Enterprise Watch
最新ニュース

IBCS、IBMとレノボの経営統合経験生かす「M&A経営統合サービス」


IBCS 戦略コンサルティングサービス担当 金巻龍一取締役
 IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社(以下、IBCS)は10月24日、企業がM&Aを実施したことによって必要となる事業、組織の統合、分割を効果的に実現する「M&A経営統合サービス」を開始した。

 「IBMというと、IT統合から話が始まることが多いが、経営という視点で考えれば、ITから話が始まることはナンセンス。ITも含めた経営全体について、効率的に事業の統合や分割などを進めるためのもの。実際にIBMとレノボの統合を4カ月で実現した経験をもつ」(IBCS・戦略コンサルティングサービス担当・金巻龍一取締役)


 サービスとして、次の7つの主要サービスを提供する。

 (1)M&A経営統合レディネス診断サービス=経営統合プログラムを実施するために必要なスキル、能力のうち、当事者である企業自身でまかなえるものと、不足しているものとを区別し、体制構築などを助言するサービス

 (2)経営統合プログラム診断サービス=顧客である企業の統合計画について短期間でレビューし、統合をより効果的なものとするために助言を行うサービス

 (3)経営統合実行支援サービス=IBM自身の経営統合体験に基づいたテンプレートや手法を活用することで、経営統合プログラム特有の多領域にまたがる複雑なマネジメントの遂行を支援するサービス

 (4)ビジネスプロセス統合サービス=統合効果を最大化するプロセスを設計し、その実装を支援するサービス

 (5)IT統合サービス=情報システムの現状分析、統合計画の策定、新システムの設計と移行を支援するサービス

 (6)チェンジマネジメントサービス=経営統合の渦中にいる社員の動機付けと意識変革のためのコミュニケーションを中心に支援するサービス

 (7)ポスト経営統合支援サービス=経営統合プログラム解散後、通常組織に移管された継続的統合の支援


 金巻取締役は新サービスを提供する前提として、「グローバル企業1200社を対象に行った企業の成長と価値創造のパフォーマンス分析を行ったところ、成長についての通説が当てはまっていない部分が多いことが明らかとなった。例えば、企業成長の手段としてM&Aは適切ではないというのが通説だが、実際はM&Aは成長に大きく貢献している。高成長を遂げている企業はより多くのM&Aを実施している。また、成長を実現するための正しい方法はひとつとされるが、実際には成長達成の道のりは多様。ただ、業界にとって『勝ち方』というのは存在する」と成功の通説と現実の違いを強調した。

 その中でIBMは、「あまり有名ではないが、IBMは異業種など日本企業が不得意なM&Aを多数実施している。さらに、当事者でなければわからない経営統合にまつわるポイントを熟知している」という。


 実際にIBMとレノボの統合を4カ月で実施したが、「経営統合は時間をかけてやっていくべきだといわれているが、法的な問題で短期間に実施しなければならない問題もあるし、メンタル面で短期間に事を成し遂げなければモチベーションが持続しない部分もある」として、利用した手法のいくつかを紹介した。

 「Component Business Model(CBM)」は、統合する企業同士の事業内容や意見統一をはかるためマップを使って具体的に物事を認識していく。

 「よく、地図そのものをCBMと誤解されるが、地図を用いながら細かい部分まで認識を一致させ、今やらねばならないことと将来やるべきことを分けていくことが重要。現状や問題点を認識することで、次にやるべきことが何かが明らかになってくる」(金巻取締役)

 グローバル企業が経営統合を行う場合には、「地域によって営業拠点のやっていることは違うというお客様が多いが、どの地域でどんなことをやっているのか、地図化して明確化し、個別に保有すべき機能や共有すべき部分はどこか、洗い出しを行っていく必要がある」と説明している。


IBMとレノボの統合に活用した手法やノウハウを新サービスとして提供
現状の問題点などを明らかにするために活用したCBM

経営統合を実施中の企業をサポートするPMOでは6つの機能を提供
 短期間で経営統合を実現できたのは、「Project Management Office(PMO)」と呼ばれる組織を作成。1)ヘルプデスク、2)インフォメーションデスクに集まった情報の整理を行うアーカイバー、3)作業スケジュールの作成などを行うプランナー、4)例外の切り分けを行うコントローラー、5)個別の課題解決のサポートを行うエージェント、6)ステークホルダー分析などを行うコミュニケーションという6つの機能をもって、企業を横断的にサポートしたため。

 IBMとレノボの場合、合計で5000のタスクが存在したが、重要性とプロジェクト管理能力に分けてPMOが支援すべきプロジェクトを明確化。支援を行ったことによって、事業はスムーズに進んだという。

 サービス一件あたりどの程度の価格となるかなどは、「企業規模などによって異なるため、個別相談とする」としている。

 当初はこの事業でどの程度の売り上げをあげるかなどの目標設定も行わないが、IBCS側の体制では年間で5件程度の案件に関わることができるのではないかとしている。

 「こうしたサービスは、これまでになかったサービス。こういうサービスが存在すること、M&Aは成功後にどんなことをするかが重要な焦点であることなどをアピールしていきたい。特に日本企業がM&Aを実施する場合には、ノウハウ不足で困っていることが多いのではないか。そうした問題をこのサービスによってサポートしていきたい」(金巻取締役)



URL
  IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社
  http://www-06.ibm.com/services/bcs/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/20051024001.html


( 三浦 優子 )
2005/10/24 17:41

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.