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SUSE Linux Enterprise Server 10の画面イメージ
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ノベルの仮想マシンアーキテクチャ
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ノベル株式会社は7月19日、企業向けのLinuxディストリビューション新版「SUSE Linux Enterprise 10」を提供開始すると発表した。今回発売されるのは、サーバー向け「SUSE Linux Enterprise Server 10」(以下、SLES 10)とデスクトップ向け「SUSE Linux Enterprise Desktop 10」(以下、SLED 10)の両製品で、ともにLinuxカーネル2.6.16をベースにしている。
SLES 10は、ノベルが提供するエンタープライズサーバー向けLinuxの最新版。全バージョンと比べてパフォーマンスが15%向上したほか、サポートするCPU数が最大1024に倍増。メモリも10TB以上をサポート可能になるなど、性能、スケーラビリティが向上している。さらに、Linuxアプリケーションのセキュリティを確保するツール「AppArmor 2.0」も標準でサポートしている。
また、仮想マシンモニタである「Xen 3.0.2」をサポートする点も特徴で、CPU側で仮想化を支援するインテル バーチャライゼーション・テクノロジとAMD-Vに対応。管理ツール「YaST」に仮想マシン管理機能が統合されるため、簡単に仮想マシンの作成ができるなど、利用者の負荷を軽減することが可能になったとのこと。あわせてストレージでもマルチパスの対応、iSCSIイニシエータに加えてターゲットをサポートするなど、多くの点が改善されている。
対応プラットフォームは、IA32、x64、IA64とIBM System i5/p5/z9、iSeries/pSeries/zSeries。参考価格は32CPUまでの1サーバー(zSeries除く)で4万1880円から。なお今回より、回数制限なしの2つのサポートが付属したエディションも提供が開始される。
一方のSLED 10は、前バージョンまで「Novell Linux Desktop」と呼ばれていたデスクトップ向けディストリビューション。3Dデスクトップ環境の「Xgl」を新たにサポートしたことに加えて、オフィススイート「OpenOffice 2.0 Novell Edition」やコラボレーションツール「Evolution」、デスクトップ検索ツール「Beagle」、マルチメディアプレーヤー「Banshee project」、Webブラウザ「Firefox」などのデスクトップアプリケーションが同梱されている。また、SLES 10同様、AppArmorも利用可能だ。
さらにSLED 10では、Active Directoryを初めとするディレクトリ規格やネットワークとの互換性など、Windows環境との共存も図られている。
SUSE Linux Enterprise Desktopの参考価格は、1デバイス6000円から。
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代表取締役社長の堀昭一氏
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代表取締役社長の堀昭一氏は、ノベルのビジョンとして「Open Enterprise」を掲げていると説明する。これは、オープンソースとプロプライエタリの両ソフトを最適に組み合わせた「ミックスソース」によって、オープンな情報インフラを提供するというもの。堀氏は「オープンソースの開発者はイノベーションに対して熱心に取り組むが、メンテナンスに対してはそうではない。企業システムではソフトをメンテナンスしながらじっくり使っていくことが必要。当社ではミックスソースにより、企業ニーズに応えていく」とこの戦略を採用した理由を説明した。
現状でもミックスソースを採用している企業は少なくない。ただ、採用企業内でもその比率は高くないとした上で、堀氏は「個人情報保護法や日本版SOX法などの新しい法規制によって、情報インフラの見直しが進み、(企業インフラの)問題解決のためにミックスソースの比率が上がってくる」との見方を示す。ノベルではこうした情勢を背景に、国内でのLinux中のシェアを海外並みの30%に引き上げていくとしている。
■ URL
ノベル株式会社
http://www.novell.co.jp/
プレスリリース
http://www.novell.com/ja-jp/pressrel/2006/20060719_1.html
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