米Adobe Systemsは9月6日(米国時間)に、Adobe LiveCycleサーバーの新製品「Adobe LiveCycle Workflow(以下、Workflow)」を発表した。日本では10月末の提供を予定している。Workflowは、ドキュメントを中心としたビジネスプロセスの管理を目的とした製品で、既存のLiveCycle製品や基幹システムと組み合わせてワークフローを構築することができる。LiveCycle製品の“とりまとめ役”ともいえる製品で、これにより同社のサーバー製品は一通り揃ったことになる。同社Enterprise Developer RelationsグループマネージャのBen Watson氏に、新製品について話を伺った。
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米Adobe Systems Enterprise Developer RelationsグループマネージャのBen Watson氏
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Workflow Designerの操作画面。画面左側に表示されているコンポーネントをドラッグ&ドロップして開発できる
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同社は企業向けソリューションとして、企業のバックエンドとフロントエンドをPDFとXMLを用いて統合する「Adobe Intelligent Document Platform(IDP)」を推進している。LiveCycleは、これを実現するサーバー製品群で、電子フォームの設計用として「Adobe LiveCycle Designer」、Adobe Readerの機能を拡張する「Adobe LiveCycle Reader Extensions」、フォームの発行や利用権限を管理する「Adobe LiveCycle Form Manager」、電子フォームを配信する「Adobe LiveCycle Forms」などの製品が用意されている。J2EEとXMLをベースとしたサーバーアーキテクチャで開発されていることから、既存システムとの統合が容易なのが特徴だ。
今回発表されたWorkflowは、これらのLiveCycleサーバー製品群を用いたビジネスプロセスをより簡単に構築できる製品。Watson氏は支払処理のビジネスプロセスを例に、「従来300万行くらいのプログラムを書かなければならなかったものが、Workflowを使えば6時間程度で作成できる」と説明、システム構築にかかる時間の短縮に大きく貢献する製品としている。「WorkflowのデザインツールであるWorkflow Designerは、Eclipseなどと似たものとなっているので、Javaの開発者にとっても使いやすいもの」と、使い勝手のよさもアピールした。
Workflowの特徴として、QPAC(Quick Process Action Components)と呼ばれるコンポーネントを利用したワークフロー作成機能が挙げられる。QPACは、データ入力、情報のルーティング、電子メールの送信、Webサービスの呼び出しなどの各アクションをコンポーネント化することで、ワークフローの作成を支援するもの。QPACには、LiveCycle各製品のサービスや、他社製品のサービスなどを登録できる。
Workflowはビジネスプロセス管理製品のひとつといえるが、Watson氏は「従来のビジネスプロセス管理製品は、メッセージ中心だ。Workflowはドキュメントベースのプロセスを効率化する製品で、アプローチが異なる」と説明。「ビジネスプロセスの85%が人手による作業が必要となっている。文書処理などは最たるもので、この負担をいかに削減するかがプロセスの効率化にとって重要」と、同社製品を利用することでビジネスプロセスを効率化できると強調した。
また同社では、開発者支援を目的とした「Enterprise Developer Program」の提供を開始した。同プログラムでは、開発者向けライセンスの提供や、プラグイン・サンプルコードの提供、eメールによる開発者サポートなどが提供される。現時点では北米のみで提供されているが、1年以内にアジアでも提供する予定とのこと。「プログラムとしては提供していないが、SDKなどを提供することは可能」と、日本でも個別に情報提供できるとした。
■ URL
アドビシステムズ株式会社
http://www.adobe.co.jp/
プレスリリース
http://www.adobe.co.jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200509/20050907livecycle.html
( 福浦 一広 )
2005/09/30 12:44
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