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バックアップは“マイクロソフト製だけでは不十分”?-日本HPとシマンテック


HP ProLiant DL380 Storage Serverをベースにした、DPSSの9TBモデル
 マイクロソフトは10月より、Windowsファイルサーバー向けバックアップ/リカバリーソフト「Microsoft System Center Data Protection Manager 2006(以下、DPM)」の提供を開始した。DPMはいわば“マイクロソフト純正”のバックアップソフトであり、ユーザーとしてはサードパーティ製と比較して安心感のある製品といえるだろう。

 これに合わせて日本HPは、DPMとWindows Storage Serverをプリインストールする「HP ProLiant Data Protection Storage Server(以下、DPSS)」を発表し、すでに提供を開始している。DPSSはActive Directory環境下のWindowsファイルサーバー向けバックアップ専用機として位置づけられている。ファイルサーバー20台、5TBまでのバックアップに対応する。

 当然、ハードとソフトの動作確認済みであり、同社からトータルサポートが受けられる。同社調査によると中堅・中小企業で利用されているファイルサーバーの95%がWindowsベースとのことで、データ保護の必要性がますます高まる今後、DPSSのような製品を使ってファイルサーバーにバックアップ機能を備えるユーザーが増えそうだ。


DPMを補完するBackup

 DPSSは基本的にHDDからHDDにデータをバックアップするディスクベースの製品だが、災害対策やデータの長期保存などを考えると、テープなど外部メディアへのバックアップも必要となる。この場合、DPSSの先にさらにテープドライブを接続する“Disk to Disk to Tape(D2D2T)”構成となる。こうしたシステムの構築と運用をサポートするのが、シマンテックが10月より発売した「Symantec Backup Exec 10d for Windows Servers(以下、Backup Exec 10d)」だ。

 Backup Exec 10dにはDPMがなくてもD2D2T構成を構築できる機能を備えるが、同時にDPMと連動する「DPMエージェント」を提供している(価格は17万3250円)。これを利用することにより、DPMからテープへのバックアップ作業を自動化し、管理性を向上することが可能だ。Backup Exec 10dはDPMとは別にサーバーを用意する必要があるが、複数のDPMのバックアップを1台で行うことができる。

 テープを利用する以外にもDPMとBackup Exec 10dを併用するメリットはある。例えば、DPSSのようなDPMをインストールしたサーバーがハードウェア的に故障した場合、またはウイルスなどに感染してしまった場合に、Backup Exec 10dからDPMを再構築することができる。また、DPMの故障時にファイルサーバーにあったデータをリカバリーを求められるような場合に、Backup Exec 10dからファイルサーバーへリカバリーすることも可能だ。「有事に有事が重なった場合でも対応することができる」(ベリタスソフトウェア シマンテックコーポレーション マーケティング本部ソリューションマーケティングマネージャー 大畑正典氏)。

 またBackup Exec 10dは、DPMのほか、Active DirectoryやSQL Server、ExchangeといったWindows Server Systemを構成する製品それぞれのエージェントを提供しており、これらのバックアップをまとめて行うことが可能だ。


DPMエージェントを利用することでBackup Exec 10dと連動して自動バックアップが可能 DPMとBackup Exec 10dの構成例

DPMが動作するDPSSなどに障害が発生した場合にBackup Exec 10dからDPMを再構築することができる DPMが稼働できない間は、Backup Exec 10dから直接ファイルサーバーにリカバリーすることが可能 Windows Server Systemのトータルバックアップが可能

日本HP エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 プロダクトマーケティング部 ストレージ・ワークス製品本部 瀧澤一彦氏
 現在、DPSSとテープドライブ「HP StorageWorks Ultrium Tape Library」を持つ日本HPと、Backup Exec 10dを持つシマンテックが共同でこうしたソリューションを提供するという動きはないが、日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 プロダクトマーケティング部 ストレージ・ワークス製品本部の瀧澤一彦氏は「パッケージ製品としての提供は検討していきたい」と述べている。




URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  シマンテックグループ ベリタスソフトウェア株式会社
  http://www.veritas.com/ja/JP/

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( 朝夷 剛士 )
2005/11/09 17:50

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