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BDD 2.0のメリット
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Windows本部の永妻恭彦氏
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マイクロソフト株式会社は11月21日、プレス向けのラウンドテーブルを開催し、11月15日に提供を開始した「Microsoft Business Desktop Deployment Version 2.0 日本語版」(以下、BDD 2.0)に関する説明を行った。
BDD 2.0は、クライアントPCのセットアップ時におけるイメージ作成や、イメージ、スクリプトを大量展開するためのサーバー(ビルドサーバー)の構築を支援するためのツールキット。クライアントPCを企業内で展開するために必要なベストプラクティスをまとめたドキュメント類と、実際の展開を容易にするモジュールをまとめた「コンピュータイメージングシステムツール」、サンプルスクリプトが用意されており、マイクソフトのWebサイトから無償でダウンロードできる。
そのBDD 2.0ではクライアントPCの展開に関して、主に2通りの手法をサポートしている。まず1つ目はSystem Management Server(SMS) 2003を用いてソフトを配布する「ゼロタッチ・デプロイメント」で、SMS 2003の管理コンソールで条件に一致したクライアントPCへ、自動セットアップを行う手法だ。SMS 2003とActive Directoryが必須となるため、コスト面などを考慮すると、中・大規模での使用に向くという。
またもう1つは、「ライトタッチ・デプロイメント」と呼ばれる手法で、このやり方では、OS・アプリケーションの展開用にビルドサーバーを構築し、イメージの配布を行っていく。BDD 2.0にはビルドサーバーの構築に必要な構成ファイル/フォルダが含まれるため、セットアップ用イメージの作成からクライアントPCへのセットアップまでを、SMS 2003やActive Directoryがない環境でも実施することができる。
Windows本部の永妻恭彦氏は、BDD 2.0が提供するメリットについて「クライアントPCの展開にかかるコストを削減できる」と述べる。現在、日本国内ではまだOSの再セットアップやアップデート時の作業、アプリケーションインストールなどを手動で行っているところが多いという。しかし永妻氏は、こうした手動管理と、イメージによる自動セットアップやユーザー情報の自動移行が可能な統合管理を比べた場合、TCOが20%以上も違ってくるという調査会社のデータを示し、BDD 2.0などを用いた統合管理には明らかなメリットがあると述べた。
また、OSのセットアップやアプリケーションのインストール作業などを手動で行う際には、短くとも1時間、実際には2~3時間は最低で取られてしまう。それに対してBDD 2.0による統合管理の場合、イメージからの展開になるので、環境の移行までを含めて30分程度で終了する。永妻氏は「作業時間の短縮も大きなメリットだ」と強調していた。
ただし、BDD 2.0が提供されるようになり、以前よりは簡単になったとはいえ、それでもすべてのユーザーが統合管理を自力で実現するのは難しい。そこでマイクロソフトではジェトロニクス株式会社と協業。デスクトップ環境を最新版へ自動で移行させるアウトソーシングソリューションをジェトロニクスから提供できるようにした。
その「RDX展開サービス」は、OSバージョンアップやクライアントPCの入れ替えなどを行うサービスで、ゼロタッチ・デプロイメントの手法を採用したもの。実際の作業では、現環境におけるインベントリ情報の収集から展開計画の作成、テスト、OS・アプリケーションの配布作業までを、ジェトロニクスが代行する。
価格はSMS 2003環境の構築費用を含めて1万5000円/台からで、別途SMSサーバーのハードウェア、ソフトウェアライセンス費用などが必要になる。ジェトロニクスによれば、500台以上の環境からコストメリットが出てくるとのことで、大規模ユーザー環境での利用を想定している。
またジェトロニクスでは要望に応じて、セキュリティパッチやアプリケーションの配布、OS・アプリケーション環境の管理などを代行する「RDX運用・管理サービス」と、顧客が自社でSMS 2003などを用いた統合管理システムを構築するのを支援する「RDXコンサルティングサービス」も提供するとのこと。
■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
プレスリリース(11月15日)
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2495
( 石井 一志 )
2005/11/21 18:52
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