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日本HP、ILMに関するソフトウェア2製品を投入


日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部ストレージ・ワークス製品本部・渡辺浩二本部長
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は1月24日、情報ライフサイクル管理(ILM)に関するソフトウェアとして、データベースサーバー向けのアーカイブソフト「HP StorageWorks Reference Information Manager for Database(以下、RIM for DB)」と、Windowsファイルサーバー環境向けエージェント型HSM(階層型ストレージ管理)ソフト「HP StorageWorks File Migration Agent(以下、FMA)」の2製品を、2月下旬から出荷すると発表した。

 2005年4月からのe文書法の施行に続き、日本でも、米国のSOX法に相当する企業の内部統制に関する法律の制定が見込まれており、それにあわせた文書データの管理、業務データの管理が企業の課題となりつつある。

 日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部ストレージ・ワークス製品本部・渡辺浩二本部長は、「企業における情報を取り巻く環境は、データ容量の爆発的な増大、ストレージの低価格化や仮想化技術の実用化などによるテクノロジーの進化、そして法的規制による情報管理意識の変化のなかにある。データそのものをどうコントロールするかが企業にとっての課題となっており、それに関するソリューションに高い関心が集まっている。今回、日本HPが提供するソリューションは、これまで静的なデータだけが対象になっていたILMを、動的なデータまでを対象にしている点が特徴で、企業の幅広いデータに関してのILM対応が可能になる」としている。


HPとStorageWorks製品のポートフォリオ HPのILM(情報ライフサイクルマネジメント)

 RIM for DBは、SAPやオラクル、サイベースといった企業データベースに特化したアーカイブソフトで、あらかじめ設定されたポリシーに従ってデータを識別し、指定されたストレージに再配置。再配置されたデータは、アプリケーションからはひとつのデータベースとしてアクセスができる。

 データの効率的な管理、活用とコスト削減のほか、コンプライアンスの観点でも効果を発揮できるソリューションと位置づけている。

 対応OSは、HP-UX 11/11i、Solaris 8、AIX、Windows NT/2000、Red Hat Linux。対応アプリケーションは、Oracle E-Business Suite 10.7/11/11i、PeopleSoft Enterprise 7.5/8.0/8.4/8.8/8.9、SAP Business Intelligence 4.0。対応ストレージは、HP StorageWorks XP、HP StorageWorks EVA、HP StorageWorks MSAとなっている。

 なお、オラクルやサイベースを使用して、カスタマイズされたアプリケーションに対しては、デペロッパーズエディションを利用することで対応が可能となっている。


 一方、FMAは、ファイルサーバー向けのエージェントソフトと位置づけられるもので、設定されたポリシーに従って、更新頻度の高いファイルを元のストレージに残し、更新頻度の低いファイルを他のストレージへ自動的に移動させることができる。ストレージのほか、NASやRISSも移行先ストレージとしての設定が可能となっている。

 価格は、RIM for DBが1785万円から、FMAが80万6400円から。RIM for DBでは、1ユーザーあたりの価格がコンサルティングなどを含めて、約1億円の規模になると想定しており、年間10億円の売り上げを見込んでいる。

 「まずは、コストに対する意識が高い製造系のユーザーを中心に展開。オラクルデータベースユーザーを対象に提案していくことになる」(日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部ストレージ・ワークス製品本部プロダクトマーケティング部・平田伸一氏)としている。

 なお、RIM for DBの現行バージョンでは、Oracle 9までの対応となっており、4月以降に投入される予定の次期バージョンでOracle 10gへの対応を予定しているという。


米HPストレージソフトウェアディビジョンインフォメーションライフサイクルマネージメント製品マーケティング&ソリューションダイレクターのゲーリー・リング氏
 また、今回の製品発表にあわせて来日した米Hewlett-Packardストレージソフトウェアディビジョンインフォメーションライフサイクルマネージメント製品マーケティング&ソリューションダイレクターのゲーリー・リング氏は、米国でのILMの導入事例などについて説明。「企業においては、データが増大し、それを格納したものの、そのデータが見つからないために、また同じデータを作ってしまうという動きがある。データが見つからないために、データを新たに作成するといったことに年間数十億ドルものコストがむだに使われているのが実態だ。これを企業データの健忘症、企業データの記憶喪失という呼び方をしている。HPのILMでは、情報の収集、管理、保管、活用といった4つの観点からのソリューションを提供しており、データの生成から廃棄までを動的に管理できる」とした。

 さらに、米国のネットバンク社の事例を紹介し、「ネットバンクでは、3つのバックアッププロダクトを使用していたため、専任の管理者がいても、eメールのアーカイブの検索に約2週間を要していた。HPのILMソリューションの導入によって、この検索が数秒で検索できようになったほか、テープの取り扱いコストを年間で100万ドル以上削減できた」などとした。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2006/fy06-039.html


( 大河原 克行 )
2006/01/24 18:30

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