Enterprise Watch
最新ニュース

ネットワールド、インテルCPUでSolaris/SPARC用アプリを稼動させるソフト

Rosettaのエンジンを開発したTransitive社の「QuickTransit」

Linuxが稼動するインテルCPU搭載ハードウェアでSolaris/SPARC用アプリケーションを動作させたデモンストレーション画面
 株式会社ネットワールドは7月18日、米Transitive社と販売代理店契約を結び、Solaris/SPARC用に開発されたアプリケーションをインテルアーキテクチャのハードウェアで動かすソフト「QuickTransit(クイック・トランジット)」の販売を始めると発表した。

 「RISC CPUを搭載したUNIXマシンは、システムとしての安定性、高信頼性には定評はあるものの、生産量の差もあって、x86ベースのハードウェアとの価格性能差が拡大している。ユーザー側はRISCベースのシステムからの移行を検討し始めているものの、アプリケーションの移行がスムーズにできるのかという不安を抱いている。当社ではVMwareを販売しており、仮想化がハードウェアの移行に有効であることを実証済み。今回の新製品によって、安心してサーバー移行を進めてもらえる環境が整うことになる」(ネットワールド・マーケティング本部長・森田晶一常務取締役)

 新製品を開発したTransitive社は2000年10月に誕生した企業で、英マンチェスター大学で開発されたテクノロジーをベースに製品開発を行っている。本社は米シリコンバレーだが、マンチェスターを技術拠点とし、70人の技術者がマンチェスターに存在する。

 「当社の提供する技術の利用例の代表的なものが、AppleのRosetta。PowerPCベースのMacintosh用に作られたアプリケーションを、インテルCPUベースのMacintoshで動かすためのソフトだが、ここに当社の技術が使われている。これはPCベースの例だが、SGIのMIPSワークステーション用アプリケーションをインテルベースで稼働させるためのエンジンとしても利用されている。この技術をエンタープライズ分野にも活用していく方針を6月27日に発表したばかり。今回、ネットワールドを日本で最初のディストリビューションパートナーとして、日本市場に参入する」(Transitive社、Chairman,President&CEOのBob Wiederhold氏)


ネットワールド・マーケティング本部長の森田晶一常務取締役 Transitive社 Bob Wiederhold Chairman,President&CEO

ハードウェア仮想化テクノロジーを図解化

仮想化ソフトウェアを使用した場合の互換性も維持
 同社のハードウェア仮想化技術「QuickTransit」は、ソースコードやバイナリに一切の変更を加えることなく、Solaris/SPARCアプリケーションをLinux/インテルXeonプロセッサや、Linux/インテルItanium 2プロセッサベースのサーバーで稼動させることができる。

 QuickTransitを簡単に紹介すると、ユーザーがアプリケーションを操作するバックエンドで、ハードウェアとOS側が自分の言語ではないアプリケーションを動かす命令があったと判断した場合には、QuickTransitを起動。QuickTransitは命令語のブロックを読み込み、変換して最適化し、ターゲットプロセッサ用のコードを生成する。その上でキャッシュに最適コードをストアし、メモリから呼び出したシステムコールをマップする。

 「おそらく、皆さんが最も気になるパフォーマンスについても、ネイティブでコンパイルされたように動くので、ほとんどストレスを感じることはない」(Wiederhold氏)

 また、仮想マシン上でも他のLinux/x86アプリケーションと共にSolaris/SPARCアプリケーションを動かすことも可能となっている。

 サポートしているのはSolaris 2.6以上で、32ビット、64ビット両方のSolaris/SPARCアプリケーション、すべてのUltraSPARCの命令セットをサポートする。Solarisスクリプトも変更なしで稼働させることができる。

 対応しているLinuxは、Red Hat Enterprise Linux AS4、SUSE Linux Enterprise Server 10。


 ネットワールドでは販売戦略として、「これまでRISCベースのUNIX機を販売してきたシステムインテグレータのターゲット顧客は重なっているものの、売り上げ減やメーカーとの関係といった面から、販売がしにくい側面があるだろう。そこで、まずエンドユーザーの皆さんにこの製品の良さをアピールし、需要を喚起することを重視。その上で、Linux事業を重視したシステムインテグレータと協業し、ビジネスを拡大していく。システム移行のためには、数社の企業と移行支援チームを作り対応していくことも検討している。また、当社で販売しているVMwareの仮想化インフラがあって、今回の新製品が生きてくると考えているので、両製品の相乗効果があることもアピールしていきたい」(森田常務取締役)という方針を掲げている。

 製品はCPUソケット単位で、使用期間限定のライセンスとして提供され、QuickTransit for SPARC/Solaris to Linux/Xeon Software 1 Socket, 1 year Versionが1年間の使用ライセンス、サポートと保守料込みで20万円(税別)、QuickTransit for SPARC/Solaris to Linux/Xeon Software 1 Socket, 2 year Versionが2年間の使用ライセンス、サポートと保守料込みで38万円(税別)。製品出荷時期は、9月末より前を予定している。

 販売目標は今後3年間で4000台以上、売り上げ金額は8億円以上と見込んでいる。



URL
  株式会社ネットワールド
  http://www.networld.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.networld.co.jp/news/press2006/0718.htm


( 三浦 優子 )
2006/07/18 18:06

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.