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日本IBM、グリッドを簡単に導入できるブレードサーバーベースのソリューション

パートナー企業16社と協業しハード、ソフト、サービスをパッケージ化

グリッドコンピューティングのステップと、Grid and Growオファリングのターゲット

日本IBMの先進システム事業部事業部長、星野裕理事
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は2月28日、グリッドコンピューティングの実現に必要なハードウェア、ソフトウェアおよび導入・教育支援サービスをパッケージ化したソリューション「IBM Grid and Growオファリング」の提供を開始したと発表した。

 グリッドコンピューティングは、分散する異機種のコンピュータ資源を共有し、1つの高性能なシステムとして利用可能にする技術。今回提供するソリューションは、これを簡単に導入できるようにするもので、ハードウェアにブレードサーバー「IBM BladeCenter」を使用し、OS、グリッドミドルウェア、導入・教育支援サービスをパッケージ化して提供する。

 これによってユーザー企業は、高速な処理能力や柔軟な拡張性、IT資源の最適化といったグリッドコンピューティングのメリットを簡単、迅速に実現することが可能となる。先進システム事業部事業部長、星野裕理事は、「今回のソリューションはグリッドコンピューティングの最強のパッケージングといえる。コスト面でも優れており、パッケージングした各製品を別々に購入する場合に比べて、約35%も割安になっているので、投資額を抑えながらグリッドが実現できる」と新ソリューションのメリットを強調した。

 また同社では、IBM Grid and Growオファリングを提供するに当たり、OS、グリッドミドルウェア、アプリケーションソフトウェア、システムインテグレータといった各分野のパートナー企業16社との協業を推進していく方針も明らかにした。パートナー各社が持つアプリケーションなどのグリッド化支援を行い、新ソリューションに対応した製品・サービスを拡充していく。

 星野理事は、「パートナー企業との協業によって、グリッドの市場を拡大するとともにエンドユーザーに対して付加価値の高いソリューションの提供を目指す。まずは、アプリケーションを含めたソリューションの検証やパフォーマンステストなどを推進し、セミナーやイベントなど各ソリューションのビジネス展開を共同で実施していく」と協業の狙いを説明した。


IBM Grid and Growオファリングのパートナー企業

左から、プラットフォームコンピューティングの藤森研作社長、住商情報システムの上野恭三部長、アルテアエンジニアリングの綾目正朋社長、レッドハットの藤田祐治社長、ノベルの市橋暢哉本部長

IBM Grid and Growオファリングの構成例
 発表会見の席には、パートナー企業からノベル、レッドハット、アルテアエンジニアリング、住商情報システム、プラットフォームコンピューティングの5社が参加。

 ノベルの営業本部、市橋暢哉本部長が「エンタープライズとハイパフォーマンスコンピューティングをビジネスのキーワードにしているが、今回のソリューションはこれを具現化するためのものだと確信している」と述べたほか、レッドハットの藤田祐治社長は「小さく産んで大きく育てることができる先々楽しみなソリューション。これはまさにLinuxのOSが狙っているところである」、アルテアエンジニアリングの綾目正朋社長は「グリッドコンピューティングが一般の多くの企業に広がっていくことに期待している」とコメント。

 また住商情報システムのグリッド・ソリューション部、上野恭三部長は「グリッドに関する問題を解決するための最適なソリューションである。日本IBMとの協業でグリッドの顧客をさらに広げていきたい」、プラットフォームコンピューティングの藤森研作社長は「これからのグリッドは、一般の基幹情報システムに広がっていく。今回の協業に参加することで、ユーザーがグリッドの効果を理解できるシステムを提供できるよう支援していきたい」と語り、各社とも日本IBMとの協業展開に意欲を示した。

 実際に提供されるソリューションのパッケージ構成としては、BladeCenter3枚構成のタイプA「Grid and Growエントリー構成」と、同7枚構成のタイプB「Grid and Growスターター構成」の2タイプを用意。サーバーアーキテクチャについてはインテル、AMD、POWERの3種類、OSはLinux(Red HatまたはNovell SUSE)、AIX 5L、Windowsの3種類から選択可能。グリッドミドルウェアに関してもAltairのPBS Professional、Platform ComputingのLSF、United DevicesのGrid MP、日本IBMのLoadLevelerの中から選ぶことができる。

 最小構成例は、BladeCenter HS20、Red Hat Enterprise Linux、Platform LSF、導入・教育支援サービスのパッケージで、価格はタイプAが275万円から、タイプBが500万円から。

 なお、これらのパッケージ構成は、BladeCenterの枚数を追加した場合でも、各タイプ2倍の枚数までOSおよびグリッドミドルウェアの追加ライセンスが発生しない料金設定を採用しているため、システム拡張に素早く対応できるのも特徴。

 今後日本IBMでは、顧客の要望に応じて、新ソリューションをベースにしたサーバー統合ソリューションや、部門または全社レベルでのIT最適化ソリューション、各種保守サービスなどを提供していく考え。販売目標については、「現時点では具体的な数値目標を示すことは難しいが、グリッドのエントリー領域を狙っているので、大企業はもちろん中堅企業から中小企業まで含めてターゲットは幅広くあると思っている。全業種を対象に新ソリューションを広げていきたい」(星野理事)と意欲を見せた。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/20060228002.html


( 唐沢 正和 )
2006/02/28 18:03

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