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マイクロソフト、ファイルサーバー向けの“HDDベース”バックアップ・リカバリ環境構築ソフト


サーバープラットフォームビジネス本部 メッセージング&システムインフラストラクチャグループのエグゼクティブプロダクトマネージャ、井口倫子氏

DPMの利用イメージ
 マイクロソフト株式会社は10月6日、HDDベースのバックアップ環境を構築するためのソフト「Microsoft System Center Data Protection Manager 2006」(以下、DPM)を販売開始すると発表した。同製品はOEM、ボリュームライセンス、パッケージの3形態で提供され、OEMとしては同日に日本HPがDPM搭載アプライアンスを発売したほか、パッケージ製品が10月7日より提供開始される。

 サーバープラットフォームビジネス本部 メッセージング&システムインフラストラクチャグループのエグゼクティブプロダクトマネージャ、井口倫子氏によれば、「現在のサーバー環境のバックアップにおいては、時間がかかる、効率が悪いといった問題を抱えている。またリカバリには人手がかかるため、運用コスト(人件費)が高くなってしまう」という。

 こうした構図は、主にテープ装置によってバックアップ/リカバリが行われている中堅・中小企業において特に多く見られることから、マイクロソフトでは、手軽にHDDベースのバックアップを行えるDPMを提供することによって、問題の解決を図ろうとしている。「最終的なテープのバックアップはもちろん必要だが、HDDを使ったバックアップ/リカバリソリューションなら、課題を解決できるだろう」(井口氏)。

 DPMでは、バックアップ対象となるファイルサーバーのデータを、ネットワーク経由で自動バックアップでき、一度バックアップしたファイルに関してはByte単位での差分バックアップが可能になる。また、自動バックアップは最小1時間単位で可能なほか、最大64世代の世代管理を行えるため、万一データが失われた場合でも、被害を最小限に食い止めることができるという。

 最大の特徴は、管理者だけでなく、エンドユーザー自身によるファイル復元が可能な機能を備えていること。特別なトレーニングなしでリカバリを実行できるこの機能によって、ヘルプデスクや管理者の負担が相当に軽減できるという。「たとえば、ファイルサーバー上の他人のファイルを誤って上書きしてしまった、という場合に、これまではヘルプデスクに頼んで戻してもらっていたが、DPMではWindows XP SP2のエクスプローラ上からコピー&ペーストでできるようになる」(井口氏)。


Windowsのエクスプローラに似た、管理者向け「管理コンソール」のGUI Windows XP SP2ではファイルのプロパティに「以前のバージョン」タブが新たに追加され、ここから簡単に復元ができる Office 2003を利用していれば、アプリケーションから以前のファイル状態を復元することも可能だ

 なおDPMは、データを格納するDPMサーバーを構築するためのサーバーライセンスと、ファイルサーバーにインストールするエージェントソフトから構成されており、前者にはDPMサーバーライセンスが、後者にはデータ保護管理ライセンス(DPML)が必要になる。また、ファイルに対するアクセス権を管理するため、Active Directoryが必須になるので、注意が必要だ。

 対応OSは、DPMサーバーがWindows Server 2003 SP1とWindows Storage Server 2003 SP1、バックアップ対象となるファイルサーバーが両OSに加えてWindows 2000 Server SP4。推定小売価格は、1サーバーライセンスと3台分のDPMLを含むパッケージ版の場合で、19万2000円。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  ニュースリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2428

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  ・ 日本HP、マイクロソフトのバックアップソフトを用いたアプライアンス(2005/10/06)


( 石井 一志 )
2005/10/06 17:13

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