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日本オラクルが「@Oracle」サービスを本格開始、ソフトウェアのサービス化を推進


カスタマーサービス統括本部 オンデマンド本部長の荻矢隆夫氏

@Oracleと@Customerの違い

アプリケーションのライフサイクル全体をカバーするのも特徴という
 日本オラクル株式会社は2月5日、アプリケーションのホスティングサービス「@Oracle」を国内で本格的に提供開始すると発表した。顧客が購入したソフトウェアの運用・保守を同社が請け負い、サービスとして提供するもので、オースチンにある米Oracleのデータセンターを利用し、顧客ごとのアプリケーション運用環境を構築。ネットワーク経由で顧客にサービスを提供する。国内ではまずは第1弾として、ビジネスアプリケーション「Oracle E-Business Suite(EBS)」を対象にした「EBSO@Oracle」を開始する。

 日本オラクルではオンデマンドアプリケーション分野の事業として、ユーザーが初期投資を必要としない、CRMサービスを月額課金のみで利用できる「Siebel CRM On Demand」をすでに提供開始している。その一方でこの分野には、購入した製品を顧客に代わって運用するマネージドアプリケーションの事業があり、現時点のビジネスとしてはこちらの方が圧倒的にボリュームがあるという。

 同社でもこの分野には注力しており、顧客環境に構築されたアプリケーション運用環境をエンジニアがユーザーに成り代わってサポートする「@Customer」サービスを提供してきた。このサービスでは、アプリケーションとデータベース、アプリケーションサーバーといった同社製品の部分にはサポートを提供するが、システム管理、ハードウェア管理などは担当範囲外だった。

 今回提供を開始する「@Oracle」では、顧客のアプリケーション環境をまるまる日本オラクルが預かる点が異なる。カスタマーサービス統括本部 オンデマンド本部長の荻矢隆夫氏は「@Customerはオラクルソフトウェア部分だけの運用サービスだが、@Oracleはフルセットのアウトソーシングサービス。EBSの本番環境のすべてのソフトからOS、サーバー、ストレージ、ネットワークまでをすべて含んでいる」と違いを説明した。

 このサービスのメリットはいくつかあるが、パッケージソフトウェア導入に関するライフサイクルすべてを考慮している点が特筆できるという。荻矢氏は、「システム拡張やメンテナンス、トラブル対応といった予期せぬ事態がおきる都度、予期せぬお金が発生するため、ERPの運用費用が高くつくというケースがこれまでは多かった。@Oracleではライフサイクルすべてをカバーしているほか、アプリケーションとミドルウェアをすべて、運用というエリアから解放できる」と説明。「ソフトウェアバリューを最大化できる」と主張した。


データセンターはオースティンにある米Oracleのものを利用する

自社運用と比べて、コスト面で3~5割のアドバンテージがあるという

新宅正明社長
 アプリケーションがホスティングされるオースティンのデータセンターにも、自信を持つ。堅牢なインフラを整備するのはもちろん、ITILベースの標準フレームワークを利用した管理体制を敷き、万全の体制を整えているとのこと。すでに、ワールドワイドで330社以上、35万ユーザーで利用されている実績があるという。

 荻矢氏は、「データセンターが外国にあることを直感的に心配されることが多い。しかし、日本のRegional Service Centerによる日本語サポートや、24時間365日の日本語サービスデスク、稼働状況やパフォーマンスを確認できるポータルを用意しており、グローバルなデータセンターだということを意識せずに利用できるようにしている」と語った。

 1ユーザーあたりの年間価格は、人事・経理・SCMなど専門性を持った部署の社員に相当する、EBSプロフェッショナル・アプリケーション・ユーザーの場合で22万5000円。一般部門の社員に相当する、EBSセルフサービス・アプリケーション・ユーザーの場合で3万円。ただし、1687万5000円が最低受注料金となる。また、EBSのソフトウェアライセンスと、プレミアムサポートは別途必要分を購入する必要がある。

 日本オラクルではこの価格面でも自信を持っており、「(顧客が自社運用を前提に)ハードウェアの調達から年間の運用費用をすべて考えた場合に、想定できるコストだけで3~5割くらい安い。さらに予期せぬコストの部分もおさえられる」(荻矢氏)とした。

 今後は、海外ですでに提供されているSiebel向け、PeopleSoft向けの@Oracleについても、国内で提供する予定。日本オラクルではオンデマンドアプリケーションのビジネスについて、今後3年間、毎年100%の成長を計画しており、2010年度に50億円の売り上げを目指す。まず来年度は、少なくとも10~15社の成約を見込む。

 なおこの発表の場には新宅正明社長も同席。「グローバルこぞってこの方向にかじを切っていくという意気込みで投資をしている。Oracleでは収益性をキープしながら成長していくのが通常だが、オンデマンド事業は明らかに先行投資をしている。その意味でも、Oracleの(この事業に対する)プライオリティの高さを理解してもらえれば」と述べ、この領域に対していかに注力しているかという点を強調。さらに、「マネージドアプリケーションとSaaSをあわせて100億円程度のクリティカルマスを早急に取りたい。そうすればソフトウェアビジネスのビジネスモデルが変わっていくきっかけになると思う」と述べている。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1694

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( 石井 一志 )
2007/02/05 16:54

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