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日本IBM、WebSphere Portal V6.0を発売-企業のプロセス統合をSOAで実現


日本IBM ソフトウェア事業 Lotus事業部、澤田千尋事業部長

WebSphere Portal V6.0のトップページ
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は7月12日、WebSphere Portalの新製品として、「WebSphere Portal V6.0(以下、WP V6.0)」を発表した。製品版の出荷開始は8月24日から、ダウンロード版は7月26日から提供する。

 同製品は、SOAにおけるフロントエンドツールとして、また、社内外のプロセスを統合するポータルソフトと位置づけられるもので、IBMが考える3つの要素を網羅した製品だとしている。

 3つの要素とは、「SOAに対応する業界標準の接続方式」「コンポジット・アプリケーションの統合環境」「オーケストレーション(ポータル間の連動)」。

 「日本におけるEIPの市場規模は、約80億円。思ったほど伸びていないという認識がある。欧米では、EIPが業務のなかのソリューションのひとつとして組み込んだ形で利用されて一気に広がったが、日本では、グループウェアの延長線上として情報共有の利用にとどまっているのが原因。新製品では、日本IBMが得意とするソリューション提案によって、業務プロセスに組み込んだ形で市場を開拓していきたい」(日本IBM ソフトウェア事業 Lotus事業部長・澤田千尋氏)とした。

 WP V6.0では、Webサービス、SOAPといった業界標準の接続方式、ポートレットの標準規格であるJSR168に対応。さらに、ポートレットの開発ツールであるIBM WebSphere Portlet Factoryを同梱することで、ユーザーは高度な開発スキルを必要とせずにノンコーディングで作成できるため、必要な業務アプリケーションを簡単に統合できるようになる。

 「WebSphere Portlet Factoryは、昨年当社が買収したBOWSTREETが開発したもので、昨年までは日本語版では提供されていなかった。これにより、SAPとの連携が容易に行えるほか、従来に比べて、12分の1の開発時間で済む」(澤田氏)という。

 また、複数のポートレットや、ポートレットで構成される複数のページを連携させ、管理、再利用するTemplate Libraryを搭載。コンポジット・アプリケーションをテンプレートとして保存することにより、類似するポータル構築を容易に行えるようにした。

 さらに、IBM WebSphere Portlet FactoryとWorkflow Builderの2つのポータル開発ツールと、プロセス管理ソフトのWebSphere Process Serverを搭載することで、受発注、生産管理、在庫管理、出荷などのさまざまなプロセスを連動させるオーケストレーションを実現。業務プロセスに応じて必要な人にアプリケーションを集約し、ポータル上に表示するほか、ウィザード形式でのワークフローが開発可能になる。


ポータル画面の作成画面。右側に表示されているのがフライアウトメニュー。必要されるポートレットを選択し、ドラッグアンドドロップで作成できる

WebSphere Portal V6.0のライセンス形態
 一方、操作性も大幅に改善している。ドロップダウンメニューやフライアウトメニューを採用することで、必要な時にメニューリストを表示。ポートレットの追加や移動をドラッグアンドドロップで行えるようにしたほか、Windowsエクスプローラからポータル上の文書ライブラリへ保存したり、Microsoft Officeとの連携によって文書のチェックイン/チェックアウトを可能としている。

 加えて、スケーラビリティに関しても強化を図っており、キャッシュやアクセスの改善により、ポータルサイトからアクセスできる利用ページ数を、従来に比べて約4倍となる4万ページ以上としたほか、バーチャルポータル機能および複数LDAPをディレクトとしてサポートすることで、ひとつのポータル基盤で社内向けや社外向けなど複数のポータルサイトを運営するといった利用も可能とした。

 澤田事業部長は、「当社のソフトウェア事業で掲げている高付加価値ソリューション戦略のなかでも、中核製品と位置づけたい。業種別ソリューションキットの横展開のほか、Lotus Notes/DominoやSAPのポータル利用といった提案も強化していきたい」とした。

 同製品の価格体系は、顧客の利用規模によって選択できるように3種類を用意している。

 ポータルを初めて導入する企業向けのWebSphere Portal Serverは、利用料金は20ユーザー単位で35万7500円(税別)から、1プロセッサあたりで715万円(同)から。事業部規模での導入を検討しているユーザー向けのWebSphere Portal Enableは、1プロセッサあたりで1358万5000円(同)から。全社的なポータル導入を検討しているユーザー向けのWebSphere Portal Extendは、1プロセッサあたりで1859万円(同)からとなっている。

 また、Notes/Dominoユーザー向けには、管理者および開発者向けのハンズオン研修や導入支援などをサービスとして提供する「Notes/Dominoユーザー向けWebSphere Portal Quick Start」を8月24日から提供する。価格は600万円から。

 そのほか、ビジネスパートナー向けの支援プログラムとして、「WebSphere Portal技術支援プログラム」を新たに用意。WebSphere Portalに対応するアプリケーションを持つビジネスパートナーに対して、開発面における技術支援や情報提供などを行う。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/20060712003.html


( 大河原 克行 )
2006/07/12 15:36

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