日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は11月29日、Itanium 2を搭載する「HP Integrityサーバ」とHP-UX上で稼働する仮想化技術を取り入れた新製品群と、SolarisなどからHP-UXへの移行を促進するサービスを発表した。
発表された新製品は、HP-UX上に複数の仮想OS環境を構築するソフトウェア「HP Integrity Virtual Machines(以下、HPVM)」。およびHPVMを使ったシステム環境に変更を加える際の事前シミュレーション、仮想化環境のモニタリング、自動管理などを行うツール群。
HPVMは、1つのCPUリソースを5%単位で各仮想OSに配分するとともに、I/Oを共有できることが特徴。1CPUあたり最大20の仮想OS環境を構築することが可能なほか、配分するCPUリソースをダイナミックに変更することができる。負荷が高まった仮想OSに対して、別の仮想OS環境からリソースを割り当ててパフォーマンスを安定させるなど、リソースの有効利用が可能となり、コスト削減につなげる。
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HP Integrity Virtual Machinesの概要
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HP Integrity Virtual Machinesの利用例
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エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 OEプロダクトマーケティング部長 栄谷政巳氏
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同社エンタープライズストレージ・サーバ統括本部OEプロダクトマーケティング部長の栄谷政巳氏によると、例えば負荷が小さいときはCPU2個で運用し、大きくなった場合に予備で用意しておいたCPUを稼働させ、リソースを割り振るといったことも「再起動など必要なくオンデマンドで」できるという。
仮想OS間は隔離され、OSレベルの障害が発生した場合でも、ほかのOSに影響を与えることがなく、セキュリティも確保できる。仮想OS環境で動作するOSは、当初はHP-UXのみで、2006年末にWindows、Linuxをサポートする予定。価格は31万5000円で2005年末より出荷開始。
栄谷氏は活用例の1つとしてOSのパッチやアプリケーションのバージョンアップにおける評価を挙げた。「一度仮想OSを構築すれば複製が容易なため、運用環境からテスト環境にコピーして評価を行うことができる」。
また、同社はこの仮想化製品群を、展開中の「ITコンソリデーション基本構想策定サービス」に取り入れ、分散したサーバーなどの統合ソリューションを強化する。このサービスは現状のIT環境やコスト構造を把握した上で、同社製品を使って最適化された「あるべき姿」を提案し、移行計画や施策などを策定していくもの。仮想化技術を取り入れることで、従来よりさらに進んだ統合やコスト削減効果が期待できるという。
■ 仮想化技術を武器にSolarisユーザー獲得策強化
さらに同社は、HP-UXの仮想化環境構築ソリューションの強化にともない、SolarisからHP-UXへの移行需要を見込み、これをサポートする「HP-UXプログラム開発・ポーティング支援Expressサービス」を開始する。これはJavaやC++などで構築されSolaris上で利用されていたカスタムアプリケーションをHP-UX向けに移植する技術支援をするほか、支援ツールの提供、さらにHP-UXのライセンスを特別価格で販売する。
栄谷氏によると、IBMのAIXからの移行支援も検討しているとのことだが、まずはSolarisをターゲットに、仮想化技術を武器にしてユーザーを獲得したいとのこと。x86プラットフォームでもVMwareと連携したソリューションやXenの研究成果を発表しているが、UNIXでも仮想化技術を同社製品の強みとする構えだ。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
プレスリリース
http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2006/fy06-016.html
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( 朝夷 剛士 )
2005/11/29 12:00
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