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オートデスク、CADソフトの最新版「AutoCAD 2007」

簡単操作で3次元デザインも作成可能

志賀徹也社長

AutoCADの進化と環境

マウス操作で簡単に3次元デザインを作成できる
 オートデスク株式会社は3月2日、3次元CAD手法を導入したCADソフトの最新版「AutoCAD 2007」を発表した。3月24日から出荷を開始する。

 AutoCAD 2007は、3次元CAD機能を大幅に強化し、直感的な操作インターフェイスを提供することで、設計者が頭の中で描くアイデアを素早くかたちにできるのが大きな特徴。従来、設計者がイメージするアイデアを具体的なかたちにするためには、手書きや模型で表現するか、専任のクリエイターが他社のツールを使ってコンセプトデザインを作成する作業が必要だったという。

 志賀徹也社長は、「これまでのAutoCADにも3次元CAD機能はあったが、プロレベルのユーザーでないと使いこなせないものだった。新バージョンでは、AutoCADの2次元作図の基本操作がわかっていれば少しステップアップするだけで、3次元のデザインを簡単に作成できるようになった。とにかく使っていて楽しい」と新バージョンをアピールした。

 さらに「新バージョンを使えば、コンセプトデザインからプレゼンテーション用のイメージ制作、詳細な設計図面の作成までのプロセスを一貫して行うことができる。これによって、プロセスにかかるコストや時間の削減、さらにはプロセス全体の効率化も実現できる」(志賀社長)としている。

 3次元CAD機能の具体的な強化ポイントとしては、簡単なマウス操作で3次元化された設計データの形状を編集したり、作成した2次元データに厚みなどの立体感を付加することが可能となった。作成した3次元オブジェクトの地理的位置を選択し、日付、時間を決めれば、太陽の位置を自動計算して日影のチェックを行うこともできる。

 また、コンセプトモデルの中をカメラが移動して景観がどのように変化するかをリアルに確認できるウォークスルーアニメーション機能を搭載。手書き風のスケッチ表現、対象物の透明感や質感まで表現できるレンダリング機能も備えており、これまで以上に自由にアイデアを視覚化できるようになっている。

 価格は71万4000円。アップグレード版は、AutoCAD 2006からが10万7100円、AutoCAD 2005からが21万5250円、AutoCAD 2004からが32万5500円。メンテナンスサービスのAutoCAD Subscriptionは7万9800円。

 このほかAutoCAD 2007と同時に、2次元CAD作図アプリケーションの新バージョン「AutoCAD LT 2007」も3月24日から出荷を開始する。AutoCAD LT 2007は、作図効率を大幅にアップするダイナミックブロックの編集機能や、画層管理のためのツールなどを備えているのが特徴。価格は17万8500円。アップグレード版は8万9250円。AutoCAD LT Subscriptionは3万5700円。


オートデスクの2007年度戦略
 なお、志賀社長はAutoCAD 2007の発表会で、オートデスクの最新ビジネス動向についても説明。「現在、オートデスクの登録ユーザーは700万人に達している。2006年度のワールドワイドの売り上げは15億2300万ドルで、前年に比べて23%伸張した。日本市場も前年比30%と好調に推移している。営業利益は2年前の11%から24%まで高まった」とした。好調の背景としては、「ソフトウェアメンテナンスサービスであるSubscriptionビジネスの拡大が大きい。ワールドワイドでは、全売上の約3分の1を占めるまでになっている」ことを挙げた。

 2007年度に向けた国内でのビジネス展開については、「製品戦略としては今回のAutoCAD 2007を皮切りに4月初旬にも新しいソリューションを投入し、ラインアップを強化する。また、日本市場でもSubscriptionビジネスの拡大に注力し、昨年度の全売上比率約12%から今年度は15~16%まで引き上げたい。新規事業としては、これまでのデザインだけでなく、データ管理やコラボレーション、さらにはコンサルティングビジネスにも取り組んでいく」とした。このほか、エイリアス社の統合とビジネスの推進、ユーザーとのコミュニティ強化にも力を注いでいく方針。



URL
  オートデスク株式会社
  http://www.autodesk.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.autodesk.co.jp/adsk/servlet/item?siteID=1169823&id=6862893&linkID=1158289


( 唐沢 正和 )
2006/03/02 17:42

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