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NEC、電子カルテでトップシェア目指す戦略的製品投入へ


岩波利光執行役員

MegaOakHR
 日本電気株式会社(NEC)は1月17日、電子カルテシステムの新製品として「MegaOakHR」を発表した。

 医療情報システムは、政府のIT新改革戦略のなかでも「ITによる医療の構造改革」として重点施策のひとつとしてとらえられ、そのなかで「導入目的を明確化した上で、電子カルテ等の医療情報システムの普及を推進」することが掲げられている。

 今回の電子カルテシステムは、こうした医療現場の状況や需要動向にあわせて、従来の製品を強化したもので、新たにMegaOakHRの名称にするとともに、「施設間連携」、「安全・安心」といった点での改善を図っている。

 「HRの名称には、医療情報から健康情報までを含めたヘルスレコードの意味とともに、地域連携であるヘルスケア・リレーションの意味を込めた」(NEC・岩波利光執行役員)という。

 施設間連携としては、専門的な検査や治療が必要なときに、かかりつけ医と地域の中核病院との間で、紹介あるいは逆紹介といった電子紹介状の連携、カルテデータ、画像データなどの診療情報連携などを容易に行えるようにした。すでに、公立富岡総合病院での実証実験を開始しており、この成果を製品に反映していく考え。

 一方、安全、安心という観点では、与薬や検査での医療ミスが発生しやすいことから、同姓同名者の選別などの患者の正確な確認、アレルギーや感染などの確認、処方や注射の実施チェックなどの機能を搭載した。

 さらに、業務フロー提案による導入工数の削減、シンクライアント端末を活用した新設計によるハードウェア費用の低減、作業手順やマスタ作成などの導入作業の標準化によるコスト削減効果などにより、一床あたり80万円での電子カルテの導入が可能になり、「従来の当社製品に比べても20%の導入コスト削減が図れた。今後もさらなるコスト削減に取り組んでいく」(岩波執行役員)としている。


 MegaOakHRは、基本となる電子カルテパックに加えて、看護支援オプションなどの各種オプション、医療事務に対応したモジュールなどを用意。ユーザーの利用環境にあわせて選択が可能。さらに、必要なモジュールだけを組み合わせて提供するMegaOakHR-BSや、ユーザーの要求仕様にあわせてカスタマイズを行うMegaOakHR-CSを用意している。

 また、従来のMegaOakからMegaOakHRへのアップグレードサービスとして、アップグレードパスの提供、データ、マスタの移行ツールの提供、通常の半額となるアップグレード特別価格の適用などを予定している。

 MegaOakHRは、6月1日から販売を開始し、10月からオーダリングシステムが順次稼働する予定。電子カルテシステムの稼働は2007年1月以降を予定している。

 「今後3年間で250システムの販売を見込んでおり、電子カルテ市場において、現在第2位のシェアをトップに引き上げたい」(岩波執行役員)と意欲を見せている。

 一方、同社では今回の新製品の発売にあわせて、同社およびパートナー会社の電子カルテ製品のブランド統合を実施。NECシステムテクノロジーの複数病院対応Web型電子カルテシステムの「SyntheScope」を「MegaOak SyntheScope」に、シーエスアイの電子カルテシステム「HS-MI・RA・Is」を「MegaOak MI・RA・Is」と名称変更し、MegaOakHRシリーズとしての統一感を図るとともに、それぞれのパッケージ間の電子カルテデータの相互参照などの連携強化を図った。


MegaOakHR製品体系 MegaOakHR提供スケジュール 電子カルテ製品のブランド統合


URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0601/1702.html


( 大河原 克行 )
2006/01/17 13:45

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