「LiveCycle “Next”は開発者の使い勝手を考慮したものになる」。2007年中頃の出荷を予定しているLiveCycleの次期バージョンについて、米Adobe Systems、テクニカルマーケティング担当シニアディレクター兼カナダ オタワ支社代表のジョン・ホガーランド氏はこう説明する。ベータ版の提供を来月に控えたLiveCycle “Next”について、ホガーランド氏に話を伺った。
■ プラットフォーム共通化で開発・実装が容易に
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米Adobe Systems、テクニカルマーケティング担当シニアディレクター兼カナダ オタワ支社代表のジョン・ホガーランド氏
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―次期LiveCycleですが、製品名はまだ確定していないのですか?
ホガーランド氏
現在調整中です。今はLiveCycle“Next”と呼んでいます。これなら間違いのない名称ですから(笑)。
―“Next”では、Flexとの統合が大きな変更点でしょうか?
ホガーランド氏
Flexとの統合は大きな改善点ですが、実はプラットフォームを統一したのが大きな変更点です。これにより、開発者の負担も軽減することになります。
―もう少し具体的に説明していただけますか?
ホガーランド氏
これまでのLiveCycleは、スイート製品でした。つまり、各アプリケーションが独立していました。“Next”では、これを共通のプラットフォームで動作するアプリケーションという位置づけに変えました。共通化するものとしては、データモデルやドキュメントモデル、インテグレーションエンタープライズなどがあります。これにより、アプリケーションはプラグインの形で提供されるようになります。
開発環境としてはEclipseベースのものを用意しています。プラットフォームを共通化していますので、開発および実装が容易になります。
ただし、Flexはこのプラットフォーム上で動作するわけではありません。新プラットフォームと並列の形で統合されます。その代わり、FlexもLiveCycleも同じ開発環境で開発できるので、開発者から見れば統合されているといってもいいでしょう。
―プラットフォームが変更されると、既存製品との互換性が気になりますが。
ホガーランド氏
基本的には、既存アプリケーションからの移行ができることを原則としています。もちろん、LiveCycleがどのようにインテグレーションされているかによって違ってきますので、すべてを保証するものではありませんが。
■ Flexとの統合でRIAをインターフェイスとして利用可
―FlexとLiveCycleを統合するメリットはどのようなものですか?
ホガーランド氏
Adobeが狙っているのは、ERPやCRMなど企業の基幹システムアプリケーションではなく、エッジ部分のアプリケーションです。LiveCycleはこれまでも、PDFをフロントエンドで利用することで基幹システムのデータをわかりやすく表現してきました。
Flexはご存知のようにFlashをインターフェイスとして利用した開発フレームワークです。このFlexを利用することで、RIA(リッチインターネットアプリケーション)を用意することができます。
Flashを用いたRIAというと、eコマースなど一般ユーザー向けという印象もありますが、これを企業内で使うことで、ITリテラシーの低い人も利用できるようになります。
―とはいえ、Flashを使ったRIAを自社向けに開発するのは贅沢な感じもしますね。経営者としては抵抗するのではないでしょうか。
ホガーランド氏
確かにそのとおりです。しかし、すべての社員がITリテラシーが高いわけではなく、使いやすい環境を提供することには意味があるとおもいます。
ただし、これまでにない先進的な使い方ですので、テンプレートを提供するなど、より手軽に利用できる環境を用意する努力をしています。また、Flexの場合、開発ユーザーのコミュニティがあり、その中ではさまざまなアプリケーションやテンプレートが公開されています。
2007年早々にもベータ版という形でみなさまに製品を見ていただけるとおもいますので、ぜひ期待してください。
■ URL
アドビシステムズ株式会社
http://www.adobe.com/jp/
Adobe LiveCycle
http://www.adobe.com/jp/products/livecycle/
( 福浦 一広 )
2006/12/08 13:22
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