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弥生、ベストセラー会計ソフトの新版を発表-SIパートナーの獲得にも本腰


 弥生株式会社は10月17日、会計ソフト「弥生会計」と給与ソフト「弥生給与」の新版、「弥生会計 07」と「弥生給与 07」を発表した。12月8日より販売を開始する。なお今回、シリーズ製品「弥生販売」「弥生顧客」の新版は発表されていないが、別途案内を行うとしている。


弥生会計 07 ネットワーク 弥生給与 07

弥生会計 07の画面イメージ
 弥生会計/給与は、小規模事業所や個人事業主に向けた業務ソフト。同分野で高いシェアを持つほか、2005年からは30~300名規模の中規模事業所向けに、複数ユーザーで利用できるようにしたネットワーク版「NEシリーズ」を提供開始し、より上のセグメントの開拓に乗り出している。

 今回の新版では、マイクロソフトの次期クライアントOSであるWindows Vista、WebブラウザのInternet Explorer 7に対応した点が大きな変更点になる。あわせて、会社法対応追加、定率減税廃止といった法令改正への対応、ユーザーからの要望を受けた機能改善などを実施し、より使い勝手を向上させた。

 一方、ネットワーク対応版はこれまでの「NE」から「ネットワーク」に名称を変更するとともに、「より大規模な環境で使いたいという要望に応え」(執行役員 プロダクトマーケティング担当の竹之内学氏)、弥生会計 07 ネットワークに15ユーザー、20ユーザーの製品を追加。さらにデータベースを最新のSQL Server 2005 Standard Edition(2ユーザー版のみSQL Server 2005 Express Edition)にあらためた。

 弥生会計 07のラインアップには、ネットワーク版と、従来通りスタンドアロン製品のStandard、Professionalを用意している。価格はそれぞれ4万2000円、8万4000円。弥生給与 07は1製品のみで、8万4000円。


執行役員 プロダクトマーケティング担当の竹之内学氏

SDKによって柔軟なカスタマイズ化が可能になる
 また弥生では、ネットワーク版のビジネスをさらに拡大するため、「弥生ソリューション・パートナー・プログラム」(YSPP)も開始した。これは、「弥生製品単独では提供できなかったソリューションをSIerやパートナーと提供する目的」(竹之内氏)で提供されるもので、「Designed for 弥生」として連動製品を作っていた製品メーカーや、SIer、開発力のあるパートナーが対象。

 YSPP参加企業には、弥生からSDK(ソフトウェア開発キット)が提供され、あわせて技術支援を受けることができる。竹之内氏はこの取り組みについて、「弥生会計では、集計表の残高を利用して個別の分析を可能にしたり、独自に作られた販売ソフトから会計に仕分けを送って取り込んだりできるようになるほか、弥生販売では、外部システムからの受注データの取り込み、別の棚卸しシステムからのデータ取り込みが可能になる」と具体的な例を挙げて、「より密な連携、顧客の個別の要望にそった製品の開発が可能になる」と説明した。

 目標とするパートナー数は当面100社ほど。竹之内氏はさらに、「実際に重要なのはソリューションがいくつ提供できるかが鍵。弥生製品は価格も安く、SDK提供にあたっても特別なコストは要求しないので、競合製品と比べて、パートナーも顧客も大きな投資なく利用できる点がメリットになるだろう」と述べ、ネットワーク版では1~2割程度の顧客が開発パートナーのソリューションを利用するようになるのではないか、との見方を示した。

 販路としても、ネットワーク製品を扱える訪販系パートナーをこれまで以上に重視する考え。「ネットワーク製品では最後発だが、これまでの潜在ユーザー数がある意味財産で、(ネットワーク版導入ユーザーのうち)約6割が既存の弥生製品からのアップグレード。“売りやすい弥生”をアピールできる。またSI系の販社も増やしていく」(常務取締役の相馬一徳氏)とした。


代表取締役社長の飼沼健氏
 なおこの発表会には弥生の代表取締役社長である飼沼健氏も登壇。「2006年度(~9月)はライブドア事件の影響もなく業績は好調に推移し、マーケットシェアも前年より伸びている」と好調ぶりをアピールした。

 今後の事業目標としては、ネットワーク版のラインアップ強化による、中規模事業所向けビジネスへのいっそうの注力をまず取り上げた。すでに販売している弥生会計・販売に加えて、弥生給与のネットワーク版も2007年に投入予定で、前述のように訪販系チャネルの強化にも引き続き取り組む。

 加えて、新規事業領域では、歯科医院向けソフトの「弥生デンタル」の提供といったニッチ分野へ参入。また、販売・顧客管理業務のノウハウを生したCRM(顧客関係管理)製品や、税務ソフト提供も視野に入れて事業を拡大したいとした。特に税務ソフトは、重要な販路の1つである会計事務所との連携を強化する上でも非常に有効で、飼沼社長は「弥生の悲願」と表現している。

 こうした強化策や、順調なサポートビジネスのさらなる推進によって、弥生ではビジネスのいっそうの拡大を図りたい考え。2007年度以降に、「実売10万本」と「売り上げ100億円」を達成したいとした飼沼氏は、「これまで同様、営業利益率40%も堅持したい」(飼沼氏)としている。



URL
  弥生株式会社
  http://www.yayoi-kk.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.yayoi-kk.co.jp/news/20061017_01.html
  http://www.yayoi-kk.co.jp/news/20061017_02.html

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( 石井 一志 )
2006/10/17 17:13

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