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ソフトウェア事業本部 ミドルウェアプラットフォーム事業部、今田和雄事業部長
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富士通株式会社は5月9日、システム基盤となるミドルウェア製品群「Interstage」の新版として「同 V8」22製品を、同日より販売開始すると発表した。
Interstage V8の中で大きな役割を期待されているのは、新たに発売されるバッチアプリケーションサーバー「Interstage Job Workload Server V8」。オープン環境における本格的なバッチ処理基盤として提供される製品だ。
富士通のソフトウェア事業本部 ミドルウェアプラットフォーム事業部、今田和雄事業部長は「バッチ業務のオンライン化は1つのアプローチだが、現実には、企業の内部に膨大なバッチ資産があり、すべてをオンラインにするのは無理」と述べ、バッチ処理は現実解として必要と主張。業務サービスと、基幹業務の3~7割程度を占めるというバッチ処理の連動が不可欠と説明した。
ただし、バッチも以前のように日次で行うのではなく、非常に短いサイクルでバッチ処理を行う「オンデマンド型バッチ」への対応が要求されてきているという。この場合、ジョブ実行頻度に比例して増加するオーバーヘッドの抑制が必要になるが、Job Workload Serverでは実行プロセスを常駐させることで、バッチ実行頻度が増加してもオーバーヘッドを一定以下に抑えることに成功している。
また、効率を上げようとしてバッチ処理を多重化しても、ファイル獲得エラーなどの資源競合が発生して、処理が異常終了する問題があった。この問題に対しては、適切な待ち制御を行うことにより回避が可能になり、連鎖的に異常終了が発生して、システムを圧迫するようなことがなくなるという。
さらに開発面を迅速化するため、主にシェル記述で行われていた開発作業を、XMLベースのジョブ定義できるようにした。同社の統合開発環境「Interstage Apworks」を併用すればGUIによる開発も可能になり、保守・管理コストを5~10倍に改善できるとのことで、今田事業部長は、「製造業の中規模バッチシステムでの事例では、シェル資産の制御ロジック使用時と比べ、開発量が約1/10になった」と効果を説明している。今後は、「オンデマンド型は最大負荷が予測でない」点を解決する目的で、しきい値を超えた場合にリソースを動的に追加できる機能を提供する予定もある。
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オンデマンド型バッチ業務に対応するため、ジョブ実行性能を改善した
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XMLベースのジョブ定義を導入し、バッチ業務における開発作業を軽減した
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GUIを利用した定義画面
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BPM Monitoringでは、BAMの機能が新たに追加された
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一方、SOAの考え方の中で必要とされるサービス連携、業務プロセスの可視化・業務革新といった分野でも機能強化が行われている。「Interstage BPM Monitoring」では、これまで備えていたプロセスの可視化、改善を具体化するプロセスモニタリングの機能に加え、今回より、業務データを監視して変動を通知するBAM(ビジネスアクティビティモニタリング)の機能を提供する。
具体的には、1つのイベントの発生検知だけでなく、「検収完了後、1週間以内に支払いがない」「MRI検査前にCT検査を行っていない」といった複数のイベントにまたがる監視機能を搭載。富士通研究所が開発した、従来比100倍の能力を持つチェック技術の採用によって、高速な監視条件チェックを可能にしたという。
またESB(エンタープライズサービスバス)製品の「Interstage Service Integrator」において、インターフェイス変換、サービス呼び出しといった作業の定義をGUIで行えるようにし、手組み開発に比べて50%生産性を向上させている。
製品の価格は、Job Workload Serverが672万円(税別)から、BPM Monitoringが300万円(同)から、Service Integratorが200万円(同)から、などとなっている。
■ URL
富士通株式会社
http://jp.fujitsu.com/
ニュースリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2006/05/9.html
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・ 富士通、グリッド環境での運用負荷を最大70%軽減するミドルウェア(2004/11/04)
( 石井 一志 )
2006/05/09 17:55
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