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日常業務が次世代への知識継承に活かせる、東芝ソリューションの「KnowledgeMeister Succeed」


 2007年問題や人材の流動化など、企業内に蓄積された知識をいかに次世代に継承するかが大きな問題となっている。仕事を行いながら教育を行うOJT(On the Job Training)では、時間がかかり効率的ではない。また、人材育成プログラムの場合、カリキュラムを用意しなければいけないなど手間がかかるのが現状だ。東芝ソリューション株式会社が3月に発表した「KnowledgeMeister Succeed」は、こうした問題を解決する製品だ。同社プラットフォームソリューション事業部 商品企画部 参事の岩崎元一氏に、KnowledgeMeister Succeedをどのように使うと知識継承ができるのか話を聞いた。


 KnowledgeMeister Succeedは、日常業務のやり取りを蓄積することで、業務に必要な知識の継承を実現するソフトウェア。一般的にはOJTなどで知識継承を行うことが多いが、伝えなければいけない情報が整理できていなかったり、また整理するために多大な手間がかかる。

 岩崎氏は、「知識継承で問題になるのは、(文書などの)成果物を作成する際のコメントややり取りがまったく継承されない点。あとでたどろうとしてもたどることができない」と、従来の方法では、成果物として残っていても、その過程を知ることができない点が問題と指摘する。

 同社が3月に発表したKnowledgeMeister Succeedは、情報に関連性を持たせて蓄積することで、データを再利用しやすくしているのが特長となっている。「ワークフローは業務の流れは蓄積できるが、その間のやり取りが欠落してしまう。コミュニティ機能では、やり取りをたどることは可能だが、構造化されていないため、ひとつひとつ確認していかないと経緯がわからない。KnowledgeMeister Succeedは、情報を構造化して蓄積できるので、あとから容易にたどることができる」(岩崎氏)と、他の文書管理システムとの違いを説明する。


 具体的な利用方法は次のようになる。まず、業務を進める上で必要となる業務の手順や内容、参照情報、成果物などを定義する。ここで定義された各項目は、アクションとしてKnowledgeMeister Succeedに登録される。これにより、それぞれの時点で行うことが明確化し、実施すべき業務内容の把握が容易になる。

 次に、定義した業務ごとに日常業務のやりとりを蓄積する。蓄積の方法はいたってシンプルで、メールや掲示板などから蓄積できる。メールの場合、専用のアドレスにメールを送信することで蓄積できるので、たとえば、営業で新規顧客開拓という業務を定義している場合、顧客に対して送信したメールをそのまま蓄積することができる。つまり、日常の営業活動を自然に蓄積できるのだ。

 もちろん、社内でのメールのやり取りや、掲示板を用いたディスカッションなどもそのまま蓄積できる。これにより、どのような対応をしたのかが、意識することなく情報として蓄積することが可能なのが、KnowledgeMeister Succeedの特長だ。こうしたやり取りを各段階ごとに登録することで、一連の業務を記録することができる。


アクションとして定義された業務プロセス。この時点でツリー化されており、業務と業務の関連性が一目で理解できる タスクの詳細画面。業務の内容が明確化されているのがわかる 掲示板での利用例

 蓄積されたデータをどのように人がわかるように整理するかが、次のステップとなる。「これまでの製品では、データは時系列に蓄積されるだけ。時系列にも意味はあるが、データの関連性がつかめない」と、蓄積するだけでは使えないと岩崎氏は指摘。KnowledgeMeister Succeedでは、蓄積されたデータから、業務の過程をツリー化したり、グラフ化したりして、成果物と元となった情報との関係を見せることができる。ツリー化することで、業務と業務の関連性が視覚的に理解できる。また、該当業務に初めて取り組む場合でも、どのような業務が発生し、その業務が次にどの業務につながっているかが理解できる。各業務の経過状況もあわせて確認できるので、過去どのようなやり取りを行っているかを確認するのにも有効だ。


業務の関連性を図式化した画面 業務の経緯をツリー表示することもできる

要点抽出機能で作られたまとめ文書
 また成果物そのものをわかりやすく表す機能のひとつが要点抽出機能だ。「業務の過程でやり取りされた情報はそのままでは再利用しづらい。たとえば、メールのやり取りの場合、引用文が多く入っていたりして、そのままでは使いづらい。また、件名も最初のものが残っているだけなので、何度もやり取りが繰り返される過程で内容が変わっていることもある」と岩崎氏は説明。要点抽出機能を使うことで、引用部分を削除し、適切な表題が付けられ、必要な内容にまとめられた文書を手軽に作ることができる。また、将来のための情報の蓄積だけでなく、現在進行している業務のレポートを作るのにも役に立つ。

 そのほか、類似情報検索により、これから行おうとしている業務に類似するものがあったかどうかを確認することもできる。このように、蓄積機能だけでなく、蓄積された情報を有効に活用できる工夫がなされていることから、KnowledgeMeister Succeedを「知識継承ソフト」と同社では呼んでいるのだ。

 KnowledgeMeister Succeedは、同社の一部で利用されており、成果も上々だという。

 メールでのやり取りを蓄積できるのは、企業のコンプライアンスという面でも有効なソリューションといえる。ただし、業務プロセスの定義を行う際に同社のコンサルティングサービスを利用することが必須。また、100ユーザーライセンスで1575万円からと手軽に導入できる価格とはなっていない。一度利用すると利便性が伝わる製品なので、業務プロセスの定義化をテンプレートとして提供したり、体験版を用意するなど、多くの企業が手軽に試せる環境を用意してもらいたい。



URL
  東芝ソリューション株式会社
  http://www.toshiba-sol.co.jp/
  製品情報
  http://pf.toshiba-sol.co.jp/prod/kms/index_j.htm


( 福浦 一広 )
2006/04/28 12:42

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