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マイクロソフト、手軽に使えるHPCを目指した「Compute Cluster Server 2003」


CCS 2003の構成

サーバープラットフォームビジネス本部Windows Server製品グループ マネージャの中川哲氏
 マイクロソフト株式会社は1月19日、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けプラットフォーム「Microsoft Windows Compute Cluster Server 2003(以下、CCS 2003)」の製品説明会を開催した。

 CCS 2003は、Windows Server 2003 x64 EditionベースのWindows Server 2003 Compute Cluster EditionとCompute Cluster Packによって構成される。Compute Cluster Editionはサーバー用途に限定されたOSで、メールサーバーやDBサーバーとして利用できないかわりに、Standard Editionよりも安価な価格で提供される予定。Compute Cluster Packは、Compute Cluster Editionを含むWindows Server 2003 x64 Edition用の追加コンポーネントで、インストールすることでHPCを構成するノードとして機能する。CCS 2003では、128ノードまでのクラスタリングに対応し、MPI2、RDMA over GbE、InfiniBandをサポートする。

 HPC市場の現状について、同社サーバープラットフォームビジネス本部Windows Server製品グループ マネージャの中川哲氏は、「これまでは科学技術分野で利用されていたHPCだが、今は産業分野でも利用されている。また、CPUの処理性能の向上により、演算パフォーマンスが15年前と比べて1万分の1にまで下がった。HPCで使用される環境としてもPCクラスタが半数以上を占めている」と、汎用環境がHPCで使われていると指摘。「マイクロソフトにとって、参入しやすい環境になっている」と、HPC市場に本格参入する理由を説明した。

 同社がHPC市場に参入する強みについて、中川氏は「Linuxなどと違い、Windowsという共通のプラットフォームを使用できるため、データの受け渡しやフォーマッティングで利用者にメリットがある。また、管理・運用面でもWindowsのわかりやすい操作性を活かすことができる」と説明する。「HPCを使う人が必ずしもコンピュータに詳しいわけではない。現状では、クラスタを構築するだけでも大変な作業なので、マイクロソフトが参入することで、利便性が高まる」と、Windowsベースであることのメリットを強調した。


CSS 2003の管理コンソール 管理コンソールからリモートデスクトップを利用してノードにアクセスすることも可能

CCS 2003が対象とする市場
 CCS 2003の正式は発売日や価格は未定。販売戦略などもまだ決定していないが、自動車産業や航空宇宙産業、生命科学産業、地球科学、金融サービスなどの産業分野を対象とする予定。中川氏は、「HPCの中でもマイクロソフトが狙うのは、64ノード以下の部門クラスタサーバー。スーパーコンピュータと戦うつもりはない」と、ミッドレンジ以下の層を対象とするとした。また、高性能ワークステーションも対象になると中川氏は話す。「高性能ワークステーションはデータの増大により処理が重くなっている。そうした分野にもCCSは有効。特にワークステーションの多くがWindowsをOSとして採用しているので、アプリケーションをそのままCCSで使えるメリットがある」とした。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  Windows Compute Cluster Server 2003(英語)
  http://www.microsoft.com/hpc/


( 福浦 一広 )
2006/01/19 19:00

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