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日本オラクルが企業内コンテンツ管理製品を発売、非構造化データも一元管理


常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏

WindowsのエクスプローラやWebブラウザから直接リポジトリにアクセス可能。ユーザーはコンテンツ管理システムの存在を意識せずに利用できる
 日本オラクル株式会社は10月11日、企業向けコンテンツ管理製品「Oracle Content Database」「Oracle Records Database」を提供開始すると発表した。価格はいずれも625万円(プロセッサライセンスの場合)。同社では両製品によって、企業内の非構造化・構造化データを管理するエンタープライズコンテンツ管理分野に本格参入する。

 日本オラクルの常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏は「内部統制対策として企業内での文書管理が注目を浴びており、市場が盛り上がってきているが、現状のコンテンツ管理には課題がある」と指摘する。「企業内にはファイルサーバーが乱立しており、企業は散在したデータを管理しきれていない」(三澤氏)。

 そこで日本オラクルでは、Content Databaseを提供することによって、適切なコンテンツ管理を行えるソリューションを提供するという。同製品は、主に構造化データを扱うOracle Databaseのオプションとして利用するコンテンツ管理専門のリポジトリで、「Oracle Databaseが持つスケーラビリティや可用性はそのままに、非構造化データが取り扱えるようにした」(三澤氏)もの。

 ExcelやWordなどのOfficeファイル、PDFファイルをはじめとする文書ファイル、画像ファイルなどの非構造化データの一元管理を可能にする。具体的な機能としては、ファイルレベルのアクセス管理機能や、ファイルの更新を検知してバージョン管理するバージョニング機能、各ユーザーの役割に基づいたアクセス権設定機能などを持つ。

 「コンテンツの一元管理によって、ハードウェアやメンテナンスコストの削減、セキュリティリスクの減少を可能にした。また散在するデータに対する検索性の向上もコンテンツ管理システムが得意としているところだ」(三澤氏)。

 また既存の製品では、コンテンツ管理が業務システムと連携していないという問題があった。こうした問題を解決するため、Content DatabaseではWebサービスのインターフェイスを用意。「標準ベースのSOAによって業務システムとの連携を可能にした」(三澤氏)とのこと。BPEL Process Managerとの連携で新たなワークフローを構築できるほか、フロントエンドのポータルも、日本オラクル製品に縛られず、Star OfficeやSharePointといった、顧客が使い慣れたものをそのまま使い続けることができる。


 なお日本オラクルではこれまで、コラボレーション機能を集約したスイート製品「Oracle Collaboration Suite」の1つとして、コンテンツ管理機能である「Oracle Content Services」を提供してきた。三澤氏はこの製品との比較について、「Collaboration Suiteはメールやスケジュール管理などを含めた多機能な製品だが、顧客から、メールなどはすでに導入されている資産を生かしたまま、ファイル管理の機能だけを抜き出してもらえないかという要望があった。Content Databaseはこうした要望に応えてその機能だけを抜き出して拡張したもの」と説明。スイートとしての機能を求める顧客にはCollaboration Suite、既存資産を生かした形の導入ではContent Databaseという形で売り分けていくとしている。

 競合については、ローエンドではファイルサーバーと競合することになるとし、「コンテンツ管理においてはファイルサーバーの限界は皆が承知していることで、その欠点を何とかしたいというユーザーに積極的に販売していく」(三澤氏)と話す。また三澤氏は、「コンテンツ管理の専業ベンダの製品に対しては、機能がリッチすぎて使いこなせない、ライセンス料金が高い、という声をよく聞く。Content Databaseはファイルサーバーと専業ベンダの製品の中間に位置しており、この部分が市場として盛り上がってきている」と述べ、コンテンツ管理の専業ベンダが入り込んでいたエリアに対しても、積極的に参入する意向を示した。

 Content Databaseとあわせて今回発売されたRecords Databaseは、コンテンツのライフサイクルを管理するための製品。できあがって利用された後の文書を何年間の保存後に削除するか、WORM(Write Once Read Many)ストレージへどのファイルをいつ移動するか、といった管理作業を自動化することができる。Content Database、Records Databaseの両製品はContent Servicesと同様、EMC、NetAppのWORMストレージとのシームレスな連携をサポートしており、利用後の保存に関しても適切な法対応が可能とのことである。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1629

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( 石井 一志 )
2006/10/11 18:16

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