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日本IBM、SOAを実現するWebSphereプロセス統合4製品を発表


 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は9月14日、SOA(Service Oriented Architecture)構築に必要となる「業務プロセスのモデル化から実装、監視まで」をカバーするWebSphereシリーズ4製品を発表した。出荷開始は9月30日より。


執行役員ソフトウェア事業担当 三浦浩氏
 同社執行役員ソフトウェア事業担当 三浦浩氏は「SOAを実現するには、実装を支援するサービスに加え、既存のサービス・コンポーネントの再利用を促進する仕組みや、開発から運用に至るシステムのライフサイクルをサポートするツールが必要になる。今回の4製品により、SOAに基づいた迅速なシステム構築が可能になる」と語る。具体的な製品名および機能は以下のとおり。

 1.WebSphere Business Modeler:GUIで記述した業務プロセスから、プロセス実行言語であるBPEL(Business Process Execution Language)を生成するソフトウェア。1ユーザーあたり17万8800円。

 2.WebSphere Integration Developer:Eclipse上で稼働し、サービス・コンポーネントを組み合わせ、SOAに基づくアプリケーションを開発するソフトウェア。1ユーザーあたり50万500円。

 3.WebSphere Process Server:WebSphere Integration Developerで開発したSOAアプリケーションを実行するソフトウェア。1CPUあたり1215万5000円。

 4.WebSphere Business Monitor:あらかじめ設定したKPIに基づき、業務プロセスの実行状況を監視するソフトウェア。1CPUあたり1227万8000円。

 同社では今年5月、ソフトウェア事業戦略として「SOAの具現化」を大きく掲げ、ISVパートナーとの提携やSOAプロモーション・オフィスの設置、ならびに製品群の連携強化を表明していた。だがSOAという用語は認知されてきたものの、その具体像という側面では依然論議が続いているところだ。


ソフトウェア事業 WebSphere事業部長 山下晶夫氏
 こうした状況に対し、ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の山下晶夫氏は「SOA実現にあたっては、最適化されたビジネスプロセスの実行環境が不可欠。これまでのWebSphereファミリー群ではプロセス連携分野の発表が遅れていたので、SOAの具体像や開発手法がわかりにくかった感があるが、今回WebSphere Process Serverのリリースにより、SOAの開発手法や具体像が一気に近づいた」と語り、SOA実現の目玉機能としてWebSphere Process Serverの重要性を訴えた。

 「今日のシステムアーキテクチャは、Javaに代表されるようなプラットフォーム非依存型言語の登場により、プラットフォームを仮想化し、異機種環境をまたいで利用できる。SOAはビジネスプロセスに基づいてアプリケーションを仮想化し、異なるアプリケーションを1つのシステムとして扱えるようにする技術。そのため、ビジネスプロセスの実行はSOAシステムの“要”といえる」と山下氏。

 WebSphere Process Serverは、メインフレームや既存アプリケーション、新規アプリケーションなど、各サービスコンポーネントをBPELの内容に従って連携させ、円滑なビジネスプロセスを実行するランタイムの実行エンジン。各サービス間を流れるメッセージの経路を制御するルーティングや、メッセージ・フォーマットおよびプロトコルの変換機能、イベント・ハンドリング機能などの「エンタープライズ・サービス・バス」(EBS)機能を内包し、サービス連携のインフラとして機能する。

 業務プロセスの設計やサービス・コンポーネントの開発は完全にGUIベースで、プラグ&プレイによるプログラミングレスを実現しており、WebSphere Process Serverが複雑なビジネスプロセスの自動化および実行を完全サポートする。他3製品と組み合わせることで、「SOAに基づくモデル設計、コンポジットアプリケーションの生成、実行ならびに運用監視のサイクルがシームレスにつながる」(山下氏)とのことだ。年内には、ESB機能のみをパッケージ化した「WebSphere ESB」製品も発表する予定だという。

 また、上記4製品の出荷に伴い、WebSphere製品群を活用したSOA実現を支援するサービス「SOAクイック・スタート・サービス」も開始する。これはIBMが提供するサンプルプロセスや、ユーザーの実業務に沿ったプロセスに基づいてプロトタイプを構築し、スキルやノウハウを移管するサービス。価格は個別見積もりだが、WebSphere Integration DeveloperおよびWebSphere Process Serverを利用した場合、500万円からと想定している。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www.ibm.com/news/jp/ja/2005/09/09145.html

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( 岩崎 史絵 )
2005/09/14 20:00

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