日本ヒューレット・パッカード株式会社は4月11日、オープンソースソリューションの導入を容易にする「HP Open Source integrated Portfolio(以下、HP OSIP)」を発表した。あわせて、同社のオープンソース技術の提供や検証支援などを行う「HPオープンソース・コンピテンシー・センタ」の設立も発表した。
同社では、2004年よりLinuxシステムの互換性やシステム全体の適合性などの組み合わせを提示する枠組み「HP Linuxリファレンスアーキテクチャ」を提供している。同社ESS Open Source&Linux推進部 推進マネージャの赤井誠氏は、「HP Linuxリファレンスアーキテクチャでは情報提供が中心だったが、今回のHP OSIPはそれを一歩進めたものとなっている」と説明。「Linuxなどのオープンソースソフトウェアだけでなく、HP-UXやWindowsなどの商用OS、商用ソフトウェアなどを組み合わせて、ひとつのパッケージとして提供できるように考慮した」と、企業において導入しやすいものになったと述べた。
今回発表されたHP OSIPでは、1)オープンソースミドルウェアをより実装しやすいよう、同社がセールスとサポートを提供する「HP Open Source Building Blocks」、2)Linux以外にもHP-UXやWindowsも含んだ技術文書を提供する「HP Open Source Blueprints」、3)オープンソースソフトや商用ソフトに対するコンサルティングを提供する「HP Open Source Consulting」、の3つが提供される。
HP Open Source Building Blocks。ハードウェア、OSからミドルウェアまでを一括して提供
HP Open Source Blueprints。それぞれの組み合わせに関する技術文書を提供。日本での事例なども提供する
HP Open Source Consulting。同社ハードウェアで最適なパフォーマンスが出るよう、コンサルティングを提供
米Hewlett-Packard Open Source & Linux Chief TechnologistのBdale Garbee氏
説明会には、米Hewlett-Packard Open Source & Linux Chief TechnologistのBdale Garbee氏も出席。米HPのオープンソースへの取り組みについてGarbee氏は、「たとえば、ライセンスを自社独自には作らず既存のライセンスを利用するなど、オープンソースコミュニティの価値を尊重する形でコミットするようにしている。また、オープンソースのイベントでスポンサーとなったり、Linux関連書籍をHPのバイスプレジデントが執筆するなど、さまざまな形で貢献している」と説明する。
Linuxに関しては、Debian GNU/Linuxへ積極的に関与していることも紹介。「Debianのよさは、ベンダーに依存しないボランティアベースのLinuxディストリビューションであるところ。HP社内で開発したものなどをDebianに反映したり、ハードウェアを多数寄付するなどの活動を行っている」(Garbee氏)と、取り組み状況を説明した。ただし、同社が顧客に提供するLinuxは、Red Hat LinuxやSUSE LINUXなど商用Linuxが中心。これについてGarbee氏は、「顧客が求めるものが商用Linuxであることが最大の要因。ただし、Debianへの問い合わせも増えているので、HPとしても提供することを検討している」と述べ、ISVなどのサポートが整えば、提供も可能とした。