株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は1月24日、オンラインCRMサービス「Salesforce」の定例アップデートとなる「Winter '06」と、その中核となる「AppExchange」を発表した。同日より利用可能となる。
AppExchangeは、Salesforceユーザーが利用できるオンラインアプリケーションプラットフォームで、セールスフォースや同社のパートナー企業、およびユーザーが開発したSalesforceと連携したビジネスアプリケーションの入手、試用、導入、カスタマイズなどができる。また、自社で開発したアプリケーションを販売することも可能だ。すでにワールドワイドで160以上、日本からも20以上のアプリケーションが公開されており、今後も増加していく予定。
AppExchangeの利用、および公開されているアプリケーションの試用は無料。パートナーが提供するアプリケーションは通常有償となるが、セールスフォースが認定するアプリケーションは当面無償で提供するという。また、パートナーやユーザーが作成したアプリケーションをAppExchangeで公開、販売する際にセールスフォースは手数料を徴収しないとしている。
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米Salesforce.com テクノロジー統括責任者 パーカー・ハリス氏
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Salesforceの顧客情報リストにSkypeを呼び出すボタンを入れた例
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1月17日に米国で先行して発表された際には、オンラインコミュニケーションツールのSkypeや、BIソリューションのBusiness ObjectsなどがAppExchange向けアプリケーションを発表した。今回の日本の発表では、松下電工インフォメーションシステムズ、新日鉄ソリューションズ、日立ソフトウェアエンジニアリング、マクニカ、シャノンなどがAppExchange向けアプリケーションやインテグレーションサービスの提供を表明した。米Salesforce.comテクノロジー統括責任者のパーカー・ハリス氏は、AppExchangeで提供されるアプリケーションについて「基本的にはSalesforceを補完するCRM関連が多くなるだろう」と語った。
提供されるアプリケーションは、Salesforceを特定用途向けにカスタマイズするツール、および外部アプリケーションやWebサービスとの連携ツールなどとなる。例えばSkypeが提供する「Skype for AppExchange」は後者で、Salesforce上にリスト化された顧客情報に、Skypeを使ってコンタクトするボタンを組み込み、クリックすることでSkypeを起動して音声通話やビデオチャットなどができる。「SkypeをAppExchangeのコンポーネントとして利用できる」(ハリス氏)。
また、顧客情報中の住所データとGoogle Mapとを連動する「Territory Management」というアプリケーションも公開されている。こうした異なるサービスやデータを統合して1つのアプリケーションを構築する「マッシュアップ」を、ビジネス用途で利用可能としたことが、AppExchangeの特徴であるという。
ハリス氏は、AppExchangeがWeb上でのオンラインビジネスを確立するための取り組み「ビジネスウェブ」を推進するものであるとした。「GoogleやAmazon.com、AppleのiTunes Music Storeなど、これまで成功してきたWebサービスプラットフォームはすべて消費者向けのものだ。我々はそのビジネス向けとしてビジネスウェブを考えた。AppExchangeはエンタープライズ向けプラットフォームだ」。
Winter '06では、AppExchangeのほかユーザーインターフェイスの改善や新機能の搭載、ワンクリックでオンデマンド製品開発環境を構築する「Sandbox」などの新サービスの提供なども行われている。
■ URL
株式会社セールスフォース・ドットコム
http://www.salesforce.com/jp/
AppExchangeについて
http://www.salesforce.com/jp/appexchange/
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( 朝夷 剛士 )
2006/01/24 18:09
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