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日本オラクル、統合SOA基盤「SOA Suite 10g Release3」を発売


常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏
 日本オラクル株式会社は11月13日、SOA(サービス指向アーキテクチャ)環境を実現する機能を統合したアプリケーション群「Oracle SOA Suite 10g Release3」を発表した。同時に、SOAに対応した開発ツール「Oracle JDeveloper 10.1.3.1」も無料で公開している。

 Oracle SOA Suite 10gは、ミドルウェア製品群「Oracle Fusion Middleware」の中から、SOAを構築するための機能を抜き出してパッケージ化したもの。Webサービスやビジネスプロセスを設計・実行するための「Oracle BPEL Process Manager」を中核とし、Webサービス管理におけるポリシー管理を司る「Oracle Web Services Manager」、ビジネスプロセスのモニタリングを行う「Oracle Business Activity Monitoring」などから構成されている。

 今回提供される新版では、サービス間の単純連結やサービスの仮想化を実現するバス製品の「Oracle Enterprise Service Bus」を追加したほか、相互運用機能の強化、SOAガバナンス機能の拡張などがなされており、SOAの展開とインストールに関連した項目が大幅に強化されているという。

 常務執行役員でシステム製品統括本部長の三澤智光氏によれば、「SOAを実現するケースとして、SOAの考え方をたまたま使って直近の課題を解決する『SOA Based Integration』と、SOAはかくあるべき、という思想のもとに導入する理想型の『Enterprise SOA』があるが、現状ではインテグレーションニーズからのスタートが圧倒的に多い。また、段階的に適用していくアプローチの方が成功しやすいと言われている」という。

 そして「日本オラクルでは、SOA Based Integrationに必要な機能スタックをフルに備えたBPEL Process Managerを持つ一方で、Enterprise SOAを実現するための製品、そしてメソドロジー(方法論)を備えている。『SOAは一夜にしてならず』であり、フルスタックを持ちながら、段階的にSOAを導入できるのが当社の強み」と主張するのである。

 Enterprise SOAを実現する機能としては、「コスト、高可用性、拡張性を担保していく必要がある」(三澤氏)と述べ、同社製品はこれらをすべて満たしているとする。また「適用領域が拡大していく場合は、Web Services Managerで認証やアクセス情報を一元管理可能」、「ハイトランザクションなシステムでも、Business Activity Monitoringでそれぞれのシステムがちゃんとまわっているのかをモニタリングできる」、「Service Registryでは、サービス情報が散在しないように一元管理できる」などと述べ、十分な機能を備えているとの説明を繰り返した。

 さらに、Oracle Fusion Middlewareで繰り返し主張してきたホットプラガブルの思想にも触れ、「標準技術にこだわっているため、すべてオラクル製品にロックインするのではなく、既存の資産を残して一番安価な形でソリューションが導入できる」(三澤氏)とも語った。


 なお日本オラクルでは、どこからSOAに取り組んでいいのかわからないという顧客向けに、バリューアセスメントサービスや、成熟度レベルアセスメント、SOAプロジェクト計画策定といったサービスを、無料で提供中という。現有リソースの限界から20社程度が限界とのことだが、こうした取り組みでも顧客を支援していくとしている。

 Oracle SOA Suite 10g Release3の価格は、プロセッサライセンスで625万円から。2007年1月9日より出荷を開始する。製品は単品でも提供され、たとえばBPEL Process Managerが250万円から、Web Services Managerが500万円から、などとなっている。三澤氏は価格についても、「SOAベースでのアプリケーション構築が盛んになれば、プロセッサもたくさん必要になるが、他社と比べると非常に安価に提供でき、コストで大きな差が出る。また当社はサポートが期間無制限な点も強みだ」とアピールした。

 日本オラクルは合わせて、J2EE対応の統合開発環境である「Oracle JDeveloper」の機能を強化した新版を公開した。これまで提供されてきた開発機能に加え、BPELデザインやESBルーティング設計、XMLマッパーなどの機能を取り込んだ点が特徴。11月13日より無料ダウンロードが開始される。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1661


( 石井 一志 )
2006/11/13 17:54

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