Enterprise Watch
最新ニュース

富士通、安心安全ソリューションを新たに体系化

総合的なリスクマネジメントを提供

石田一雄経営執行役
 富士通株式会社は4月24日、企業の統合リスクマネジメントを実現する安心安全ソリューション体系を新たに確立し、販売活動を開始したと発表した。第一弾として、「セキュリティ」と「事業継続(BC:Business Continuity)」の2つのソリューションを提供する。今後、順次メニューを拡張していく予定。

 今回のソリューション体系は、これまで同社が個別にラインアップしてきたセキュリティおよび事業継続に関するサービスやプロダクトを再編し、総合的なリスクマネジメントが提供できるよう新たに体系化したもの。

 石田一雄経営執行役は、「これからのリスクマネジメント対策は、各企業の事業特性やニーズ、優先順位にあわせ、個別ではなく総合的に実施することが不可欠になる。今回は、リスクマネジメント対策の中でもとくに重要な課題として注目されている、セキュリティと事業継続の2つのソリューション体系を整備した」と述べている。


セキュリティソリューションの概念モデルと提供ソリューション

セキュリティ統制ソリューションの全体体系
 セキュリティソリューションについては、富士通の実践ノウハウを集約した「セキュリティマネジメントフレームワーク(SMF)」と「エンタープライズセキュリティアーキテクチャー(ESA)」、および徹底した社内実践をベースに「組織レイヤ」「インフラレイヤ」「アプリケーションレイヤ」の3レイヤ13ソリューションを体系化。

 とくに「組織レイヤ」において、情報セキュリティガバナンスに向けた機能要件を実現する「セキュリティ統制ソリューション」を新たに追加。このソリューションでは、セキュリティ統制に必要な「認証・アイデンティティマネジメント」、「アクセスコントロール」、「証跡管理(ログ管理)」、「集中管理」という4つの機能要求に対して、コンサルから導入、運用まで包括的なセキュリティ対策を実現する。

 さらに同ソリューションでは、新サービスとして「インターネットセキュリティ統合サービス」を提供。同社のセキュリティ運用拠点「富士通ITマネージメントセンタ」を利用して、セキュリティホールの診断、情報漏えいや不正侵入などを24時間365日体制で監視することで、被害発生時にワンストップでの緊急対応支援が可能になるという。新サービスの販売価格(税別)は初期費が150万円から、運用費が月額38万円から。

 「今後は、公共系危機管理市場で蓄積してきた、手のひら静脈などのバイオメトリクスや画像、無線、センサーといった要素技術をフィジカルセキュリティソリューションとして新たに展開していきたい」(石田経営執行役)考え。


事業継続(BC)ソリューションの全体体系
 一方の事業継続ソリューションは、従来から提供してきた災害対策を支援する「安全対策ソリューション」をベースに、事業継続管理(BCM)の観点を加え、新たに体系化したもの。具体的には、「コンサルティング」、「インシデントコマンドソリューション」、「バックアップ/ディザスタリカバリ」で構成される。

 同ソリューションでは、富士通社内での実践経験を基に開発したテンプレートやツールを生かし、企業の事業継続計画策定を支援する「BCコンサルティング」(300万円(税別)から)を新たに提供するとともに、最先端テクノロジーに基づく高信頼のアウトソーシングサービスやネットワークサービスを用意し、企業に最適な対策を提供する。

 このほか、バックアップ/ディザスタリカバリサービスとして、安価で信頼性が高く、容易に操作できる「IDCリモート保管サービス」と、企業のBCMを支援するための「運用支援サービス」を順次提供していく予定。

 同社では、今回の安心安全ソリューションの体系化を機に、戦略策定・社内実践・セキュリティ監査などを実施する専任組織として「情報セキュリティセンター」の強化・拡充を図り、今後3年間で2900億円の売り上げを目指す計画。ソリューション別では、セキュリティソリューションで40%、事業継続ソリューションで60%の売上比率で推移すると見込んでいる。

 石田経営執行役は今後の事業プランについて、「安心安全ソリューション体系が対象とするリスクマネジメント市場は2005年度で5770億円規模のマーケットがあり、2008年度には8670億円まで拡大すると見ている。2005年度における当社の市場シェアは9%程度だが、2008年度には15%までシェアを高めていきたい」と意欲を見せた。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2006/04/24-1.html


( 唐沢 正和 )
2006/04/24 17:49

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.