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アジレント、携帯電話向けサービスの体感品質を監視・検証するソリューション


代表取締役社長の海老原稔氏
 アジレント・テクノロジー株式会社(アジレント)は5月24日、携帯電話向け通信サービスの体感品質を監視・検証できる、業界初のサービス管理ソリューション群を販売開始したと発表した。ラインアップは、通信時のサービス品質を監視・検証する「Agilent ワイヤレスQoSマネージャ(WQM)」、サービスの実使用環境でデータ収集・解析を行う「Agilent モバイル エクスペリエンス マネージャ(MEM)」、およびこれらを含んだローミングサービス向けソリューション・スイート「Agilent assureME-Roamer」の3製品。

 これまで携帯電話向けの通信サービスは、機器やネットワークを測定・検証することでしかサービス品質を測定できなかったが、今回の新ソリューションによって、加入者の立場にたった体感サービス品質を測定する「アクティブ・テスト」を行うことが可能となる。

 新ソリューションの位置付けについて代表取締役社長の海老原稔氏は、「現在当社は、計測ビジネス専門のメジャメントカンパニーとしての方向性を強めて事業展開を進めている。メジャメント市場はワールドワイドで約400億ドルの市場規模があり、当社としてまだまだビジネスを拡大できる余地が残っている。その中で、最重要分野の一つとして考えているのが電子計測市場におけるソフトウェア、サービス、サポートビジネスで、今回のソリューションはその一角を担う新たな運用支援システム(OSS)になる」と語っている。

 また、通信ソリューション本部長兼アジア太平洋・日本地域担当マーケティング・マネージャの山之内壽彦氏は、新ソリューションを投入する市場背景について、「携帯電話市場は、世界的にみて飽和状態にあり価格競争や差別化が加速している。とくに日本市場では、新規事業者の参入やナンバーポータビリティの開始、MVNOの本格化など、まさに激動期に入りつつある。こうした市場環境の中で、携帯電話事業者に求められるのは、加入者が離れない高品質なサービスの提供。新ソリューションによって、加入者の体感品質を監視・検証できる環境を実現することで、携帯電話事業者におけるサービス品質の差別化と収益拡大を支援していく」と述べた。

 続けて米Agilentのアシュアランス・ソリューションズ事業部市場開発マネージャのマーク・イーストン氏が、「現在のネットワーク機器やOSSでは、通信サービスが加入者側でどう機能しているかまでを把握することはできない。そのため、ネットワークデータを基に体感品質を『推測』しているのが現状。これでは、本当の意味で通信サービスの品質を保証することはできない。新ソリューションでは、サービス体感品質を単純に『推測』するのではなく、直接『測定』することができるため、加入者のニーズを満たす高品質な通信サービスの提供が可能となる」と新ソリューションの強みを強調した。


WQMのアーキテクチャ

Agilent assureME-Roamerの活用イメージ
 各製品の特徴としては、「Agilent WQM」では、アクティブプローブやSIMマルチプレクサの機能を利用したアクティブテストを定期的に実施し、その結果を定点的に監視することができる。これによって、サービスの可用性やMOS値、遅延、ジッタ、パケット損失などについて、実際に加入者が感じている体感サービス品質を認識することが可能となり、障害への事前対応や障害発生時の迅速な対応を実現する。

 「Agilent MEM」は、実際の携帯電話にソフトウェアを組み込みプローブとして扱うことで、移動中を含む実使用環境でのデータ収集・解析を実現する。音声、データ、SMS、MMS、電子メール、テレビ電話、HTTP、WAPサービスなど幅広いサービスにわたって、携帯電話端末からKEI(key Experience Indicator)を収集することができるため、加入者のサービス経験状態を可視化し、加入者が直面しているサービスの問題を把握できるようになる。

 「Agilent assureME-Roamer」は、今回発表した「WQM」と「MEM」をアジレントの既存ローミング用監視ソリューションに組み合わせて構築した包括的なローミングサービス監視・管理システム。インバウンド(入国者)とアウトバウンド(出国者)のローミングサービス監視に加え、信号情報の収集、分析、レポートの提出を行うことができ、ローミングサービス利用者の満足度向上と携帯電話事業者の収益拡大を支援する。なお、既存製品としては、相互接続先ごとのローミング品質を監視する「RMS」、top-Nの個別ローミングサービス利用者を監視する「VIP taracker」、ローミング品質解析およびレポーティングを行う「DMT」が含まれる。

 販売価格は、「Agilent WQM」が最小構成で4500万円から。9月出荷開始予定。「Agilent MEM」と「Agilent assureME-Roamer」は個別見積となり、いずれも出荷開始は10月を予定している。同社では、全製品あわせて、販売開始後の1年間で10億円の売り上げを見込んでいる。



URL
  アジレント・テクノロジー株式会社
  http://www.agilent.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.agilent.co.jp/newsjp/fy2006/os01assureme.shtml


( 唐沢 正和 )
2006/05/24 18:39

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