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マイクロソフト、Windows Vistaのテストを呼びかけ-「企業にも大きなメリット」


Windows本部 本部長、ジェイ・ジェイミソン氏
 マイクロソフト株式会社は6月12日、クライアントPC向け次期Windowsである「Windows Vista」が、ビジネスユーザーにとってどのような価値をもたらすかという点について、プレス向けに説明を行った。Vistaは第4四半期の企業向け提供開始をにらみ、現在は「ベータ2」が提供されている段階で、一般ユーザーでもベータ2を入手可能なカスタマープレビュープログラムが、6月8日にはじまったところ。今回の説明もこのベータ2を利用して行われている。

 マイクロソフトのWindows本部 本部長、ジェイ・ジェイミソン氏によれば、「Vistaは、信頼性と安定性を提供する『Confident』、使いやすい、わかりやすい『Clear』、あらゆる接続を可能にする『Connected』、の3つの大きな柱がある」という。これを実際のビジネスバリューに移し替えると、「セキュリティとコンプライアンス」、「デスクトップインフラの最適化」という、管理部門にとってのメリットと、「生産性の向上」、「モバイル&コラボレーションの強化」というエンドユーザーにとってのメリットに大別できるとのこと。同社では、そのうちのいくつかをデモで紹介した。

 デモを担当したのは、Windows本部 ビジネスWindows製品部 マネージャの中川哲氏。最初のデモは表示に関する部分で、Vista用にデザインされた「Aero」インターフェイスを表示させ、「コンテンツの部分によりフォーカスしたインターフェイス」と紹介した。


Aeroインターフェイスを用いたWindows Vista ツールバーのサムネイル表示をしたところ。「サムネイル表示はビジネス領域でも有効だ」(中川氏) AltキーとTabキーによるアプリケーション切り替え操作時にも、サムネイルによる補助が提供される

Windows本部 ビジネスWindows製品部 マネージャの中川哲氏
 続いて紹介された機能は、USBメモリなどのリムーバブルメディアをメインメモリの補助に利用できるようにする「ReadyBoost」機能。対象は、USB 2.0の高速アクセスが可能なリムーバブルメディアで、中川氏は「メインメモリを増設した方が高速だが、遅いHDDにスワップにいくくらいならUSBメモリ(を利用した場合)の方が速い」とこの機能をアピールした。なお、動作中にメディアが引き抜かれたとしても、システムに障害を与えたり、アプリケーションデータが消失したりしないように工夫されているとのこと。


リムーバブルメディアを接続した場合に、新たにReadyBoostが選択できるようになっている リムーバブルメディアの設定で、使用容量を選択可能 USBメモリを装着して領域を割り当てると、利用可能な仮想キャッシュ領域(桃色の線)が上昇しているのがわかる。なおEMDは、ReadyBoostの開発コードとのこと

 また中川氏は、「一番使ってもらいたい機能の1つだ」とVistaの持つ検索機能を紹介した。オフィスではさまざまな文書、ファイルを探し出して利用するシーンは多いが、中川氏は「探し出すまでに多くの時間を使っている。快適な視野を提供するということで機能を強化している」と検索機能を説明。さらに、「最後の1つまで検索で絞り込むのは難しく、絞り込んだ後で、従来であれば1つずつドキュメントを開けて確認していた。しかしVistaではサムネイル表示が可能だし、閲覧ペインを表示すれば、アプリケーションを起動しなくてもプレビュー表示が行える」と強化点を強調していた。

 なおプレビュー表示は、IFilterインターフェイスを用いて、マイクロソフトのアプリケーション以外に対応させることも可能。基本的には、独自のファイル形式を提供している企業に対してマイクロソフトが働きかける形になるとのことで、中川氏はISVと積極的に連携していきたいとの意向を示した。

 実際に検索の仕組みを支えるのは、インデックスエンジンの「searchindex.exe」になる。これがバックグラウンドで常時動いていて、ユーザーに快適な検索結果を提供できるという。中川氏は「バックグラウンドサービスが増えたためにスピードが落ちるのを心配するユーザーもいるが、Vistaでは新たにロープライオリティI/Oを導入。アプリケーションを立ち上げると、優先度の低いI/Oをストップさせ、ユーザーが不快に感じないようにしている」と述べた。


Vistaの検索ウィンドウの1例 検索結果の表示例。もちろん、2バイト文字にも対応可能だ。 検索したファイルのプレビュー表示を行ったところ

 最後のデモでは、コラボレーションツールの「Windows グループ作業ツール(Collaboration)」の紹介を行った。これは、Vistaを利用するユーザー同士で、ネットワーク越しにアプリケーションファイルを共有しながら、共同作業を行えるようにするもの。主に同じ会議室内での使用を前提としており、最大10名まで、音声はサポートしないという制限があるものの、プロジェクタなしでの資料の共有や共同作業が行えるため、生産性の向上という面で、メリットが提供できるという。


共同作業を行うユーザーを招待するところ 招待された側にはこうしたメッセージが表示される 資料の閲覧だけでなく、権限を与えてもらえば編集も可能になる

Vistaのリリースロードマップ
 最後は、中川氏から再びバトンを戻されたジェイミソン氏が、こうした新機能を備えたVistaを、「ITプロフェッショナルと開発者に評価してもらいたい」と呼びかけた。Vistaは今のところ、企業向けが年内にも提供される予定になっているが、企業ではさまざまな面で評価を済ませておく必要があり、発売されたから即、導入するというわけにはいかない。マイクロソフトではベータ版や今後提供予定のRC(リリース候補)版のうちに評価を進めてもらいたいと考えているのだろう。「IT部門にとって役に立つと考えているので、企業での評価を始めてもらいたい」(ジェイミソン氏)。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

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( 石井 一志 )
2006/06/12 16:38

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