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弥生、ネットワーク対応版販売管理ソフトなどの「弥生 06シリーズ」

堀江氏は「SAPやOracleと肩を並べたい」と夢を語る

弥生会計 06の画面イメージ

弥生の代表取締役社長、平松庚三氏
 弥生株式会社は10月26日、業務ソフト「弥生シリーズ」の新版「弥生 06シリーズ」を、12月2日より順次販売開始すると発表した。今回は「弥生会計 06」「弥生販売 06」「弥生給与 06」のスタンドアロン製品に加え、弥生販売、弥生会計のネットワーク対応版も投入される。

 弥生シリーズは、累計100万本を売り上げている業務ソフト。会計、販売、給与などの各分野に対して、主に従業員30名以下の小規模事業所や個人事業主に向けた製品が提供されている。しかし、同社の市場シェアは伸びているものの、「市場全体は横ばいかやや下降気味」(弥生の代表取締役社長、平松庚三氏)であることから、前シリーズ「弥生 05」より、従業員300名以下の中規模事業所に向けたネットワーク対応版の会計ソフト「弥生会計 NE」をリリースしている。

 今回弥生では、その路線をさらに進めて、弥生販売に関してもネットワーク対応版を発表した。それが「弥生販売 06 NE」で、同社ではこれまでのアピールしてきた弥生シリーズの「かんたん・やさしい」というブランドイメージを生かし、これまでより上位の市場への食い込みを図る。

 またネットワーク対応版という上位製品を積極展開する別の理由として、弥生シリーズを利用している企業が成長した時に、対応できる製品がなかったこともあるという。平松氏は、「弥生のユーザー企業が成長すると、これまではPCAやOBCといったベンダの製品を利用するところがとても多い」と、ユーザーを逃がしていた状況を説明。

 その上で、「価格面では(10万円を切る)既存の弥生シリーズと200万円を超えるそうした製品との間に大きな開きがあった」とし、5ユーザーで100万円を切る弥生販売 NEによって、ユーザーをキャッチアップしていけるだろうという自信を示した。

 製品全体を見ると、弥生会計 06に関しては、ボタンの改良やオンラインバンキングからの銀行明細取り込み機能の装備などが行われたことに加え、集計機能を強化。弥生給与 06では2006年の法令改正へ対応させた。一方、弥生販売 06では、「クイックナビゲータ」機能のリニューアルによる使い勝手の向上、請求明細書の新サプライ追加、送り状フォームの追加といった改良がなされた。

 価格は、弥生会計 06/弥生販売 06のプロフェッショナル版が8万4000円、スタンダード版が4万2000円、弥生給与 06が8万4000円。弥生会計 NE 06は2ライセンス版で37万8000円から、弥生販売 NE 06は5ライセンス版で84万円から。


堀江氏が登場、夢を語るとともにシナジー効果を説明

弥生シリーズのパッケージを手に製品をアピールする平松社長(左)と、ライブドアの堀江貴文社長(右)
 記者会見には、弥生を2004年末に買収したライブドアの代表取締役社長兼CEO、堀江貴文氏も登場、弥生についての熱い思いを語った。同氏は「かつてライブドア(当時はオン・ザ・エッジ)を起業した時には弥生会計を使っていた」と述べたほか、「給与計算を外注している企業は弥生給与を使っているので、現在も給与袋は弥生のサプライ品」というエピソードを披露。また、「使い勝手を考えると、小さい会社が大きくなっていっても、同じシリーズを使い続けられていくのは有用。(将来的には)弥生をアジア発の総合会計ソフトメーカーとしたい。数年後には、SAPやOracleと肩を並ぶブランドになっていると確信している」との大きな意気込みを語っている。

 もっとも、平松社長はそこまでは考えていないという。それでも、「弥生給与 NE」の投入を2006年に控えていることを明らかにした上で「より上位のERP(製品の分野)へ参入できるよう長い目で見てやっている」と述べ、さらにターゲットを拡大していく考えを示した。同社が競合として意識しているOBCには「奉行新ERP」、PCAには「Dream21」というより上位の業務ソリューションがあり、平松氏の発言はこのあたりを念頭に置いていると見られる。

 また話は、弥生がライブドアグループの一員になったことによるシナジー効果にも及んだ。堀江氏は「中国・大連にある当社のオフショア開発のセンターを弥生でも利用したが、クオリティは若干落ちるものの、コストは1/3と、ローコストな開発ができる」と述べ、アドオンを含む新製品投入までのサイクルが長くなってしまっていた弥生の弱点を、利益を圧迫することなく回避できるようになるだろうとした。

 さらにライブドア側の効果として、弥生のコールセンターが優れている点を挙げる。通常、サポートセンターはコストがかかる存在であるが、弥生の場合は逆に利益をあげているとし、このノウハウを利用して「ライブドアでもかかりやすくて顧客満足度の高いセンターが作れる。金融のカスタマーセンターなどに役立ちそうだ」(堀江氏)と述べている。

 「高収益企業は、製品を普及させ市場でシェアを奪って、サポートやサプライの販売で利益を上げているが、弥生もこれは同じ。こういったモデルをライブドアグループのいろいろなところへ適用していきたい」(堀江氏)。



URL
  弥生株式会社
  http://www.yayoi-kk.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.yayoi-kk.co.jp/news/20051026.html

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( 石井 一志 )
2005/10/26 19:01

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