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日本HP、データセンターの空調コストを約30%削減するソリューション


マーケティング統括本部 インフラソリューションマーケティング本部長の染谷優氏

HPアダプティブ・インフラストラクチャ戦略の概要
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は2月5日、企業のIT部門やデータセンターにおける空調コストの削減を支援するサービス「HPスマート・クーリング・ソリューション」を発表した。同日より提供を開始する。

 日本HPでは、2006年より「HPアダプティブ・インフラストラクチャ」戦略を推進している。その内容について、マーケティング統括本部 インフラソリューションマーケティング本部長の染谷優氏は、「ITサービス、電源&冷却、管理、セキュリティ、仮想化、自動化の6つの領域にフォーカスし、24時間365日完全自動化されたコンピューティング環境の構築を目指すもの」と説明。HPスマート・クーリング・ソリューションは、この内、電源&冷却の点に着目した新サービスである。

 染谷氏によれば、「これまでデータセンターなどでの電力コストといえば、IT機器による電力消費のみ着目されてきた。しかし、実は電力コストのうち63%が空調に占められ、IT機器が占めるのはわずか33%に過ぎない」という。そうした現状を踏まえると、「個々のIT機器だけでなく、データセンター全体でのエネルギー効率を考慮する必要がある」(染谷氏)とする。その言葉どおりに、ブレードサーバーなどのシステムレベルおよびCPUなどの部品レベルといった細かいレベルでのエネルギー対策と、今回のソリューションを組み合わせて、トータルにエネルギー効率の最適化を図るのが狙いとのこと。


テクノロジーサービス統括本部 ソリューションビジネス開発推進本部 ソリューションビジネス開発部長の大畑賢二氏

温度分布のシミュレーション
 具体的にHPスマート・クーリング・ソリューションでは、「サーマル・アセスメント・サービス」と「サーマル・プランニング・サービス」の2種類が提供される。

 サーマル・アセスメント・サービスは、既存のデータセンターの温度環境を改善するもの。空調によるデータセンター内の室温変化について、現状調査を行い、シミュレーションツールにより温度分布やエアフローの予想図を作成。それに基づいて、空調設備やラックの最適なレイアウトプランを提案する。「空調と機器の発熱量のバランスは非常に重要」と語るのは、テクノロジーサービス統括本部 ソリューションビジネス開発推進本部 ソリューションビジネス開発部長の大畑賢二氏。「冷えすぎていれば無駄な空調コストの発生を意味するし、熱すぎれば機器の故障リスクが発生していることを意味する」(大畑氏)と説明した上で、同サービスは、まさにこのバランスを実現するためのものだと語る。

 一方のサーマル・プランニング・サービスは、新規に開設・拡張するデータセンターにおける効果的なラック・空調機配置を提案するもの。この結果、「データセンター環境の現状が把握でき、温度異常のリスクを明確化し、効率的なデータセンター運用の指針を提示することが可能になる」(大畑氏)という。なお、HPのデータセンターにおいて同サービスの検証を行ったところ、空調が占める電力コストを30%程度削減することに成功したとのこと。

 参考価格例は、500平方メートル程度のセンターで400万円から。同社では、今後1年間で50社からの受注を見込むとした。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2007/fy07-038.html

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( 川島 弘之 )
2007/02/05 15:41

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