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IIJと日本BEA、RFID 2.0実現に向けた標準プラットフォーム

両社のネットワーク技術とミドルウェア製品を連携

IIJとBEAが提供するRFID 2.0の世界

IIJの取締役 技術開発本部長、久島広幸氏
 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)と日本BEAシステムズ株式会社(以下、日本BEA)は12月6日、RFID(無線ICタグ)分野で協力し、「RFID 2.0」実現のための標準プラットフォームを提供開始することを発表した。EPCglobalに準拠した両社のネットワーク技術とミドルウェア製品を連携させたシステム環境を整備し、RFID 2.0に対応したプラットフォームとして提供していく。

 IIJの取締役 技術開発本部長、久島広幸氏は、今回の発表にあたり「当社は2003年6月にAuto-IDラボに参画して以来、2004年7月にEPCglobalに加盟し、2004年11月には経済産業省の実証実験に参加している。この3年間、RFIDについてさまざまな試行錯誤を続けてきたが、ようやくいろいろな形が見えてきたと実感している。今回、日本BEAとの協力によって、RFID 2.0実現のための標準プラットフォームを提供開始できたことは非常によいタイミングだと思っている」と述べた。

 RFID 2.0標準プラットフォームを提供する背景としては、1)市場のグローバル化、2)生産拠点のアジア移転、3)きめ細かい注文への対応、の3点を挙げ、こうした物流市場の変化に対応するための課題について、「ビジネス面では納期短縮、小ロット対応、在庫削減を実現する新しいサプライチェーンの仕組みが求められ、システム面では既存システム間の連携の複雑性を解消する必要がある」(IIJの技術開発本部、笠井一宏氏)と指摘。これらの課題を解決する技術が「RFID」「EPCglobal Network」「SOA」を組み合わせたRFID 2.0標準プラットフォームであり、「両社のもつ技術アーキテクチャを活用することでRFID 2.0へのブレークトリガーを仕掛けていきたい」(笠井氏)としている。


RFID 2.0を実現するIIJと日本BEAのアーキテクチャ

日本BEAのソリューション営業本部 RFID担当ビジネスディベロップメント、中川和芳氏
 今回発表した具体的な協力内容は3つ。まず1つ目は、両社製品を連携させたRFID 2.0実用環境の構築。IIJの「IIJ EPC Networkサービス」と、日本BEAの「BEA WebLogic RFID Edge Server/WebLogic RFID Enterprise Server」の相互接続性を検証し、両プロダクトを連携させたシステム環境を構築した。これにより、ネットワークを介して、企業内または企業間の業務システム全体にRFIDを組み込み、活用する「RFID 2.0」を実現できる環境を整えた。

 IIJの「IIJ EPC Networkサービス」は、RFIDによる企業間情報共有を実現するサービスで、システムの分散化、ネットワークの利用をEPCglobal準拠によって提供する。「モノ」と「情報」のリアルタイムでの一致、トラッキングやトレースによるモノの「保証」などを実現し、より緻密な企業間の情報共有を可能とする。

 日本BEAの「WebLogic RFID Edge Server」は、EPCglobal ALEを実装したRFIDミドルウェア。40以上のデバイスに対応し、RFIDにからんだビジネスロジック制御やデータ制御を実現するローカルワークフローを備えている。「WebLogic RFID Enterprise Server」は、EPCglobal EPCISを実装したEPCリポジトリ。Edge Serverの集中管理機能、マスターデータとのマッチング機能などを備えている。

 日本BEAでは、これらの製品をベースにSOAを活用することで、企業システムとRFIDシステムの融合を実現し、RFIDのエンタープライズプラットフォームを提供する。「RFIDのシステム連携においてSOAは非常に重要な役割を担っている。SOAを基盤にしたシステム連携によって、各部門ごとに導入したパッケージや個別開発したアプリケーションは最適化され、共有サービスの部分で各アプリケーションにおける差異を吸収できる。これにより、上位アプリケーションをユーザーニーズや市場ニーズに応じて柔軟に組み替えることが可能となる」(日本BEAのソリューション営業本部 RFID担当ビジネスディベロップメント、中川和芳氏)という。

 2つ目の協力内容は、日本HPの「HP RFID Noisyラボ・ジャパン」におけるデモ環境の共同提供。2社のプロダクトを導入したデモシステムをHP RFID Noisyラボ・ジャパンに構築し、ユーザーがEPCglobal Networkを利用したRFIDシステムを実際に体験、検証できる場を提供する。

 そして3つ目が、EPCglobal Networkを活用したRFIDプラットフォームの普及に向けた共同推進。今回構築したパイロットシステムをベースに、オープンな標準プラットフォームとして各社のRFID製品との連携を広げ、RFID 2.0システムを構築するSI事業者への普及を促進していく。

 また、企業ユーザーに対しても、高度なネットワーク技術をもつIIJと、企業システムのSOA導入で高い実績をもつ日本BEAが、それぞれの強みをEPCglobal対応における2社のノウハウを生かし、EPCglobal Networkを活用した高次元なRFIDソリューションを提案していく考え。



URL
  株式会社インターネットイニシアティブ
  http://www.iij.ad.jp/
  日本BEAシステムズ株式会社
  http://www.beasys.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2006/1206.html


( 唐沢 正和 )
2006/12/06 18:23

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