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富士通、統合運用管理ソフトウェア「Systemwalker V13」を発表


Systemwalker V13全体構成
 富士通株式会社は5月9日、統合運用管理ソフトウェア「Systemwalker」の新製品として「Systemwalker V13」を発表。その概要および今年度下期以降のロードマップなどについて説明を行った。

 Systemwalkerは、1995年に、前身となる日本初の統合運用管理製品であるMpWalkerとして発売以来、これまでに2万ユーザー、400万ライセンスを超える実績を持っており、「2005年度も前年比10%増の実績となっている。2006年度も市場の平均成長率に加えて、5~10%のプラスアルファの伸長を見込みたい」としている。

 仮想・自律基盤からITIL準拠のプロセスまでをトータルにサポート。また、クライアントからサーバー、ネットワークまでの全社レベルの統合管理ができるほか、IBMやHPなどと推進しているCMDBや、経済産業省の主導のもと日立、NECと取り組んでいるGGF/JSDLといったビジネスグリッドなどの標準化を取り込んでいるのがSystemwalkerの特徴といえる。


富士通ソフトウェア事業本部運用管理ソフトウェア事業部・新田将人事業部長

最新版の強化点
 このほど発表したSystemwalker V13では、こうした機能に加えて、「企業コンプライアンスを支えるIT運用を実現することを目指した進化を遂げた製品」と位置づける。

 「日本版SOX法の施行を前に、企業におけるコンプライアンス対応が求められる一方、サーバーの集約により情報集約、運用統合を行いたいといった要求が高まっている。だが、情報を集約した際に、企業内情報のアクセス管理をどうするか、情報セキュリティ統制をどうするかといった問題が出てきている。また、運用統合においても、運用を標準化して、いかにプロセスを統制するか、といった課題に直面している企業が多い。企業内情報の安全な共有環境の実現とともに、これまで課題となっていた変更作業の標準化や可視化といった運用プロセスの統制を実現するのが、Systemwalker V13における進化だといえる」(富士通ソフトウェア事業本部運用管理ソフトウェア事業部・新田将人事業部長)。

 具体的には、情報セキュリティ対策として、アクセス制御、監査証跡管理を新たに提供。運用プロセス強化としては、可視化やシステムの変更作業の標準化および変更プロセスの管理といった点での強化を図ったという。

 アクセス制御では、電子文書単位でのアクセス制御を行うほか、それらがファイルサーバー上から離れた場合でも、サーバー上で管理しているのと同様に管理者の権限の下でのアクセス制御を可能としている。

 「電子文書の管理は、暗号化だけでは、決して安全とはいえない。Systemwalker V13で提供するSystemwalker Desktop Right Master(DTRM)では、サーバーから離れてしまった電子文書に関してもアクセス制御を可能にすることから、メールの誤操作によって、第三者に電子文書が渡ってしまった場合や、Winny利用者などから不用意に情報が流出した場合でも、第三者が情報を閲覧できないようになっている」という。

 また、監査証跡管理では、これまでにもSystemwalker Desktop Keeperによりログ収集の自動化を実現するとともに、Desktop Log Analyzerによる集計、分析を可能としてきたが、今回新たにファイルトレース機能を追加。重要なファイルがどのように取り扱われたのかをとらえたり、情報が漏えいした際にはその持ち出し経路の確認や、ファイル持ち出し時にファイル名が変更されていても、追跡機能によって元ファイルを特定することで、流出元を発見できるようにした。

 一方、運用プロセスの強化としては、現状は人手で行われているサーバーごとのパッチ適用や管理を、パッチ情報の自動収集、自動選択および一括ダウンロードといった自動化によって、パッチに関する業務を約8割削減できる機能をSystemwalker Centric Managerに追加したほか、今年度下期には、変更プロセスにおける人的ミスを削減するために、人や紙に依存した運用から、フォーム画面による情報伝達といった標準化プロセスを導入し、統制された変更プロセス環境を実現するSystemwalkerプロセス管理(仮称)を追加することを明らかにした。


Systemwalkerのロードマップ
 一方、同社では、2006年度下期以降のSystemwalkerの進化にも言及。新田事業部長は、「今回の新製品で、企業コンプライアンスを支えるIT運用基盤が整うが、2006年度下期からはサーバーアクセス制御、運用プロセス管理、エンタープライズ運用統合によって、IT運用をPDCAサイクルで改善する運用プロセス基盤の提供が実現できる。さらに、2007年度以降は、サービスベースの運用基盤とともにエンタープライズCMDBによって、運用ポリシーに沿ってプロセスを最適化する運用サービス基盤を実現する。運用業務の変化に対応し、迅速にプロセスを構築するためにもSOA化することが必要であるとともに、管理対象に依存しない運用ノウハウの提供も必要だと考えている」と語った。

 なお、Systemwalker V13は、今後2年間で、国内200万ライセンスの販売を目指すという。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  ニュースリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2006/05/9-1.html


( 大河原 克行 )
2006/05/09 15:53

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