「来年発表予定の次期LiveCycleでは、Flexとの統合を実現します。これにより、Flashを使ったよりリッチなフロントエンドを構築できます」、そう語るのは、米Adobe Systemsエンタープライズ&デベロッパービジネスユニット担当でグループプロダクトマーケティングマネージャのブライアン・ウィック氏。同社でLiveCycle製品群のマーケティング戦略等を担当しているウィック氏および、アドビシステムズ株式会社公共・法人部 部長の小島英揮氏より、今後のLiveCycleの展開について話を伺った。
■ WordもExcelもLiveCycleでポリシー管理可能に
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米Adobe Systemsエンタープライズ&デベロッパービジネスユニット担当でグループプロダクトマーケティングマネージャのブライアン・ウィック氏
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―まずは、LiveCycleのロードマップからお聞かせいただけますか。
ウィック氏
米国ではすでにリリースしていますが、LiveCycle 7.2というマイナーバージョンを今秋日本でリリースします。LiveCycle 7.2では、ポリシー設定の適用範囲を、従来のPDFファイル以外に、WordやExcel、CADのCATIAまで拡張します。
その後、Flexと統合したLiveCycle 8(仮称)を2007年に発表する予定です。
―WordやExcelもLiveCycleで一元管理できるようになるのですか?
ウィック氏
そうです。LiveCycleを利用されているお客さまから、元文書も同様に管理したいというニーズがあがっていました。これに応えたのが、LiveCycle 7.2になります。
LiveCycleでWord文書にポリシーを設定すると、Word文書は暗号化されたファイルになります。暗号化されているので、他人にのぞかれることはありません。
この文書を開くには、拡張プラグインが追加されたWordが必要になります。拡張プラグインはファイルを開いた際に自動的にダウンロードされます。これにより、ポリシーに沿った文書管理が可能になります。拡張プラグインはWord 2003以外にも用意しています。ただし、現在英語版のみを提供していますので、日本語版のWordで暗号化されたファイルは開くことができません。日本語版のプラグインは、2007年に提供を開始する予定です。
―マイクロソフトとコンテンツ保護分野で正面からぶつかりますね。
ウィック氏
われわれの優位点は、PDFファイルそのものが多く使われているという点にあります。その上で、WordやExcelに対応しているのですから、どちらの製品に強みがあるか明らかです。また、マイクロソフトの場合、Officeのバージョンが限定されますが、われわれの場合は、拡張プラグインで対応できるので、Office 2000を使っていても利用可能です。
―日本の場合、一太郎も使われていますが、他のアプリケーションへの対応予定はどのようになっていますか? あるいは、仕様をオープンにすることで、拡張プラグインを増やすという展開は考えていますか?
ウィック氏
仕様をオープンにするかどうかは現時点では未定です。他のアプリケーションの対応は、ニーズに応える形で進める予定ですが、現時点ではどのフォーマットに対応するかは未定です。
■ Flexとの統合でフロントエンドの選択肢を増やす
―来年発売予定の次期LiveCycleですが、Flexとの統合が大きなキーワードになるようですね。
ウィック氏
そうです。特にWeb上で顧客サポートなどのサービスを提供する企業にはメリットがあります。
たとえば、ある製品のサポートページをLiveCycleで構築した場合、インタラクティブなフロントページをFlexで作成でき、そこで入力されたデータをLiveCycleのプロセスにそのまま流し込むことができます。これを利用することで、バックエンド側では、承認プロセスから伝票作成までを一連の流れの中で実現できます。もちろん、ERPやCRMなどとの連携も可能です。
―なるほど。
ウィック氏
重要なのは、利用者にとってPDFに加えてFlashも使えるという選択肢が用意できた点ではないでしょうか。すべてをPDFにする必要もないですし、Flashにする必要もない。ニーズに合わせて選べるのが、次期LiveCycleの特長になるでしょう。
―となると、LiveCycleの開発者育成が重要になりますね。
ウィック氏
開発者向けにはデベロッパープログラムを用意して情報を提供しています。
小島氏
日本においては、Adobe Solution Partnersというパートナー制度を5月より始めています。登録は無料で、すでに200社以上の企業が登録しています。情報の提供やアドビのエンジニアへ質問可能なフォーラムを開設するなどの活動を行っています。また、評価プログラムの貸出も実施しています。
■ URL
アドビシステムズ株式会社
http://www.adobe.com/jp/
Adobe LiveCycle
http://www.adobe.com/jp/products/livecycle/
Adobe Solution Partners
http://www.adobe.com/jp/solution_partners/list.html
( 福浦 一広 )
2006/09/22 12:45
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