Enterprise Watch
最新ニュース

日本オラクル、セキュア検索エンジンを出荷開始-ポータル強化にも適用可能


SES 10gでは、さまざまなソースを横断的に検索することが可能だ

執行役員 システム事業推進本部長の三澤智光氏

SES 10gの検索画面例
 日本オラクル株式会社は4月12日、企業向けの情報検索ツール「Oracle Secure Enterprise Search 10g」(SES 10g)の出荷を開始すると発表した。3月2日に、米Oracle CEOのラリー・エリソン氏が、Oracle Open World Tokyo 2006の基調講演内で発表した製品で、まずはLinux版からの提供開始となる。

 SES 10gは、社内に散在するさまざまなソースをインデックス化し、必要な情報を素早く検索できるようにするエンジン。執行役員 システム事業推進本部長の三澤智光氏は、「コンテンツ管理システム内に格納されているオフィスアプリケーションのファイルだけ、ERPシステム内のデータだけ、インターネットだけ、という部分的なものであれば、それぞれから提供されている機能の中で検索が可能。しかし、SES 10gでは、構造化データと非構造化データ、インターネットとイントラネットといった、情報・ナレッジ共有の壁を超えて利用できる」と述べ、さまざまなリポジトリを横断的に検索して、検索結果を統合された形で提供できる点が優位点だと説明する。

 また、導入作業が非常に簡単にできる点も特徴という。基調講演でエリソンCEOは再三、「導入に際して手間がかからない」点を強調していたが、「基本的な導入では、インストールと設定で1画面ずつ」(三澤氏)と画面を示して説明し、これを裏付けて見せた。

 加えて、セキュリティ機能が用意されている点もSES 10gならではの強調材料だ。ディレクトリサーバーである「Oracle Internet Directory」と連携して、各ユーザーの持つ権限に応じた検索結果を表示させることができ、社内の重要データをインデックス化したとしても、権限を持たないユーザーが誤ってアクセスしてしまうことを防げる。ただし、セキュリティ機能を利用する場合はインテグレーションが多少複雑になるため、限られた部門だけでの導入、といった場合には、必ずしも必須の機能ではないという。

 現時点では、まだ検索対象にできるリポジトリは少なく、Oracle Databaseやポータル、ファイルサーバー、IMAP4メールサーバー、Web向けのクローラーのみが標準で提供されているに過ぎない。しかし三澤氏は「SES 10gでは簡単にクローラーの開発ができる点も強み。当社だけでなく、パートナーとも対応リポジトリを増やしていく」と述べ、現在対応していないリポジトリに関して、順次対応を拡げていく計画だとした。

 具体的には、早急にOracle E-Business Suite向けを提供することと、自社向け以外にも、すでにBOXER BLOG SonarやMovable Type Enterpriseに対応したクローラーが用意されていること、を説明。さらに、Notes用やSQL Server用などが提供される予定とし、開発されたクローラーは、製品に統合するか、開発者コミュニティ「OTN(Oracle Technology Network)」で公開する予定だと述べた。


代表取締役社長の新宅正明氏
 また利用法について、三澤氏は、複数ある公開ファイルサーバーのインデックス化だけでも十分効果があるほか、サイト内検索エンジンとしての活用や、R&D部門における設計データの管理用途などでの引き合いがあると紹介。あわせて「既存ポータルは検索機能が弱く、SES 10gの導入でこれを強化するだけでも、格段に使いやすくなる」と述べ、ポータルの検索性に不満を持つユーザーの利用にも最適とした。なおGoogleのDesktop Searchと連携する機能が提供されているため、各個人のデスクトップ検索とも連携が可能になっている。

 価格は、プロセッサあたり393万7500円、指名ユーザーあたりが7875円(最小100ライセンスから)。販売はこれまでの製品と同様、基本的にパートナー経由となる。販売目標は、6月から始まる日本オラクルの次年度で、約10億円とのこと。

 出荷開始に伴う説明会には、代表取締役社長の新宅正明氏も出席。3月末時点で引き合いが50件以上、テストしている顧客が4~5件あることを明らかにした上で、「情報検索、情報活用を考えている顧客全般にアピールする。すべての情報管理のHUBに(SES 10gが)なるというメッセージを発信したい」と期待を表明した。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1558

関連記事
  ・ 日本オラクル、企業向けの検索エンジン-差別化ポイントは「セキュリティ」(2006/03/02)


( 石井 一志 )
2006/04/12 21:29

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.