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日本オラクル、企業内データを一元管理可能なコラボレーションソフトの新版


執行役員 システム事業推進本部長の三澤智光氏

コラボレーションに必要な機能を他社製品でカバーしようとすると、これだけたくさんの製品が必要になるという

さまざまなデータを一元管理することで、セキュリティ面をはじめたくさんのメリットが得られる
 日本オラクル株式会社は、エンタープライズコラボレーションソフトの新版「Oracle Collaboration Suite 10g」を、9月21日より販売・出荷開始すると発表した。今回の新版では、プロジェクト情報共有機能「Oracle Workspaces」やインスタントメッセージング(IM)機能の追加、コンテンツ管理機能の大幅な強化が実施されたほか、インストール作業の簡略化やユーザーインターフェイスの改善などが行われている。

 Collaboration Suite 10gは、日本オラクルが推進している次世代ミドルウェア群「Oracle Fusion Middleware」のコンポーネントの1つ。Oracle Database 10gとOracle Application Server 10gを基盤に構築されるもので、コンテンツ管理機能「Oracle Content Services」や、メール、FAXなど企業内で交換されるメッセージをデータベースに格納するメッセージ管理機能「Oracle Unified Messaging」、Web会議やIMの機能を持つ「Oracle Real-Time Collaboration」、Workspacesなどの機能を備える。これらを用いると、Office文書やメールのような「非構造化データ」をすべて統合管理できるようになるという。

 執行役員 システム事業推進本部長の三澤智光氏によれば、従来のコラボレーション製品は機能が限られたものが多く、メール、スケジューラ、Web会議、検索、IM、ポータル、コンテンツ管理など、コラボレーションに必要な要素をすべて利用しようとすると、ベストブリードの手法で構築するしかなかったという。しかしそれでは、「複数の製品を集めて利用するため、イニシャル、ランニングコストのほか、統合して運用するためのインテグレーションコストが膨大になってしまう」(三澤氏)。

 そこで日本オラクルでは、「データの一元管理」「Web対応」「セキュリティ」「SOA(サービス指向アーキテクチャ)」の各要件を満たした統合製品としてCollaboration Suite 10gを発売する。同製品では、データはすべて「統合レポジトリ内にコミットされた状態で格納される」(三澤氏)ため、セキュリティの向上や容易な管理といったメリットを実現できたほか、Web対応、標準技術のサポートによって、デバイスやアクセス環境を選ばない柔軟性が得られたという。

 加えて、Oracle Database 10gなどを利用してクラスタ化することで可用性、拡張性を強化できる点、SOAに基づいてビジネスアプリケーションをポータルへ組み込み連携することが可能な点もメリット。またコスト面でも、統合製品として提供することで管理やインテグレーションのコストを削減できるほか、ライセンス費用自体も安く済むため「最低でも半分、場合によっては1/10程度まで削減できる」(三澤氏)とのこと。


バージョン管理機能を利用する場合の設定画面
 Collaboration Suite 10g自体も前述のようにいくつかのコンポーネントからなる製品だが、今回機能が大幅に強化されたのは、コンテンツ管理機能のContent Servicesだ。従来は「Oracle Files」と呼ばれていた製品で、新版では、メタデータを一緒に入力しないとアップロード自体ができない「カテゴリ(メタデータ)機能」、Oracle BPEL Process Managerと統合されたワークフローの機能、10レベルまでの自動バージョン管理機能などが利用できる。

 三澤氏はContent Servicesについて「専門的なコンテンツ管理製品はとても高価で導入部門が限られてしまうが、Content Servicesを含めたCollaboration Suite 10gは非常に安価で、全社へ一括して展開可能なメリットがある」と価格面でのメリットを繰り返し挙げた。またあわせてセキュリティについて言及し、「企業ではMicrosoft ExcelやPowerPointで重要情報を管理しているところが多いが、それがふつうのファイルサーバーに無防備に置いてあったりするし、またサーバーが社内に無数にあり、管理しきれていないことも多い。それが、Content Servicesによって管理されたサーバーに、整理されて格納されるようになるだけでも、十分価値があるだろう」と説明した。

 1ユーザーあたりの価格は、Collaboration Suite 10g本体が7875円、Content Services、Real-Time Collaboration、Unified Messagingの各コンポーネントがいずれも5880円で、最小100ユーザーから販売される。ただし、Content Servicesは今回のバージョンでは提供されず、年内の発表が予定されている次期バージョン「10.1.2」よりの提供となる。対応する環境は、Solaris(SPARC版)、Linux x86、HP-UX PA-RISC(64ビット)、AIX5L Based Systems、Windows(32ビット)の各プラットフォーム。

 なお日本オラクルでは、初年度5億円、次年度15億円の売り上げを見込む。三澤氏は「すでにいくつかの企業で導入テストが進んでおり、要望も多いが、導入支援などの際に、メールシステムだけでなくコンテンツ管理システムのスキルセットを持ったサポート要員が必要になるため、パートナーの育成が追いついていない状況。体制を整え、次年度には400社、40万ユーザーの導入を目標にしていきたい」と述べた。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1437


( 石井 一志 )
2005/08/30 18:06

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