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日本IBM、Notes/Domino 7を発売-同時に戦略的乗り換えキャンペーンを開始


 日本アイ・ビー・エム株式会社は10月5日、ロータスブランドのコラボレーションソフトウェアであるLotus Notes/Dominoの新製品として、「Lotus Notes/Domino 7」を発表した。ダウンロード版は11月1日から、CD-ROM版は11月25日からそれぞれ出荷する予定。

 同時に、同社では、競合他社のグループウェアを利用しているユーザーに対して、60%引き以上の価格でNotes/Domino 7を提供する、中堅、中小企業向け乗り換えキャンペーンを実施。他社ユーザーの戦略的な移行措置を図る方針を明らかにした。

 また、来年出荷予定の次期Notes/Dominoに関しても言及しており、年内にはβ版を提供可能であることも明らかにした。


5つの進化を見せる新Notes/Domino

日本IBMロータス事業部・澤田千尋事業部長
 今回のNotes/Domino 7の進化には、大きく5つのポイントがあると、日本IBMロータス事業部・澤田千尋事業部長は語る。

 ひとつめは、SOA対応による既存資産の統合活用である。

 「Notes/Dominoで開発したアプリケーションを、SCMをはじめとする業務システムと連動させたいといった際にも、SOA対応によって可能になる。開発投資を大幅に削減するとともに、将来にわたってNotes/Dominoのアプリケーションを活用できるという環境を提供できるようになる」と語る。

 2つめはセキュリティ強化である。

 Notesクライアントの集中制御を可能としたことで、ユーザーサイドでの不要な設定変更をなくし、情報漏えいなどを事前に防止するほか、スパムメール対策として、従来のブラックリストによる受信制御だけでなく、受信を許可するホワイトリストのみの受信とするなどの機能を搭載した。

 3つめは、利用者の生産性向上である。

 「宛先が自分だけのメールに関しては、自分宛に優先的に送られてきた内容だと判断し、それに青丸をつけて表示したり、toに入っていた場合や、ccに入っていた際のそれぞれの表示方法を個別に指定することなどが可能になる。また、サムタイムによるチャットの業務利用においては、その履歴を保存しておきたい、といった要望もあり、これも今回の製品で実現した」(澤田事業部長)という。


宛先が自分だけの形で送信されたメールは青で表示するように設定。CCではないということで、自分にとっては重要なメールと判断した上で識別する
メールボックスのなかから、同一メールの過去のやりとりだけを取り出して表示することも可能

米IBMロータスソフトウェアグループのマイク・ローディンゼネラルマネージャー

これまでのNotes/Dominoの発展経緯。来年にはHannoverと呼ばれる新製品が投入される
 米IBMロータスソフトウェアグループのマイク・ローディンゼネラルマネージャーによると、「Notes/Domino 7では、ユーザーの要求をもとに100以上の改良を加えており、これらのメール制御の各種機能もユーザーの要求を反映したもの」としている。

 4つめは、TCO削減である。Notes/Domino 7では、運用管理の集中化、自動化に力を注いでおり、「Notes/Domino R5からのバージョンアップでは、22%のTCO削減が可能になるほか、Notes/Domino 6からのバージョンアップでも8.5%のTCO削減を可能にする」(澤田事業部長)としている。

 そして、最後が、「将来へのコミットだ」と澤田事業部長は語る。

 同社は、今年6月時点で、次期Notesクライアント製品として、Hannover(開発コードネーム)の存在を明らかにしており、今回の会見でも「Hannoverは、オープンスタンダード対応を前提とし、大幅な進化を遂げるもの。これは、15年前に、ロータスが初のコラボレーションツールを投入した時に匹敵する革新になる」と、ローディンゼネラルマネージャーは語る。

 「Notes/Dominoは、過去4年間で4回のバージョンアップをしてきたが、その間、競合他社はどれだけの機能強化をしたのか、また予定通り進化を遂げているのかは疑問だ。ロータスは、これまで公言してきたことをすべて実行している。ロードマップを明らかにすることで、将来にわたって、安心して利用してもらえることをコミットできる」(ローディンゼネラルマネージャー)としている。

 なお、価格は、サーバーライセンスは、Lotus Domino Messaging Serverが11万4700円から、Lotus Domino Enterprise Serverは29万6700円から。また、ユーザーライセンスは、Lotus Domino Web Access Collaborationが1万5600円から、Lotus Domino Web Access Messagingが1万100円から、Lotus Notes with Collaborationが2万100円、Lotus Notes with Messagingが1万4500円。いずれも税別。


2つの販促施策を展開

今回発表された2つの販促施策

「Notes/Domino 7 Readyパートナープログラム」参加パートナー
 一方、同社では、今回の製品発表に伴い、2つの販促施策を開始する。

 ひとつは、「グループウェア乗り換えキャンペーン」である。

 他社製グループウェアを利用しているユーザーのうち、従業員数が1000人以下の企業に対して、1ユーザーあたり5000円以下で、Lotus Domino Web Access Messagingを提供するというもの。正式な価格は、10月中旬にも発表される予定。

 さらに、キャンペーン対象ユーザーに対して、Webベースのコラボレーションポータル製品である「Workplace Services Express 2.5」を、20ユーザーライセンスを無料で提供する。

 期間は、11月1日から12月26日までの予定。「これまでNotes/Dominoに触れたことがない中堅・中小企業ユーザーに体験してもらいたい」(澤田事業部長)という。

 もうひとつのキャンペーンは、アプリケーションパッケージの開発パートナー向けプログラムとなる「Notes/Domino 7 Readyパートナープログラム」である。

 次期バージョンが出荷されるまでの期間を対象に、アプリケーション開発支援のための技術相談窓口の提供、日本語技術Q&Aサービスの提供、販売促進支援活動、セミナーを通じた製品紹介などを行っていく。すでに国内25社がこれに参加しているという。

 「今後、参加パートナーを拡大させ、Notes/Domino 7対応製品のラインアップも強化していきたい」(澤田事業部長)としている。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-6.ibm.com/jp/press/20051005001.html


( 大河原 克行 )
2005/10/05 17:00

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