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ファイルサーバサービスの運用イメージ。データセンター内にファイルサーバーを設置して、各拠点からはVPNでアクセスする
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テイルバックの代表取締役、山田敏博氏
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株式会社テイルバックは3月15日、ストレージサービス「GrowServer エンタープライズサービス」を発表した。今回はそのラインアップとして、同社データセンター内のストレージをファイルサーバーとして利用できる「ファイルサーバサービス」を3月20日より提供する。主な対象は従業員100~300名程度の中小企業。「管理者を置く余裕のない企業を狙いたい」(テイルバックの代表取締役、山田敏博氏)。
ファイルサーバサービスでは、データセンター内で管理されているストレージを、ファイルサーバーとして利用できるようにするとともに、Active DirectoryによるID管理サービスを提供する。サービス導入後、ユーザーはVPNや広域イーサネットなどの回線経由でデータセンターへアクセスし、自社ファイルサーバーの代わりにストレージ領域を利用するようになる。外出先からも、Windows標準のPPTPを利用してアクセスすることが可能だ。
こうしたファイルサーバーの提供サービスはほかにも存在するが、このサービスではWORM対応ストレージを利用した、改ざん防止機能を提供する点が特徴。一度WORMの設定を行うと、管理者でさえも設定された期間はデータの変更・削除ができなくなる。今後、日本版SOX法などによって、データを一定期間、変更・改ざんできない形で保持することが求められてくる見込みだが、このサービスを利用すれば、高価なWORM対応機器を自前で用意しなくとも、法規制に準拠することが可能になるという。
WORM対応ストレージとしては、日本ネットワーク・アプライアンス株式会社のNAS製品「FAS3000シリーズ」と、オプションソフトの「LockVault」を用いる。同社のマーケティング本部長、高沢冬樹氏は「このサービスによって、高機能、高セキュリティだが高価なストレージを、安価に利用できるようになる」とコメントした。
ファイルサーバサービスの価格は容量や拠点数、回線の種類などによって変わるが、200名・3拠点の企業が1TBのファイルサーバーを利用する場合の例で、初期費用420万円、月額費用150万円。「ファイルサーバーを統合しても、社内で管理するためには、物理セキュリティや電源、場所、またバックアップの問題も考慮しなくてはならないなど、まだまだ課題は多い。しかしこのサービスを利用すれば、セキュリティの確保されたデータセンターの高性能なストレージ環境を安価に利用できる。M&Aを繰り返してシステムが複雑化してしまった企業、扱うデータが大きなデザイン系の企業などにも向いている」(山田氏)。
なおこれまでテイルバックでは直接サービスをユーザーへ販売するだけでなく、エンタープライズサービスの展開にあたっては、SIerとも積極的に協力する。今回の発表の場にはパートナーとしてUDB LINUXジャパンの取締役 営業推進担当の中井雅也氏が同席。「(ストレージ管理の問題は)製品だけ買ってきて解決することではない。このサービスでは、バックアップ、事業継続性、コンプライアンスといった付加価値がもれなく提供できる点がメリット」と述べ、今後展開していくとした。
またGrowServer エンタープライズサービスのラインアップは今後、メールアーカイビングサービス、大手会計パッケージベンダと協業した会計システムサービスも展開していく予定。今回のサービスについては、2008年までに160社への導入を見込む。
■ URL
株式会社テイルバック
http://www.tailback.co.jp/
プレスリリース
http://www.tailback.co.jp/nr_060315.html
日本ネットワーク・アプライアンス株式会社
http://www-jp.netapp.com/
UDB LINUXジャパン株式会社
http://www.udblinuxjapan.co.jp/
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