Enterprise Watch
最新ニュース

ファイルメーカー、PDFとのデータ連携機能などを拡充したDBソフト新バージョン


FileMakerのドミニーク・グピール社長
 ファイルメーカー株式会社は10月12日、データベースソフト「FileMaker」の新バージョン「FileMaker Pro 8」を発表した。

 米FileMakerは米Apple Computerの100%子会社で、データベースソフトFileMakerの開発、販売を行っている。「FileMakerは累計で1000万本をリリースした実績をもつ。特に前バージョンのFileMaker 7は大きなマイルストーンとなった製品で、150万本以上を出荷した。日本法人の売り上げも好調に推移しており、全売り上げの4分の1が日本市場からあがり、創業以来黒字化を実現している」(FileMakerのドミニーク・グピール社長)。

 新バージョン「FileMaker Pro 8」のコンセプトは、「Work Faster」と「Share More」。グピール社長によれば、「FileMaker Pro 8は、前バージョンである7の強みに基づいて開発を行った。より効率的に仕事を進めていくことができるようWork Fasterというコンセプトを掲げ、ファイルメーカーを持っていないユーザーともデータ共有が可能となるようShare Moreというコンセプトを掲げた」という。

 Work Fasterを実現する新機能のひとつが、「Fast Match」。検索モードに移行することなく、現在のフィールドから情報を選択し、マウスをワンクリックすれば該当レコードすべてを検索することができる。検索の条件の絞り込み、拡大などすべての検索を文字入力なしに実行できる。「サーチモードに入ることなく検索が行えるので、より作業の効率化を実現した」(FileMakerのシステムエンジニア、アンドリュー・ルケイツ氏)。

 「FastSend」は、画像、書類、Excelファイル、その他、どのようなフィールドのコンテンツであっても、FileMakerから直接eメール送信することができる機能。「以前のバージョンにもメール送信機能は存在していたが、スクリプト言語の中の機能のひとつだったため、複雑すぎるという声があった。今回、eメール送信が簡単に行えるようになったことで、企業ユーザーにとっては大きな助けとなるはず」(ルケイツ氏)。


FileMakerのシステムエンジニア、アンドリュー・ルケイツ氏

ファイルメーカーの宮本高誠社長
 Share Moreを実現する機能のひとつが、PDFファイルをFileMaker Pro 8から直接書き出せる「PDF Maker」。FileMaker Pro 8で作成した請求書や見積書、売り上げ集計表、企画提案書などをPDFファイルとして保存したり、ほかの利用者に送ることができる。

 グピール社長が「PDFのサポートは、マイクロソフトがOffice12で実現すると発表している。当社はOffice12より1年早くPDFへの書き出しを実現した」とコメントしていることからもわかるように、マイクロソフト製品との差別化も意識した機能だ。PDFへの書き出しによって、印刷、メールの送信が可能であるほか、「メタデータの付加が可能となるため、後のデータ検索の際に大きな威力を発揮する」(ルケイツ氏)。

 FileMakerでは、以前からExcelファイルの取り込みが可能だったが、今回新たに付加された「ExcelMaker」によって、今まで以上に簡単にExcelデータの共有ができるようになった。「ラウンドトリップが可能となったため、ExcelのデータをFileMakerPro8で管理することも可能になった。さらに、そのデータをeメールで送信することもできるので、ユーザーにとってはより効率よくExcelデータを活用していくことができる」(ルケイツ氏)。

 また、従来は「FileMaker Developer」の名称だった開発者向けバージョンは、「FileMaker Pro Advanced」に名称変更。Advancedは通常製品の機能すべてに加え、「カスタムメニュー」、「ポップアップヘルプ」、「データビューア」といった独自機能を持っている。

 カスタムメニューは、メニュー画面に表示する機能をユーザーが設定することを可能とした機能。「トップページのメニューは、統一されたものだったが、この新機能によってメニューのとりはずし、修正、追加などが可能になり、上級ユーザーにとってはより早くアプリケーション作成が実現できる」(ルケイツ氏)。

 ポップアップヘルプは、カーソルをあてると固定のテキストや計算式の結果を表示するヘルプを作成する機能。問い合わせを受けることが多い部分にカーソルを合わせると、問い合わせ電話番号を表示するといったことが可能となる。


パッケージを手にFileMaker 8をアピール
 製品の発売時期と価格は、FileMaker Pro 8が11月中旬発売予定で、価格は3万8000円(税別)。FileMaker Pro 8 Advancedが11月中旬発売予定で、価格は5万8000円(同)。サーバーバージョンの「FileMaker Server 8」は12月中旬発売予定で、価格は12万8000円(同)。開発者向けサーバーバージョンの「FileMaker Server 8 Advanced」は2006年1月発売予定で、価格は28万8000円(同)。Windows Mobile2003、Palm OS5をサポートしている「FileMaker Mobile 8」は、2006年1月発売予定で8800円(同)。なお、FileMaker 6にあったi-mode対応製品は、新バージョンでは開発予定はないとしている。

 全製品とも、Windows、Machintoshの両方のOSをサポートしており、1つのパッケージに両方のライセンス版を搭載している。「このライセンス方法を聞いて、1つの職場で2台のパソコンにインストールができるのではないかと考えた方もいるかもしれないが、それはできない。ただし、使い手が同じ人であること、同一時間に利用することがないことから、一人の利用者が職場のパソコンと自宅用のパソコン、もしくはデスクトップパソコンと、モバイルパソコンといったものの両方に、製品をインストールして利用することは認める」(日本法人の宮本高誠社長)という。つまり、一人が利用するのであれば、会社のWindowsパソコンと自宅のWindowsパソコンの両方に1つのライセンスをインストールすることも可能となる。



URL
  ファイルメーカー株式会社
  http://www.filemaker.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.filemaker.co.jp/news/p20051012.html


( 三浦 優子 )
2005/10/12 20:29

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.