは日本向けのプロセス、日本向けに最適化されたデータが登録されているほか、業務役割やその役割ごとに必要なメニュー構成、役割や管理レベルに応じたセキュリティ設定などの事前定義を済ませてあるため、最低でも50%、導入期間を短縮できるとのことで、米国では最短12週で完了した事例もあるという。また導入費用も、工数を積み上げて算出する従来の方式ではなく、企業規模やシステムの複雑さなどの基準によって算定する数段階の「定額導入費用」制を採用することによって、おおむね半分程度に抑えられたとのこと。

 また、荻矢本部長は「『パートナーが用意したテンプレート』ではなく、100%標準製品として当社から提供される点が他社の短期導入製品と異なる」と述べた上で、「標準製品であるために、小さく始めてもスタンダードERPとして拡張できるし、アップグレードや製品サポートも標準製品として受けられる。長期にわたる将来性などは、まったく(競合製品と)異なる」とメリットを強調した。

 価格は、売り上げ規模と提供する機能の範囲、ユーザー数に応じて変わるが、年商100億円規模の企業に導入する場合のモデルケースでは、ライセンス金額が3400万円、ソフトインストール作業やトレーニングなどの導入費用が5900万円。ハードの費用はこの中に含まれないが、すでに事前検証を済ませた推奨構成(はじめはIBM iSeriesのみ)を用意しているという。なお、Rapid Startの国内出荷は2005年秋に開始される予定。



URL
  日本ピープルソフト株式会社
  http://www.peoplesoft.co.jp/


( 石井 一志 )
2005/08/25 18:17

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