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安井潤司執行役員
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RFID市場に対するNECの見解
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UHF帯RFID統合ソリューション
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日本電気株式会社(以下、NEC)は8月28日、RFID関連ソリューション事業を強化することを発表した。新たにUHF帯および世界標準規格のEPCglobalに対応した「UHF帯RFID統合ソリューション」を体系化し、同日から販売を開始する。また10月下旬をめどに、RFID関連のシステム実験センター「ユビキタスソリューションウェアハウス」を新設するほか、NECの海外現地法人と連携したグローバル体制も実現した。
NECでは、2002~2003年に総務省の「e!プロジェクト」のなかで初めてRFIDによるトレーサビリティ実証実験を実施。2004~2005年にはNECパーソナルプロダクツの調達、生産進ちょく、物流において現場への実導入を行うなど、積極的にRFID事業に取り組んできた。標準化に関しても、2004年に日系ITベンダとして初めて世界最大の標準化団体「EPCglobal」に加入し、以来、RFIDの標準化活動を積極的に推進してきた。
今回の事業強化も、同社のRFID関連ソリューション事業拡大に向けた重要な戦略となる。安井潤司執行役員は、「今後、RFID市場は生産、物流、販売のすべてのフェーズにおいて、長距離での読み取りが可能なUHF帯が大きく成長するものと見ている。また、UHF帯はグローバル企業のSCMに対するニーズに応えることもでき、グローバルサプライチェーンにおける活用が進むことが見込まれる。当社では、こうしたニーズに応えていくため、新たにUHF帯およびEPCglobalに対応したソリューション体系を整備することにした」とその狙いを述べている。
新たに体系化した「UHF帯RFID統合ソリューション」は、同社がこれまでに培った多くの実践的なノウハウを活用し、RFIDの導入コンサルティングから、アプリケーション(ビジネステンプレート)、ミドルウェア、RFIDタグやリーダ/ライタなどのデバイスまでを、EPCglobal準拠をベースに整備したもの。これによって、実証実験や試験的なシステム導入から、基幹システムとの連携までを含めたトータルソリューションを提供することが可能となる。
ユビキタスソリューション推進本部の松尾泰樹本部長によれば、「今回のUHF帯RFID統合ソリューションについても、NECグループのRFIDビジネスを統括するRFIDビジネスソリューションセンターが強力に推進していく。特に導入コンサルティングについては、NECパーソナルで実現した生産工程の10%効率化や部品在庫半減という実績をもとにしたノウハウを生かし、製造業などにおけるRFID適用のポイントを専門部隊が提案していく。また、ビジネステンプレートに関しては、調達支援、在庫可視化、出荷管理などのアプリケーションを用意しているが、これによって、いかに導入企業のROIを出せるかというポイントを強く意識して提案を行っていく」という。
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UHF帯RFID製品の特長・優位性
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新ソリューションにおけるデバイス領域の展開については、NECトーキンのアクセスデバイス事業部・武田武二事業部長が、RFIDリーダ/ライタ製品およびRFIDタグ製品の特長と優位性、さらには今後の製品計画を説明した。
「リーダ/ライタ製品は、EPCglobal Gen2および国内電波法に準拠し、物流用途に欠かせない高速移動荷物・長距離読み取り認識を実現。一方、タグ製品は、日本・米国・欧州などワールドワイドに使用できる周波数特性を実現し、要望に合わせたカスタマイズができるのも特長。9月から第1弾の出荷を開始する予定で、2007年以降は市場ニーズに沿ったUHF帯RFID製品を拡充していく計画」としている。
10月下旬に新設する「ユビキタスソリューションウェアハウス」は、実際のユーザーニーズを反映した模擬環境を構築し、タグ貼付やリーダ/ライタ設置場所の最適化検証、読み取り精度や距離に関する性能検証などを行うシステム実験センター。東京物流センターに拠点を置き、同施設を利用して、システム導入前の動作確認や、導入後の性能改善などのきめ細かな検証サービスを提供する。
グローバル体制の強化については、新設のユビキタスソリューションウェアハウスと、NECの海外現地法人が連携することで、サプライチェーンをはじめとした顧客システムのグローバルサポート体制を構築。「UHF帯RFIDソリューション」で体系化された、EPCglobal仕様に準拠したミドルウェアの提供と合わせて、顧客のグローバル事業展開を支援していく。
具体的には、「グローバルSCMを推進している日本の大手製造業にRFIDソリューションを提供するとともに、各国現地法人によるローカルカスタマー向けRFIDソリューションの提供も進めていく」(安井執行役員)という。
NECでは、今回の事業強化にともないRFID事業を支えるグループの関連要員を300人に増員。RFID関連ソリューション事業を積極的に拡大し、2010年にSCMなど関連基幹システムも含めて500社、2000億円の販売を見込んでいる。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
プレスリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0608/2802.html
( 唐沢 正和 )
2006/08/28 15:45
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