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「5分でRACにノードを追加」、日本オラクルがDatabase 10g R2の機能を説明


執行役員 システム事業推進本部長の三澤智光氏

ランタイム・コネクション・ロードバランス機能の概要
 日本オラクル株式会社は9月5日、プレス向けのセミナーを開催し、1日に出荷スケジュールを発表したデータベース製品「Oracle Database 10g Release 2」(以下、Oracle DB 10g R2)の概要について説明を行った。その中で執行役員 システム事業推進本部長の三澤智光氏が再三強調したのは、同製品が単なるデータベースではなく、「すべてのアプリケーションのための“統合データ基盤”だ」ということである。

 すでにリリースされている現行製品Oracle DB 10g自体も、前バージョンと比べるとさまざまな新機能が盛り込まれていたが、今回の新版でも、いくつか大きな進歩があるという。その中でも、三澤氏が特にアピールした機能が、RAC(Real Application Clusters) 10gにおけるプロビジョニング機能の強化だ。「肥大化するデータセンターや複雑化するアプリケーションを単純にしていくために、必須となる機能」と三澤氏が評したこの機能は、簡単にいえば、RACへのノード追加を自動化する機能である。

 システム事業推進本部 営業推進部 部長の杉崎正之氏によれば、日本オラクルの熟達したエンジニアでも、ノード追加には8時間を要していたとのことだが、Oracle DB 10g R2からは自動化されたプロビジョニング機能を利用することで、わずか5ステップ、5分で同じ作業が完了するという。

 また管理作業を軽減するための機能としては、「ランタイム・コネクション・ロードバランス」も価値がある。これまでのOracle DBが採用していたロードバランス機能はいわゆるラウンドロビン形式で、サーバーの付加にかかわらず順繰りに作業を割り振っていただけだったが、新機能では実際の負荷に応じて処理を分担させることができるようになる。

 あわせて、Oracle Data Guardが強化されたことで、同期ログ転送を行いながらの、本番データベース環境からバックアップ環境への自動フェイルオーバーや、サーバーを止めずにパッチ適用などのアップデート作業を行える「ローリングアップグレード」が可能になっている。

 三澤氏はここ最近何度も繰り返している「当社の製品を利用していただければ、イニシャル/ランニングのコスト、インテグレーションのコスト、運用管理コストを削減可能だ」というメッセージに今回も触れ、「行き過ぎたベストブリードをシンプルにする」とした。


システム事業推進本部 営業推進部 部長の杉崎正之氏

新版から追加された「透過的な格納データの暗号化」機能、Transparent Data Encryptionの概要
 一方、セキュリティ面も大幅に強化されている。日本オラクルはこの分野でも「完全なセキュリティ機能によって企業のコンプライアンスを高める」というメッセージを再三発信しており、正規のユーザーであっても自分の業務とは関係ないデータには、アクセス権限を与えない「仮想プライベート・データベース」機能や、より柔軟に監査を実行するための「ファイングレイン監査」機能が提供されてきたが、Oracle DB 10g R2でもそれは変わらないという。

 具体的には、「アプリケーションをいじる必要がない暗号化機能」(杉崎氏)を提供する。暗号化機能はこれまでも、「Oracle Advanced Security」による通信経路の暗号化や、暗号化ツールキットによる開発作業を伴ったデータベースの暗号化はサポートされていた。しかし新版では、透過的な格納データの暗号化が可能になったほか、REDOログやバックアップデータの暗号化、メモリ上のデータの暗号化などによって、さらなるセキュリティが実現したという。

 「バラバラの基盤では、企業のコンプライアンスに耐えうるシステムができるだろうか。当社の製品では、情報システムに起因するリスクを、極力排除可能だ」(三澤氏)。

 さらに今回はこのほか、XMLで利用される問い合わせ言語「XQuery」のサポート、ひらがな・カタカナ間の相互変換機能、データウェアハウス機能の拡張などが追加されている。特に、データウェアハウス関連では、RDBMS、OLAP両データベースのパフォーマンスが向上したことに加えて、Oracle Data Mining 10gがDBに統合されて提供されるようになる。

 またOracle Data Mining 10gは、9月5日に発表されたエス・ピー・エス・エス株式会社(以下、SPSS)との協業によって、SPSSの統合型マイニングプラットフォーム「Clementine」との連携機能が新たに備わっている。




URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース(SPSSとの協業)
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1439

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( 石井 一志 )
2005/09/05 17:55

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