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Windows Vistaが企業に提供する「生産性」「運用展開」「セキュリティ」の改善


Windows本部 本部長のジェイ・ジェイミソン氏

Windows Vistaが企業に提供できる価値
 マイクロソフト株式会社は4月21日、次期OSであるWindows Vistaに関する説明会を開催した。

 Windows Vistaは現在5製品の発売を国内で予定しているが、企業向けとしては、「Windows Vista Business」と「Windows Vista Enterprise」がラインアップされる。このうちVista Enterpriseは、同社のライセンス製品「ソフトウェアアシュアランス」契約ユーザー向け製品という位置付けになり、主に大企業での利用が想定されている。

 Windows本部 本部長のジェイ・ジェイミソン氏は、「多くのデジタルコンテンツがもたらされるようになったが、データが増えるに従って、ものを見つけるのに時間がかかるようになった。また、インターネットの普及でセキュリティ、プライバシーのリスクが高まっている」と現在の課題を指摘。そして、そうした課題を解決し、「視界をクリアにする」ものがWindows Vistaだとした。

 またWindows本部 ビジネスWindows製品部マネージャの中川哲氏は、企業が求める3つの要件として、「生産性の向上」「運用展開のしやすさ」「セキュリティ」の3つを挙げ、Windows Vistaはこれらをすべて満たしていると説明する。

 半透明なビューを提供する新しいユーザーインターフェイス「Windows Aero」や、飛躍的に強化されたサーチ機能などは、コンシューマだけでなくビジネスユーザーの生産性向上にも寄与するとしたほか、「Windows Collaboration」など、ビジネスユーザーが便利に使えるようにするための機能もあると説明している。


通常のUI(左)とWindows AeroのUI(右)。Windows Aeroでは背景が透けて見えるため、利便性が向上するという アイコンを大きくすると、フォルダの中身をうかがうこともできる Windows Vistaではいたるところに検索用の窓が表示される

BDDの画面イメージ
 一方、運用展開のしやすさについては、バラバラにシステムを導入しているような顧客が、システム導入を単純化し、TCO削減を実現する機能として、Business Desktop Deployment(BDD)の新版を紹介。コマンドベースの「Image X」ツールによって、Windows Vista側で配布イメージを最適化した後、配布サーバーから簡単に展開を行えるということを実演してみせた。この新版では、一度作成されたイメージに簡単にパッチやドライバといった別のプログラムを追加できる点など、従来版よりも機能が強化されており、Windows Vistaの製品リリースと同時に提供するとしている。


Windows本部 ビジネスWindows製品部マネージャの中川哲氏
 セキュリティでは、マルウェア(不正プログラム)の動作をブロックするWindows Defenderが搭載されるほか、Internet Explorer(IE) 7と連携したフィッシング対策機能、双方向の通信制御に対応する新しいWindows Firewallなどが主な強化点。

 あわせて「従来はレジストリの修正で対応しなくてはいけなかったUSBデバイスの使用禁止が、ポリシー設定で可能になった。これによって、Active Directory環境ではグループポリシーでルールを管理できるようになっている」(Windows本部 ビジネスWindows製品部シニアプロダクトマネージャの永妻恭彦氏)ことも、情報漏えい対策という点では意味がある。

 加えて、「BitLocker Drive Encryption」によって、HDD全体を暗号化する機能も搭載される予定だ。これを使うと、例えば外部USBメモリに暗号キーを保管しておき、それがUSBポートにささっていないと、PCが起動できなくなる、というような運用が可能になるため、もしPCを盗まれたとしても内部のデータを保護できるという。

 最後に中川氏は、株式会社ラックとの提携について説明。「Windows Vistaにフォーカスしたセキュリティ機能のガイドラインを、製品リリースと同時に提供する。またそのガイドラインをもとに、コンサルティング、アドバイザリのサービスも提供可能だ」としたほか、「パートナーとの取り組みは重要なこと。製品提供までにもっと進めていきたい」と述べていた。


Windows Defenderがマルウェアを警告する フィッシングサイトの可能性があるWebサイトを閲覧した場合は警告が出る 報告されているフィッシングサイトでは、閲覧そのものがブロックされる


URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

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( 石井 一志 )
2006/04/21 15:31

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