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マイクロソフトがビジネスアプリケーションを正式発表-「パートナーモデルを最重視」


左から、大塚商会の片倉一幸取締役、マイクロソフトのダレン・ヒューストン社長、沖電気の坪井正志IPシステムカンパニープレジデント、マイクロソフトの宗像淳統括本部長

Dynamics CRMの設計思想
 マイクロソフト株式会社は9月7日、自社開発のCRM(顧客関係管理)ソフトである「Dynamics CRM 3.0」を発表した。ビジネスアプリケーションブランド「Dynamics」の国内提供第1弾となる製品で、9月8日より販売を開始する。「Dynamicsは、パートナーシップの強化、イノベーションの促進、投資の拡大という、(マイクロソフトの事業方針である)Plan-Jの3つの柱を見事に反映した製品だ」(代表執行役社長のダレン・ヒューストン氏)。

 Dynamicsは米Microsoftが展開するビジネスアプリケーションのブランド。欧米ではERP製品も発売されているが、国内ではCRMからの投入となる。特徴はExcel、Word、OutlookといったMicrosoft Office製品をフロントエンドのインターフェイスとして利用できること。ExcelやWordを顧客データ管理、営業進ちょく管理などの営業業務で使っている企業は多く、日常使うアプリケーションをそのままDynamics導入後も使い続けられる。“CRMをやるんだ”ということを意識させずに、つまりユーザーに抵抗感を抱かせずに導入可能な点は、大きなメリットである。

 「既存のCRM・SFAツールをエンハンスする形で、Officeをフロントエンドに使えることで、市場を拡大していける。エンドユーザーが考えているCRMという枠でくくったところ以外の場所、Excel、Wordで顧客や数字を管理しているユーザーに使ってもらうことにより、新しい市場が生まれる」(業務執行役員 マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部 統括本部長の宗像淳氏)。

 そのDynamics CRMをはじめとした同ブランドを展開するにあたって、マイクロソフトが最も重視しているのは、“パートナーとの協業モデル”。まだ正式発売前の段階ながら、本日時点でSIerやISVなど50社のパートナーがアナウンスされており、パートナー獲得に非常に力を入れている点がうかがえる。

 ヒューストン社長はこの戦略について、「Dynamicsはプラットフォーム。パートナーがその上でソリューションを作り、ユーザーに提供する」と語ったほか、宗像氏も、提供するのはあくまでも“土台”であり、その上でパートナーが付加価値を付けて販売をしていくモデルになる、と説明している。


 提供にあたっては、パートナーが業種別のテンプレートなどをDynamicsにのせる「拡張型」、パートナーの製品と連携した形の「連携型」に加え、エンジンとしてDynamicsが組み込まれる「組み込み型」を想定。それぞれの形に応じてパートナーを支援していく。

 発表された中では、大塚商会がERPソフト「Smileαシリーズ」、情報系ソフト「eValueシリーズ」との連携を予定するほか、沖電気もコールセンターシステム「CTstage」と連携させることを表明した。業務ソフト「奉行シリーズ」を提供しているOBCも、販売管理ソフトである「商奉行」との連携を計画しているという。

 なお今回のCRMを足がかりに、日本でもERPソフト「Dynamics AX」を2007年春から提供する予定。ERPソフトといえば、パートナーであるSIerがすでに積極的に販売している分野であり、ビジネス上のバッティングが起きるように思われるが、宗像氏はこれを否定。「CRMと同じビジネスモデルになる。既存パートナー、新規パートナーにプラットフォームとして採用してもらうモデルで進めていきたい」としている。

 パッケージの参考価格は、Dynamics CRM 3.0 Professional Editionのサーバーライセンスが38万5000円、クライアントアクセスライセンス(CAL)が19万3000円。Small Business Server(SBS)向けのSmall Business Editionでは、サーバーライセンスが11万6000円、CALが9万6000円。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2804

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( 石井 一志 )
2006/09/07 16:37

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