|
情報・通信グループの東原敏昭COO
|
|
今回提供される125のソリューション群
|
株式会社日立製作所(以下、日立)は6月14日、生産から流通、消費、廃棄までの履歴管理や追跡照会を実現するトレーサビリティ・RFID事業を、本格的に事業展開することを発表した。具体的な取り組みとしては、6月20日から「日立トレーサビリティ・RFIDソリューション」を提供開始するとともに、6月末には日立グループ20社が参加する「日立トレーサビリティ・RFIDフォーラム」を立ち上げる予定。
日立では、今年4月にIDソリューション事業部とミューソリューション事業部を統合・再編し、情報・通信グループ内にトレーサビリティ・RFID事業部を新設。チップ開発からソリューション提供までを集約し、トレーサビリティ・RFID事業の本格展開に向けた準備を進めてきた。
情報・通信グループの東原敏昭COOは、「これからのユビキタス社会では、商品のライフサイクル全体を管理・追跡できるトレーサビリティによる企業・公共・個人の価値連鎖が重要なポイントになる。そして、このトレーサビリティを実現するためには、実際に消費者が手にするものとそれに関する情報を一致させることが必要。日立では、これまでに蓄積してきた幅広い業界・業種での“実業ノウハウ”と“先進的IT”を組み合わせ、グループ総力をあげてトレーサビリティ・RFID事業に力を注いでいく。また社内で実践してきた業務プロセスの“見える化”への取り組みを、“見せる化”として転換し、日立の“もの作り”のノウハウも提供していきたい」と意欲を見せた。
今回発表した「日立トレーサビリティ・RFIDソリューション」は、同社が2004年から提供しているトレーサビリティソリューションのシステム構築実績を始め、各種ICタグ実証実験への参画、日立のミューチップやICタグ関連システム、さらに2006年中に量産開始を予定しているUHF帯ICタグの技術開発などを通じて得た、数多くの事例とノウハウをベースに開発したもの。
電子機器や自動車、食品、出版など9つの「業界別」と、資産管理や動態管理、入退室管理など12種類の「業務別」に体系化された合計125個のソリューションメニューで構成され、これらを活用して各業界や業務に最適なトレーサビリティシステムを構築する。具体的には、業界特有の業務形態や商習慣への対応、読み取り効率向上などICタグを導入するために必要となる現場検証を含めた業務プロセスの診断、バーコードを始めとした既存システムとの連携および活用方法、ビジネスモデル検討、業務設計などのコンサルテーションを行っていく。
|
トレーサビリティ・RFID事業体制の強化
|
情報・通信グループ トレーサビリティ・RFID事業部の井村亮事業部長は、「トレーサビリティがもたらす安心・安全・快適な社会環境は、企業にとっても個人にとっても大きな関心事になっている。しかし、その導入にあたっては経営、業界動向、現場、技術の各側面において課題も少なくなかった。今回提供するソリューションでは、これらの課題解決の迅速化を実現する。特に、当社のもつ豊富な経験・ノウハウ、製品・サービス群を提供することで、顧客が得られる効果を最大化できるとともに、業務変更・システム拡張にも柔軟に対応できる拡張性の高いシステムを構築できる。さらに、業務分析から稼働までのシステム導入期間を従来より30%短縮できるのも特長」と、トレーサビリティ・RFIDソリューションのメリットを説明した。
また、業界別ソリューションによって業界横断を含めたサプライチェーンの効率化などを実現できるほか、業務別ソリューションによって利便性・業務効率の向上や在庫削減などによるコスト削減も可能となるため、TCO削減を図ることもできるという。
6月末に新設する「日立トレーサビリティ・RFIDフォーラム」は、トレーサビリティ・RFID事業を推進している日立グループ20社のビジネス連携を強化するのが目的。具体的には、メンバー各社の強みを組み合わせた高付加価値ソリューションの開発・提供や、製品・サービスのバリエーション拡充によるニーズ対応力の強化に取り組んでいく。
「当初は日立グループのフォーラムとして立ち上げるが、将来的には日立グループ企業以外のパートナー企業などにも参加を呼びかけていく。その際にはフォーラムの名称から“日立”を外し、トレーサビリティ・RFID市場全体の拡大に貢献していきたい」(井村事業部長)としている。
同社では、国内・海外をあわせたトレーサビリティ・RFID事業で2010年度に800億円の売り上げを目指しており、2010年度末までの累計売上高としては1800億円を見込んでいる。売上高の内訳については、ICタグ関連が15%、システム構築が55%、サービスが30%とみている。井村事業部長は、「国内のトレーサビリティ・RFID市場規模は、2010年には4000億円まで達すると試算している。当社はそのうちで約18%程度のシェアを確保したい」との考えを示した。
■ URL
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2006/06/0614.html
( 唐沢 正和 )
2006/06/14 15:38
|