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マイクロソフト、SQL Server 2005関連施策を強化-SP2などを提供


サーバープラットフォームビジネス本部 五十嵐光喜本部長
 マイクロソフト株式会社は2月7日、データベース製品であるSQL Server 2005に関連した施策を発表した。この施策の一環として、同製品のService Pack2(以下、SP2)、コンパクト版データベース「SQL Server 2005 Compact Edition」(以下、Compact Edition)、Office 2007向けのアドイン「SQL Server 2005 Data Mining Add-ins for Office System 日本語版」(以下、Data Mining Add-ins)の提供を開始する。

 サーバープラットフォームビジネス本部 五十嵐光喜本部長によれば、SQL Serverはワールドワイドで年平均20%の勢いで成長を続けているという。この原動力として同氏は、「中小規模だけでなくミッションクリティカル分野でも使われ始めている」ことを挙げる。そうした中でマイクロソフトでは、SQL Serverを単なるデータベースではなく“データプラットフォーム”に位置付けて事業を進めていくとした。

 今回発表された各製品のうち、SP2では、サーバー運用を自動化する「メンテナンスプラン機能」を拡張し、複数サーバー環境への対応を強化したほか、数値データを可変長列として保存できる「vardecimal」保存形式を採用し、データベース容量の大幅な削減を可能にしている。また、プランキャッシュ機能の強化によるパフォーマンス向上、レポーティング機能におけるHyperion Essbaseのサポート、SharePoint Server 20007との統合なども強化点。五十嵐氏は、これらの機能によって「全体を根幹から支える運用管理性、製品性能の向上を行う」と述べた。SP2は2月13日より、同社Webサイトから無償でダウンロードできる。パッケージ版での適用は4月を予定する。

 一方、Compact Editionは、SQL Server Mobile Editionの後継製品。従来版と比べてストレージ機能が強化されたことに加えて、管理性も向上した。主に、Windowsモバイルなどのモバイル端末を対象としており、コンパクトなフットプリントで利用できる。五十嵐氏は「多様な業務アプリケーションに適用可能で、当社のパートナーのビジネスチャンスをさらに拡大できるものだ」と述べた。この製品も、2月13日よりダウンロード提供が開始される。価格は無償だが、SQL Serverと接続する場合にのみ、CALもしくはプロセッサライセンスが必要になる。


データマイニングのプロセス

Data Mining Add-insの予測データを利用して作成したグラフ。波線部分が予測データになっている
 最後のData Mining Add-insは、「エンドユーザーのBI(ビジネスインテリジェンス)に対するハードルを大きく引き下げられる製品」(五十嵐氏)。Excel 2007もしくはVisio 2007のアドインとして提供され、これらのソフトから、SQL Server 2005が提供するデータマイニング機能を簡単に利用できるようになる。

 サーバープラットフォームビジネス本部 斎藤泰行シニアプロダクトマネージャによると、これまでの一般的なBIソリューションでは、利用前にはコンサルティングが必要だったため、非常にハードルが高かったという。具体的には、事前にデータを用意し、マイニングアルゴリズムを選定して、マイニングモデルを構築する、といった作業が発生していた。

 ところがData Mining Add-insでは、Excel上にデータを用意する、もしくはすでにあるExcelデータを開くだけで準備が完了。その後も、最短3クリックで分析結果が得られるという。用意されている機能は6つ。例えば、「シナリオ分析」機能では、過去のコールセンターの運営データから最適な人員配置を割り出すことができるし、「例の全体適用」機能では、蓄積されたデータのパターンから、欠損値を類推することが可能になる。

 五十嵐氏は、オフィスにおけるツールとして一般的なExcelをフロントエンドのインターフェイスに利用することで、「操作を変えずに分析までを行える点に意味がある」と主張。「顧客の反応も上々。ITシステムを使って次の成長を考える際の、わかりやすい大きな手段として考えられているのではないか」と述べた。

 Data Mining Add-insも、2月13日よりマイクロソフトのWebサイトで無償ダウンロード提供が開始される。なお、クライアント側にはExcel 2007もしくはVisio 2007が、サーバー側ではSQL Server 2005 Standard/Enterprise Editionが必要となる。

 なお五十嵐氏は、今回の製品戦略全体について「この3つの発表は小ぶりに見えるかもしれないが、今、顧客がやろうとしていることに合致しているリリースだ」と話し、SQL Serverの展開をアピールした。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2963
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2964


( 石井 一志 )
2007/02/07 17:01

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